ツンドラ気候
テンプレート:ケッペンの気候区分図 ツンドラ気候(ツンドラきこう)とはケッペンの気候区分における気候区のひとつで寒帯に属する。記号はETで、Eは寒帯、Tはツンドラ(Tundre)を意味する。
ツンドラとは本来、サーミ語・ウラル地方の言語で「木がない土地」を意味する。気候が森林の生育に不適格なため樹木が成長せず、永久凍土が広がっていることが多い。
条件
最暖月平均気温が0℃以上10℃未満。最寒月平均気温及び降水量についての条件はない。年中平均気温が9度であっても該当する。
特徴
主に北半球の大陸北部及びグリーンランド周辺に分布し一年のほとんどは氷雪に覆われているが夏には永久凍土がとけ、ツンドラと呼ばれる蘚苔類(せんたいるい)や地衣類などの植物により、ごくわずかではあるが覆われる。少数のイヌイット(北米)、サーミ人(北欧)などが生活を行っておりトナカイの遊牧が盛んである。
分布
北アメリカ大陸やユーラシア大陸の北極海沿岸、グリーンランド南部などの北極海沿岸、チリの最南部(フェゴ島)、インド洋南部のケルゲレン諸島、南極半島など。またチベット高原・富士山頂[1]などもこの気候に属するが、高山気候を定義する場合は高山気候に属する。
都市・町村・集落
人間の居住が困難なため、この気候区の地域は人口が希薄で大都市は発達していない。ツンドラ気候に存在する都市としてはウシュアイア(アルゼンチン、人口約6万4000人、Cfcに属することもある)、アナディリ(ロシア、人口約1万1000人、Dfcに属することもある)がある。
その他には、ジクソン(ロシア)、バロー(アメリカ合衆国アラスカ州)、イカルイト(カナダ)といった人口数千人の小都市・町村が存在するのみである。
気候特性
極高圧帯の影響で降水量(積雪)は少ないが、春と秋には若干の降水がある。冬の間はEF(氷雪気候)より寒冷となる地域もある。またアイスランド北部、フエゴ島、ケルゲレン諸島等最寒月平均気温が-3℃以下に下がらないが最暖月平均気温が10℃に達する月がないためこの気候に分布される地域も存在する。極地の場合は白夜と極夜となる。
生態系
一年の半分以上は氷雪に覆われているが、短い夏の間だけ永久凍土の表面が解けて地衣類や蘚苔類が生育する「ツンドラ」と呼ばれる植物帯がひろがる。地衣類や蘚苔類、草本類などの生育が見られる事から氷雪気候の地域に比べて生態系は多様である。キツネやクマなどの哺乳類や鳥類、昆虫など寒地に適合した生物が定住している。
気候変動による影響
地球温暖化により、分布域は高緯度あるいは標高が高い場所に向かって移動すると予想される。平年値が上昇して、最暖月の平均気温が10.0℃以上になれば、定義上は温帯や冷帯に変わることになる。長期的には、植生が変化して、生態系への影響が懸念されている。また、以前は氷雪気候に属していた場所が、ツンドラ気候に変わることもありえる。
土壌
産業・産物
- 農業には全く適しておらず、トナカイなどの遊牧、狩猟・海洋漁業と鉱業のみに適する。カナダ原産の犬であるラブラドール・レトリバーはラブラドール半島北部で魚網やそこからこぼれた魚の回収を業としていた。
- シベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュート、サモエドはこの気候帯に暮らす民族にかわれていた犬がルーツである。
脚注
- ↑ 富士山年・月ごとの値(気象庁)最暖月平均気温は6.2℃