T・Pぼん

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsT・Pぼん』(タイムパトロールぼん)は、藤子・F・不二雄による日本SF漫画作品、及びそれを原作としたテレビアニメ作品。

概要

1978年 - 1979年に第1部が『月刊少年ワールド』(潮出版社)にて、1980年 - 1983年の第2部と1984年 - 1986年の第3部が少年ワールドから誌名を変更した『月刊コミックトム』にて掲載された。第3部は連載ではなく不定期掲載となったが明確な完結や終了告知のないまま中断され、再開されることなく作者永眠のため未完となっている(担当編集者であった潮出版社の浮田信行によると、作者の病により連載を中断していたが、作者本人はいずれ連載を再開させる意思を持っていたほか、未収録作のみで間に合わせの単行本発売を打診した際も『最後の一話』執筆を理由に拒んでいた[1])。そのため『コミックトム』には掲載されたものの、単行本に一度も収録されたことのない2話分の作品が長らく存在したが(後述)、2012年3月23日に発売された「藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん第3巻」にて最後の2話も収録され、未収録作品はなくなった。

1989年10月14日には日本テレビで90分のテレビスペシャルとしてアニメ化された。そのアニメ版のビデオフィルムコミックも発売されている。

内容

タイムボートを用いて太古から遙か未来まで、さまざまな時代を飛び回り[2]、歴史の谷間で不幸に命を落とした人々を救助するタイムパトロール隊(T・P)の並平凡(なみひら ぼん)とリーム・ストリーム(第1部)、安川ユミ子(第2・3部)らの活躍を描いたSF作品である。

歴史上の出来事に入り込むぼんたちの冒険にヒューマニズムあり、風刺あり、ギャグあり、お色気ありのバラエティに富んだ作品となっているが、これまでの小学館の学年別学習雑誌連載作品よりも読者の年齢層をやや高めに設定した作風となっている。

処刑や事故など人の死を描いたシーンが多い。そのため藤子・F・不二雄作品としては異例ながら血しぶきが登場することも多いが、最終的にはハッピーエンドを迎えることが多く、全体的な作品のトーンは明るい。

主人公たちの所属するタイムパトロールには過去の時代の人間に未来の技術が目撃されてはならないという厳格なルールがあり、救助行動はその時代の誰にも気取られないような秘密行動でなくてはならない。便利な未来道具もおおっぴらには使えないため、その使い方に様々なアイデアや工夫をこらす過程が毎話のストーリーラインの中心となる。

万が一タイムトラベルの秘密が過去の人間に知られてしまった場合、事実上の抹殺(直接殺害するのではなく、さらに過去に行ってその人物の出生の契機を妨害し、存在そのものをなかったことにしてしまう)措置をとるなど、「公共全体の福祉の実現」のためにはやむを得ない犠牲も容認している。ただし、その人間を抹殺せずタイムパトロールの隊員に招き入れることもある(ぼんやユミ子がそれにあたる)。

助ける人間によっては未来の歴史に重大な変化が及ぼされることもあるため、歴史に影響しないと本部が判断したわずかな人物(もしくは動物)以外は、不幸な目に遭っていても救ってはならないと定めている。隊のこの非情な規律は、隊員であるぼんたちを葛藤させる要素として作中でもしばしば顔を出すことになる。

「紙に消しゴムを何度もかけると破れる」という例えが用いられて説明されるように、時空間はデリケートで同じ時間区をタイムマシンで何度も行き来することは時空を破壊することにつながるという設定があり、タイムパトロール隊は同じ時代の同じ場所に何度も介入してはならないとされている。タイムトラベルものにありがちな「任務に失敗してももう一回やり直せばよい」という安心感は本作から排除されており、スリリングなストーリー展開を実現している。

