丸山茂徳
丸山 茂徳(まるやま しげのり、1949年12月24日 - )は、プルームテクトニクスを提唱した日本の地質学者。東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻教授。
略歴・人物
徳島県の農家に生まれ、大自然の中で幼少期を過ごす。徳島県立富岡西高等学校、1972年徳島大学教育学部卒、金沢大学大学院修士課程を経て1977年に名古屋大学大学院博士課程修了。同年より米スタンフォード大学客員研究員。1980年 名古屋大学 理学博士、「四国中央部高知市北方の黒瀬川メランジ帯における蛇紋岩の造構論的意義 」。富山大学助手を経て1989年より東京大学教養学部助教授。1993年より東京工業大学理学部教授、のち大学院理工学研究科教授。
地球の表面に存在するプレート(厚さ約100km)の変動(テクトニクス)を扱うプレートテクトニクスに対し、深さ2,900kmに達するマントル全体の動き(対流運動)を仮説し、これらの運動をプルームテクトニクスと命名し、1994年に発表、当時の地質学界に衝撃を与えた。
プレートテクトニクスに関する業績
学術的業績は地殻に関するものが多く[1]、最も被引用数が多いのは数千万年前の日本[2]やフィリピン海[3]の地殻変動に関する論文である。
プルームテクトニクスの初出は1993年の朝日新聞紙上であるが、論文としては1994年の『Journal of the Geological Society of Japan』誌上。丸山がプルームテクトニクスの直接的な発想を得たのは、知人の地震学者である深尾良夫を名古屋大学に訪ねた時である。深尾は内部マントルの温度分布を p-wave Tomography を使って調べており、その当時の最新データを丸山に見せた。丸山はそれをマントルが熱対流している証拠であると考えたのである。プレートテクトニクスの不完全性は丸山以前から知られていた。
元々は変成岩岩石学を専門に地質学の研究を行っていたが、次第に学際的な研究に興味を移し近年は惑星の地殻変動と生物進化の歴史を関連付ける試みを行っている。
地球温暖化に関する主張
専門分野ではないが、地球温暖化に関する主張(IPCC第4次評価報告書等)に対して否定的な意見を持っており、いくつかの著書を出したり、温暖化を肯定する研究者と討論を行ったり等といった活動をしている。
著書(下記)等において、例えば下記のような考えに基づき、地球温暖化に関し否定的な主張を行っている。
- 太陽の活動度が高まっている
- 産業革命以前と現在では大気組成中の二酸化炭素の割合が1万分の1%しか上がっていない
- 温室効果ガスのほとんどが水蒸気である
- 現在太陽の活動が頭打ちの状態にあり、2050年には地球寒冷化の兆候が見られるはず
ただしこうした主張の根拠として、インパクトファクターが付与されるような丸山自身の論文が示されている訳ではない。また江守正多ら、当該分野の専門家によって反論も行われている[4][5]。地球温暖化に対する懐疑論も参照のこと。
主な受賞歴
著書
- 『46億年 地球は何をしてきたか?』 岩波書店〈地球を丸ごと考える〉、1993年。
- 大石容子絵 『ココロにのこる科学のおはなし』 数研出版〈チャートbooks〉、2006年。ISBN 4-410-13830-8。
- 『「地球温暖化」論に騙されるな!』 講談社、2008年。ISBN 978-4-06-214721-7。
- 『科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている』 宝島社新書、2008年。ISBN 978-4-7966-6291-8。
- 『地球温暖化対策が日本を滅ぼす』 PHP研究所、2008年。ISBN 978-4-569-70122-6。
- 『今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機』 ベストセラーズ、2009年。ISBN 978-4-584-13170-1。
共編著
- 磯崎行雄 『生命と地球の歴史』 岩波書店〈岩波新書〉、1998年。ISBN 4-00-430543-8。
- 力武常次・斎藤靖二共監修 『地球 改訂版』 学習研究社〈学研の図鑑〉、1998年。ISBN 4-05-201001-9。
- 熊澤峰夫共編 『プルームテクトニクスと全地球史解読』 岩波書店、2002年。ISBN 4-00-005945-9。
- 花輪公雄・中村尚・江口孝雄共監修・指導 『地球』 小学館〈小学館の図鑑・NEO〉、2007年。ISBN 978-4-09-217210-4。
- David A. Yuen (ed.), Shigenori Maruyama (ed.), Shun-Ichiro Karoto (ed.) and Brian F. Windley (ed.), 2007, Superplumes: Beyond Plate Tectonics, Springer-Verlag, ISBN 978-1402057496.
- 武田邦彦『「地球温暖化」論で日本人が殺される!』 講談社、2008年。ISBN 978-4-06-215036-1。
- ビック・ベーカー、ジェームス・ドーム 『火星の生命と大地46億年』 講談社、2008年。ISBN 978-4-06-154282-2。
参照資料
- ↑ ISI Web of Science および google scholarにて確認、2010年11月
- ↑ Island Arc Volume 6, Issue 1, pages 121–142, March 1997
- ↑ Tectonophysics Volume 102, Issues 1-4, 20 February 1984, Pages 53-84
- ↑ 明日香壽川、河宮未知生、高橋潔、吉村純、江守正多、伊勢武史、増田耕一、野沢徹、川村賢二、山本政一郎、地球温暖化懐疑論批判
- ↑ 地球環境研究センター、ココが知りたい温暖化