数
数(かず、すう)とは、数量を表すために用いられる抽象的な概念である。コンピュータなど特定の分野においては数値(すうち)ともいう。
数と数字はしばしば混同され、また混同しても問題がない場合もあるが、本質的には異なる概念である。数とは物の数量などを表現しているのに対して、数字とは数を表すための記号(文字)である。
数の概念
数の体系
数の概念は人類の歴史とともに次第に拡張されてきた。もっとも素朴な存在としての数は、ものの個数としての自然数である。ここに負の整数を加えて整数、整数の商を考えて有理数と拡張され、四則演算が自由に行える体系を得る。有理数から実数への拡張はこのような演算とは異なるギャップを埋めることで得られ、代数方程式の解法を通じて虚数を含む複素数へと拡張される。
拡張
これらを更に別の観点から拡張した体系が存在する。例えば、ものの個数の概念である自然数を拡張して基数が、ものの順番を表す意味での自然数の拡張として順序数が定義される。複素数を更に拡張したものとして、四元数、八元数・十六元数などの体系がある。あるいは、実数に加えて無限小や無限大を含む超実数などの体系もある。
- 自然数 → 基数
- 基数 - 有限基数(= 自然数)、無限基数
- 自然数 → 順序数
- 順序数 - 有限順序数(= 自然数)、超限順序数
- 実数 → 複素数 → 四元数 → 八元数 → 十六元数
- 有理数 → p-進数 (+ 実数 → アデール)
- 実数 → 超実数
コンピュータにおける数値
コンピュータではすべてのデータを電気信号の流れで表す。この電気信号の流れを0(OFF)/1(ON)という数値(2進数)で表現し、演算に使用する数値も最終的には数値で表現できる。文字も最終的には文字コードという数値であり、例えば文字Aは標準的なASCIIコードやShift_JIS・UTF-8などでは0x41(10進数表記:65、小文字のaは0x61=97)である。同じように数字も文字として存在しており、文字 0 は数値にすると0x30=48である。
記数法
数を如何にして数字に表すかという方法は記数法と呼ばれる。同じ数が、さまざまな記数法によって異なる表示をもつことは珍しいことではない。それどころか、ある種の記数法ではその方法だけで表示が一つに定まらないことがある。例えば、十進小数表示では 1 = 0.999... (右辺は、小数点以下の全ての桁が 9)という二通りの表示をもつ。