あらすじ

ある日、平凡な中学生・並平ぼん(なみひら ぼん)は、偶然からT・P(タイムパトロール)隊員の少女、リーム・ストリームと、彼女が連れた謎の生物・ブヨヨンと出会った。T・Pはぼんの生きる時代よりも未来に本部を置き、過去の歴史で不幸な死を遂げた者で生存させても歴史の流れに影響しない者の救助活動を行う組織である。T・Pの存在を明らかにすることは禁じられており、通常は隊の任務行動を目撃されても記憶消去装置・フォゲッターを使用することで被救助者を含む周囲の人々の記憶からT・Pに関する記憶のみを消去していた。万が一記憶を消せなかった場合には過去に遡って出生を妨害し、その人間の存在を根本から消し去ってしまうという冷酷な処置をしなければならない。リームのうっかりミスから記憶が消去されなかったぼんは、そのためT・Pに消されそうになってしまう。ところが彼は非常に間接的ながらも第三次世界大戦勃発の阻止に関係する存在であることが判明し、やむなくT・Pは秘密保持のためにぼんを隊員として入隊させることとなる。

こうして見習い隊員となったぼんは、リームを指導隊員としてT・P隊員として任務をこなしてゆくことになる。様々な冒険を経た後、ぼんは正隊員に昇格することになり、リームとのコンビは解消となる。

正隊員に昇格したぼんは、初仕事として通り魔事件で殺されることになる女子中学生・安川ユミ子を救う任務を与えられるが、フォゲッターの使用を忘れてユミ子にT・Pの存在を知られてしまう。このままではT・Pの鉄則によりユミ子を消さなくてはならないため、困り果てたぼんは本部にユミ子を助手としてT・Pに採用するよう頼むことになる。ぼんと見習い隊員となったユミ子(後に正隊員に昇格)は人々を救うべく活躍する。

