鮮魚列車
(2007年8月8日 松阪駅付近)
鮮魚列車(せんぎょれっしゃ)とは、近畿日本鉄道(近鉄)が運行する、行商のための団体専用列車(行商専用列車)。
概要
近畿日本鉄道(近鉄)では、魚介類を一般列車に持ち込むと魚臭など他の客の迷惑になるため、「伊勢志摩魚行商組合連合会」のための専用車両・列車を仕立てることになり、1963年9月21日のダイヤ変更より「鮮魚列車」として魚介類行商人のための団体専用列車の運行を開始した(駅ホームの案内や車両の表示は「鮮魚」「貸切」)。連合会の会員以外の一般客は乗車することはできない。
車内には関係者数名を除いて、乗客はほとんど乗っていないが、伊勢・志摩の新鮮な魚介類が入った発泡スチロールや段ボールの箱などが積み込まれている。早朝に宇治山田駅を出発して、およそ2時間半をかけて大阪へとやってくる。
停車駅
宇治山田駅 - 伊勢市駅 - 松阪駅 - 伊勢中川駅 - 榊原温泉口駅 - 伊賀神戸駅 - 桔梗が丘駅 - 名張駅 - 榛原駅 - 桜井駅 - 大和八木駅 - 大和高田駅 - 鶴橋駅 - 大阪上本町駅
1976年3月18日ダイヤ改正以前の急行の停車駅と同じである。 なお、特急や快速急行などの通過待避のため、東青山駅や河内国分駅などの待避可能な駅に停車する事がある(その場合運転停車扱い)
車両変遷
専用車両指定後を示す。初期には2200系や初代1400系など一般車両や、それらを用途変更・改番した荷物電車が使用されていた。1970年代後半から下記の初代車両が使用されるようになり、1983年に専用車両として改番された。
- 600系(元大阪線・名古屋線特急車2250系3両、元京都線・橿原線特急車683系1両・元モ1421・元ク1321計6両改造・1983年(改番)~1989年)
- 1481系(通勤用1480系・1989年~2001年)
- 2680系(元急行用通勤車改造・2001年~)
現状
全盛期は100人を超える利用客がいたが、現在はその半分ほどに減少している。
近鉄以外の私鉄で運行されていた行商人専用列車も地方私鉄の相次ぐ廃線や合理化で縮小したが、近鉄の「鮮魚列車」は、自動車の普及や行商人の高齢化(後継者不足)などにより利用客が減少したものの、現在でも平日・土曜の朝に近鉄大阪線・近鉄山田線の宇治山田駅 - 大阪上本町駅間で、夕方に大阪上本町駅 - 松阪駅間で運行が行われている。現在、日本国内で運転されている鮮魚列車は近鉄のみとなっている。
大阪では高安、三重では明星で車庫待機する。車両は、2001年以降は2680系3両編成が使用されており、専用車として赤茶色一色の塗装(先頭部は一部白帯あり)がなされている。また、車両検査中は2610系が代走することもある。
- 近鉄の鮮魚列車.jpg
「鮮魚列車」で使用される2680系電車。
(2006年6月13日 榛原駅) - Kintetsu Sengyo Train Matsusaka Station.JPG
松阪駅での魚介類を入れた箱の積み込み風景。
(2007年8月8日) - Kintetsu Sengyo Train Matsusaka Station-2.JPG
車内へ積み込まれた魚介類を入れた箱。
(2007年8月8日) - 鮮魚.JPG
駅の案内表示器では「鮮魚」「CHARTER」と表示される。
(2008年9月19日)
関連項目
外部リンク
- 鮮魚列車(近鉄資料館)
- 平成20年度 水産白書 コラム:産地と消費地を列車でつなぐ「鮮魚列車」
- 都市伝説か「鮮魚列車」(上)、(下) 2014年1月12-13日 - 産経デジタル