北陸工業地域
北陸工業地域(ほくりくこうぎょうちいき)は、北陸地方(新潟県、富山県、石川県、福井県)の日本海沿岸地域を中心に広がる工業地域である。[1]
概要
北陸工業地帯は雪の降りつもる農閑期の余剰労働力と、中央高地から流れ下る河川から得られる豊富な電力と良質の水を背景として発達した。特に富山県と新潟県(新潟市、三条市等)で重工業が発達している。主に機械工業・金属工業が盛んであるが、これに加えて他の工業地域では比重の少ない繊維工業が多いこと、それらが昔からの伝統工芸品ともかかわりが深いことが特徴でもある。 旧新潟鉄工グループは現在もディーゼルエンジンから鉄道車両、船舶、工作機械など多岐に渡る製品を製造しております。 また、洋食器の生産で世界的にも有名な三条・燕地域と隣接する南区、西蒲区には同製品の金属加工技術を活かし、石油ファンヒーターの国内シェア1位の企業や複雑な自動車エンジンの金型やハイブリット部品の製造を請負う企業などが多数集積しております。
かつて富山・高岡地区と新潟地区が新産業都市に指定されていた。
新潟県
新潟県#経済も参照
製紙業、金属加工業、重工業をはじめ、豊富な農水産業資源を生かした食品製造業も発達している他、国内では数少ない油田採掘施設がある。 新津車両製作所、新潟トランシスなど鉄道の工場がある。
富山県
富山県#経済も参照
立山連峰は冬の間に雪をたくわえ、春から夏にかけて豊富な雪解け水をもたらす。古くからダムが建設され水力発電が栄えてきた。北陸電力は現在でも全国一安い電力を供給し続けており、アルミ精錬など電気を多く使う産業が栄えてきた。精密回路など多量で良質の水を必要とする産業も発展している。
富山は富山平野に位置しており、工業地域の形成に有利である。産業構造の変化に伴い水田が工業用地や住宅地へ転用される傾向が続けている。
富山県は持ち家率と延べ床面積が日本で一番高く、独身者は親と同居しながら働くケースが多い。このことが労働力の価格競争力の高さにつながっている。また、結婚した者は早く家を建てるため親の支援を受けながら共働きする傾向が強く、共働き率は全国2位、世帯所得は全国1位である。このことも、安価で豊富な労働力を供給する結果になっている。
北陸銀行が地銀2位の規模を持つなど資本蓄積は大きい。富山銀行、富山第一銀行、富山県信用組合なども健全経営を保っており、県内企業の堅調さを支え、また支えられている。石川や北海道の破綻した金融機関の受け皿となり規模を拡大している。
富山新港や伏木港が工業製品の輸出や原料の輸入拠点となっており、いくらかの臨海工業地帯が形成されている。富山県はモータリゼーションに伴い、鉄道が衰退傾向である代わりに、道路整備に傾注しており、工業地帯も主要道路へのアクセスを念頭に置いて形成されていることが多い。
石川県
石川県#経済も参照
加賀藩のもとで栄えた金沢文化を背景に金箔や漆器といった伝統工芸品が有名。
明治時代になると繊維業の一大拠点となったが、新興国の台頭により停滞してしまう。近年では織機から発達した機械や電気機器の生産が盛んである。
小松市はコマツの発祥地であり、工場や関連企業もあることから企業城下町を形成しており、機械工業も発達している。
福井県
福井県#経済も参照
伝統的に軽工業が栄えてきた。鯖江市のメガネフレームなどが有名。
出典
- ↑ 学研学習事典データベース、1999年、「北陸工業地域」