キャラクター

並平 凡(なみひら ぼん)
主人公。劇中ではひらがなで「ぼん」と書かれることがほとんどで、学校の友達からは並平(さん)と呼ばれる。名前の通り、特に取り得の無い平凡な中学生で共働き家庭の一人っ子。ある日任務中のT・P隊員リームに偶然遭遇し、本来ならその記憶を消去される所をリームのミスで消去し損なったためT・Pからその存在を消されそうになる。しかし、ぼんを消すと未来に大きな影響を与えることが判明したため、T・Pの秘密を守るため見習い隊員に任命される。
第2部から正隊員に昇格しリームから一本立ちする。が、正隊員になってからの初めての任務の際のミスから安川ユミ子にT・Pの存在を知られてしまい、存在を消す代わりに本部に頼み込んでユミ子をT・Pに採用してもらい、以後ユミ子とコンビを組んで行動をすることになる。
なにかと軽率な行動をとったり、フォゲッターの作動をしょっちゅう忘れるなど、T・P隊員としてはとても優秀とは言い難い。第3部になってからは、ユミ子に対してベテラン面をして仕事を簡単に済ませようとしたり失敗したりしてユミ子にフォローされることが多い。
T・Pも存在を消すことができなかったぼんが歴史に与える影響とは、ムシャクシャしていたぼんが学校帰りに腹いせに蹴った小石が原因になった。
蹴ったその小石が通行人の頭に当たり、怒った通行人がぼんを追いかけている最中にたまたま古井戸の後に落ちていた子供を見つけてその命を助ける。通行人に見つけられなければ死ぬことになったであろうその子供は、その後成人してガンの根治法を発見し、それにより第三次世界大戦の危機を解消させ、人類を絶滅から救うことになる政治家の命を助けることになる。小石一個を蹴った偶然から、ぼんは非常に間接的にだが人類の未来を救ったことになる(なお、アニメではこの設定は省略されている)。
絵は下手なものの、ある漫画の同人誌の会長から「不思議なギャグのセンスが光っている」と評価され、仲間にならないかと勧誘を受けたことがあるが入ったかどうかは不明。
リーム・ストリーム
ぼんが偶然出会ったT・P隊員。第1部のみ登場[3]。身長はぼんより頭半分ほど高い。自分の活動をぼんに目撃され、その上記憶を消し忘れると言うミスを犯してしまい、ぼんをT・P隊員見習いとして指導することになる。
2016年に住むミドルスクールの3年生。両親もリームがT・P隊員であることは知らない。
性格はマジメで、T・P隊員としての強い使命感を持っている。キリリとしたお姉さん的な性格で、見習い隊員のぼんを懇切丁寧にリードしてくれる[4]
カナヅチで泳げないが、「バカンスは恐竜に乗って」や「マラトン大会戦」ではタイムパトロールの装備を使って泳いでいる。
アニメでは目の色(原作では黒だがアニメでは青)等デザインが異なっている。またぼんとのコンビ解消後も最後まで出番があり、時間犯罪に手を染めようとする肉親との葛藤や『酸素』を通じたぼんとの恋愛要素の強化もあって実質的なヒロインとして扱われている。
藤子ヒロインとしては珍しいロングヘアである。
ブヨヨン
第1部のみ登場。リームが時間移動の為異次元空間を移動している時に、タイムボートに張り付きついて来たゼリー状の超空間生物。人間の言葉を話す高い知能を持っていて、リームのパートナーを自称するが、T・Pの公認ではない。オシッコには消火能力がある。勘が冴えており、何度かぼんとリームのピンチを救ったことがある。
アニメではぼんがリームとのコンビを解消した後も最後まで出番があった。またリームやぼん以外のT・P隊員と行動を共にしていたり、ゲイラがぼんに彼を連れて行くよう指示を出す場面等T・Pからある程度公認されていると思われる。
安川 ユミ子(やすかわ ユミこ)
第2部より登場。ぼんと同じ時代、近所に住む13歳の中学生(学校は違う)。本来なら通り魔に殺害されるはずだったがT・P隊の正隊員となったぼんの登場で無かったことになる。ぼんの持っていたT・Pの道具を使い自分で通り魔を撃退するが、その際にぼんがフォゲッターの作動を忘れたためにT・Pの秘密を知ってしまう。ぼんは正体を知った対象者を歴史から抹消する行為ができず、本部にユミ子の入隊を要請。以後T・Pの見習い隊員としてぼんと行動することになる。
基本的に明るく温厚な性格。好奇心が強く活発な行動も見せるが、やや天然ボケぎみで妙にトロンとしたところがある。学校の成績はよく、スポーツも得意でテニスが好き。
第3部から正隊員に昇格。ぼんを凌ぐ活躍ぶりを見せることが多い。優しく純情な性格から、任務で救えない人々に強く同情してしまう。
アニメでは容姿やぼんのクラスメートという設定等白木陽子の要素を取り入れている。正隊員に昇格したばかりのぼんの制服姿とタイムボートを目撃してしまい、タイムボートを誤作動させた挙句に任務遂行中に負傷したリームに遭遇、ぼんの連絡を受けて駆けつけたゲイラに自分を売り込んでいきなり正隊員として迎えられた。
かなり生意気だが利発であり、納得できない事に対しては本部からの命令にも断固として逆らう。
白石 鉄男(しらいし てつお)
ぼんの友人。ぼんともみ合った弾みで自宅マンションのベランダから転落死したがT・Pのリームが時間を逆行させた事で転落死は帳消しとなる。T・Pからは歴史に関わらない人物と判定されている。ぼんたちの野球チームで監督を務めている。
白木 陽子(しらき ようこ)
ぼんの友人。ぼん・鉄男・柳沢といつも行動している紅一点の女の子。連載初期には、ぼんの宿題提出に先生宅まで付き合ったりと仲が良かったが、安川ユミ子の登場後出番が減ってしまった(アニメ版ではユミ子がぼんのクラスメイトという設定になったため未登場)。
柳沢(やなぎさわ)
ぼんの友人でメガネをかけた少年。歴史から昆虫まで精通する博識家。
古田(ふるた)
乱暴者。風貌はジャイアンブルドッグを彷彿とさせる。愛称は「ブルタ」。
ゲイラ
T・P本部に所属する監察官。第1話でぼんの処遇をリームに伝えるため登場し、以後もT・Pとしてのぼんの活動(ユミ子が登場してからは彼女も含む)を監督・指導する。
アニメでは髭を蓄えた熟年に改められ、任務に厳格なイメージが増した。

タイムパトロールの道具

タイムボート
本作品において使用される個人用のタイムマシン。外見は、流線型の機体の後部に大きなトランクが付属しており、オートバイのように直接またがって運転する。時間移動はレバーを握ることでコンピュータが脳の電流を読み取り、自動的に調整を行う。そのため操縦系統はレバーとスターター、ブレーキペダルのみの単純なもので、メーターなどは存在しない(ただし、後の描写ではメーターの表示に言及するシーンがある)。また、ボートで通常空間を飛ぶこともできる。放置されると自動的に隠れ、登録された声で呼ばれない限り出てこない「自動かくれんぼ機能」が備わっており、タイムマシンの秘密が漏れないようにセキュリティには気を使われているが、かくれんぼ機能が故障したのか、アラビアの町でアラジン少年に拾われ魔法のランプと勘違いされたこともある。
背部に設置された大型のトランクスペースは物品の収納以外にも様々な機能を持つ。現場で何か物品を調達する必要が出てきたとき、タイムパトロール本部に連絡すればこのトランクを通じて必要な物品を時空転送してもらうことができる。その他、航時法や特定の時代で活動するための知識を直接脳へ送り込む「圧縮学習装置」、特定の時代の特定の場所の映像と音声を受信する「ビジプレート」などの機能がトランクスペースに備わっている。第3部からはトランクが小型化された新型機が配備された。
圧縮学習法(あっしゅくがくしゅうほう)
T・P隊員の初期教育及び任務に必要な情報を知る為の方法。資料を収めたメディアや書物自体をセットし、接触端子を額に取り付ける事で必要な知識・情報を短時間で覚える事が出来る。ただし、この方法で得た知識は繰り返し活用しない限り、自然と忘れてしまい長続きしない。
ぼんは学校の宿題などにも応用しているが上記の特性ゆえ、学業成績にはあまり反映されていない。
制服(せいふく)
ちょっとしたバリヤーが張られ、温度・気圧・水圧の変化から守ってくれる。作中では水中での活動を可能にしたり、煮えたぎる熱湯に入っても何ともない、などの描写があった。ただし、第1話でリームがおぼれたり、矢が刺さってT・P隊員が倒れる描写もあり、防御効果がどのように、どれだけあるのかは不明瞭である。第2部で支給されたユミ子の制服はぼんやリームのものとはデザインが異なっており、第3部からはぼんの制服もリニューアルされた。
ヘルメット
核爆発にも耐えられる。だが、ヘルメットは核爆発に耐えられても制服は耐えられるのかは不明。またヘルメット自体についても、ヘルメットの上から槍で叩かれて倒れる描写がある。リニューアルされた制服ではヘアバンド状の装備品に変更され、ヘルメットはなくなった。アニメでは登場しない。
ブーツ
かかとが「引き出し超空間」になっていてタイムコントローラーなどの多くのものが入る。
タイムシーバー
バッジ状の通信機。時間を超えた通信が出来る。通信可能な時間範囲は設定上では前後14時間前後に限られるとなっているのだが、作中の描写ではリームが2016年からぼんに連絡している描写があり、正確な通信可能な時間範囲は不明。呼び出し音が腹を壊したときの音に似ているらしく、呼び出し音を聞いた周りの人がぼんの健康を気遣って、彼が席をはずすのを容認するくだりが何度かある。
フォゲッター
腕輪状の装置でT・P入隊者に最初に与えられる装備品。周囲の人間の大脳に働きかけ、T・P隊員を目撃した記憶だけを選択的に失わせる。起動したフォゲッターの効果範囲内にいる対象はその時点では記憶を失うことはないが、隊員からある程度距離を離れた時点で、T・P隊員に関する記憶が失われる。フォゲッターのスイッチを押していない時に隊員が目撃された場合はそれを忘れさせることはできない。また、写真など他の媒体に記録されたものには当然ながら効果がない。
T・Pが活動中は、この装置を必ず起動させておく規則になっているが、任務達成に現地の人間の協力が必須な場合は、あえてフォゲッターのスイッチを押さないこともある(その場合は現地人に変装し、未来人だとバレないように振舞う必要がある)。ぼんやリームは「スイッチを押し忘れる」というドジを踏むことが頻繁にあり、そのおかげでトラブルに巻き込まれることも多い。この逆に「スイッチを切り忘れた」ため、協力を取り付けた現地人がその記憶をなくしてしまい任務達成の計画に狂いが生じたこともある。
生体コントローラー(せいたいコントローラー)
拳銃のような機械で動物に電極を打ち込むことで、自分の脳からの指令を相手の筋肉に伝え、行動をコントロールする機械。動物を乗り物として利用したり、「困っている人を動物が助ける」という状況を演出するのに使われる[5]。第2話でT・P隊員の装備品が解説されるくだりでは「生体ラジコン」と書かれているが、作品全般では「生体コントローラー」表記が多い。
チェックカード
「安全カード」と呼ばれることもある。対象物にかざすと、歴史に影響を与える存在であれば光って知らせる。光の強さは対象の歴史に対する重要度で変化する。T・P隊員が本来の救助対象以外の人物を救助するとき、あるいは生体コントローラーなどで相手を利用するときは、このカードで相手が歴史上の影響がない存在かを確認しなければならない。カードに反応した相手には極力干渉してはならないとされている。
タイムコントローラー
杖のような形の機械でT・P装備品の中でも正隊員にならなければ支給されない。周囲の時間を遅くさせる「スローモーション」、逆に加速させる「コマ落とし」、一時停止させる「タイムロック」(限度は30分)、時間を逆転させる「巻き戻し」などの操作を手軽に行うことができる。なお、これらのうち「巻き戻し」の機能はタイムボートでも使用可能だが、いずれでの使用も時空間にほころびを生じさせる原因となるため、気軽に使用することは推奨されないとされている。
ホログラム
未来技術によって臨場感たっぷりに作られた立体映像。T・P隊員の依頼に応じて作成される。「自動反応装置」によって、周りで起こった物理現象に自動で合わせる(ホログラムの怪物が、打ち込まれた矢に合わせて倒れる、など)こともできる。現場の文化圏で信仰されている神様の映像を使って、救助対象を助けるための「神託」を演出するという使い方が多いが、リームいわく、大抵の人間は「自分の信じたいことだけ信じる」ため、めったに効果はないとのこと。
エイシャ錠(エイシャじょう)
老化を防ぐ薬。特定の時代に長期間とどまって仕事をするときに飲む。飲み過ぎると赤ん坊になる。
ルーツ探知機(ルーツたんちき)
2つのプラグを1人1つずつ握ると、その2人の共通の祖先がわかる。
系類ガス(けいるいガス)
T・Pの新発明。小さな球状の物体で、投げて当てると破裂してガスが出て、その煙を浴びた人同士はマインドコントロールされてお互いを肉親だと思い込む。(ただし相手からは若干不自然に思われる)。T・Pが任務中の時代の人物になりすます必要があるとき、現地で肉親を作るために使用される。ただし効果は両方に及ぶため、効き目が切れるまではT・Pの方もその人に対し家族への情を感じてしまう。

アニメ

概要

1989年10月14日に、日本テレビ系にて2時間の特別番組「藤子・F・不二雄アニメスペシャル SFアドベンチャー T・Pぼん」として放送された(放送時間は19:00 - 20:54)。原作の「消されてたまるか」「バカンスは恐竜に乗って」「ピラミッドの秘密」「通り魔殺人事件」「T・P隊員の犯罪」の各エピソードを元に構成されている。タイムボートの形状やユニフォームが最初から後期のデザインになっている。

アニメではいくつかの設定が変更された。安川ユミ子はぼんのクラスメートということになっており、白木陽子は登場しない。「T・P隊員の犯罪」に登場する19世紀の隊員ジョン・デフォーは、リームの兄という設定になっているほか、結末が原作とは正反対に改変されている。

1988年、アメリカの物理学者キップ・ソーンがタイムマシンの研究をしているというニュースがあり、オープニングでその新聞の記事のシーンがあった。

スタッフ

  • 原作:藤子・F・不二雄
  • 企画:武井英彦(日本テレビ
  • 脚本:雪室俊一
  • 作画監督:丹内司
  • 美術監督:小林七郎
  • 撮影監督:羽山泰功
  • 音響監督:藤山房伸
  • 音楽:筒井広志
  • プロデュサー補:福与雅子(日本テレビ)、早坂仁(スタッフ21
  • ファッションコーディネーター:三浦静加
  • プロデュサー:堀越徹(日本テレビ)、菅野てつ勇(スタッフ21)、若菜章夫ぎゃろっぷ
  • 監督、コンテ:湯山邦彦
  • 演出:風村久生
  • 原画:山内昇寿郎、山本哲也、尾鷲英俊末吉裕一郎金山明博、アベ正己、細山正樹、茶谷与志雄、塚本哲哉、小川博司、中村あゆみ
  • 動画チェック:中村裕
  • 動画:日野寧子、鈴木宮生、今井誠、岡島八大、直原真治、橋本明美、小川祐子、藤本真弓、古沢八重子、荒野真理子
  • 色指定:田原洋
  • 特殊効果:橋爪朋二
  • 仕上:森沢千代美、久保田曜子、米井ふじの、柏谷正子、柳登紀、坂本和子、東恵美子、砂川敬子、矢田葉子、江田政子
  • 美術設定:木村真二
  • 背景:柴田聡、磯部文江、白石誠、嶋田昭夫、近藤康敬、柿本八起
  • 撮影:清水泰宏、小堤勝哉、田村洋、赤沢賢二、西山城作、荒川智志、小林徹
  • 編集:古池東風
  • タイトル:マキ・プロ
  • 現像:東京現像所
  • 音響制作:セントラル録音
  • 効果:加藤昭二(アニメサウンドプロダクション
  • 録音調整:星野敏昭、住谷真
  • 録音スタジオ:東京テレビセンター
  • 制作進行:中野徹
  • 音響プロデュサー:南沢道義
  • 広報担当:岩上喜達(日本テレビ)
  • 制作担当:若菜三樹雄
  • 制作デスク:和崎伸之
  • 制作協力:小学館バップ
  • アニメーション制作:スタジオぎゃろっぷ
  • 制作:日本テレビ、スタッフ21
  • オープニング主題歌:「時間をこえて」ドリーミング
  • エンディング主題歌:「伝えたい」ドリーミング

声の出演

既刊単行本

単行本未収録話について

概要の節ですでに語られたとおり、本作品は掲載誌の変遷や連載形式の変更などから全3部に大別される。このうち「第3部」に分類される11話は、単行本のシリーズごとに収録数が大きく異なり、雑誌掲載から25年以上一度も単行本に収録されていない「幻の話」も存在していた。

No. コミックトム掲載号 初出副題 単行本掲載時副題
1 1984年6月号 「トロイ伝説を信じた男」 「トロイが滅びた日」
2 1984年8月号 「浦島太郎伝説」 「浦島太郎即日帰郷」
3 1984年10月号 「ノアの箱舟」 「誰が箱舟を造ったか」
4 1984年12月号 「死神の大軍」
5 1985年2月号 「鉄の町の秘密」
6 1985年4月号 「古代の大病院」
7 1985年6月号 「十字軍の少年騎士」
8 1986年3月号 「神の怒り」
9 1986年4月号 「ローマの軍道」
10 1986年6月号 「王妃ネフェルティティ」
11 1986年7月号 「ひすい珠の謎」

連載当時から刊行されていた、潮出版社の「希望コミックス(1979年 - 1985年)」には、上記No.1-5、7の6話が収録された。連載自体は第5巻の発売以後も不定期に続いていたが、以降の単行本が発売されることはなく、結果的に希望コミックス版は5巻で完結、未収録のNo.6、8-11は「幻の話」と化した。

中央公論社から発売された「愛蔵版(1991年)」、「中公文庫版(1995年)」、および「藤子不二雄ランド(1988年 - 1991年)」には、第3部の話がいっさい収録されていない。このため、希望コミックス版が発売された1985年から、後述するアイランド・コミックス版が発売される2002年までの約17年間、No.1-5、7を含めた版が発売されることはなく、これらの6話も「幻」となっていた。

2002年になって、嶋中書店からコンビニエンスストア向けのペーパーバックで、「復活・幻の6話収録シリーズ」をうたった「アイランド・コミックスPrimo T・Pぼん」が発売された。ここで言う「幻の6話」とは、希望コミックスに収録されていたNo.1-5、7を指す。そのうちNo.2「浦島太郎即日帰郷」のみは第3巻に収録され、残りの5話が第5巻に収録された。それゆえ第5巻にのみ「幻の5話収録」の宣伝文が付いている(ここで言う「幻の5話」が、当時一度も単行本に収録されていなかったNo.6、8-11を指していないことに注意)。

2008年、潮出版社から「希望コミックス T・Pぼんスペシャル版」と題した愛蔵版が全3巻で発売された。このスペシャル版3巻には、No.1-5、7の6話および今まで一度も単行本収録されていなかったNo.6、8、9の3話、すなわち上表のうちNo.10、11を除く9作品が収録されている(No.10、11が収録されなかった理由は不明)。なお、新規収録作のうちNo.9「ローマの軍道」は、雑誌掲載時の構成に比べてコマの追加や描き換えが行われ、4ページ相当の加筆となっている。

このように、No.10、11の2話が一度も単行本に収録されていない「幻の話」と化していた。だが、2012年3月23日発売の藤子・F・不二雄大全集(第3期)『T・Pぼん』第3巻にNo.10、11が収録され、これで全話が単行本化されることになった。ただ、「王妃ネフェルティティ」のみ、現存する原稿が修正途中の状態で単行本収録が困難なため、掲載誌からの収録となっている。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:藤子不二雄

テンプレート:Asbox
  1. テンプレート:Cite book
  2. 作中で主人公が住んでいる時代よりも未来へ行ったのは1回だけ(PART14、超空間の漂流者)であり、本作は基本的には過去の時代のみを舞台にする物語である
  3. 第2部でも2コマのみ、過去のぼんとの活動をぼんとユミ子が目撃する場面が一応ある。
  4. ただし、ブヨヨンによると、タイムボートのメンテナンスを怠ってよく故障させているらしく、地はややドジで面倒くさがりらしい。マジメで丁寧に振る舞っているのは、新人のぼんの手前にいるためと思われる。いずれにしても使命感・責任感は強いといえる。
  5. 前述したようにフォゲッターは記憶は消せても記録や痕跡までは消せない。そのため、T・Pの隊員は自身の存在の秘匿のために「救助対象に対して隊員が直接干渉をせずに救助すること」が求められる。その手段の一つに「近場にいる動物を操って救助対象を助ける」ことがある。なお操る動物自体も未来の歴史に関係してる可能性があるため、コントローラーを使う前にチェックカードで確かめる必要がある