角川書店
テンプレート:Infobox publisher2 角川書店(かどかわしょてん)は、日本の出版社・KADOKAWAのブランドカンパニーの一つ。東京都千代田区に事業所を置く。
本項では、ブランドカンパニー化以前の株式会社角川書店についても解説する。
目次
歴史
株式会社角川書店(初代)
1945年、国文学者角川源義により創業。出版第1号は佐藤佐太郎歌集「歩道」。
創業当初は国文学関連書籍に強みを持つ出版社であったが、1970年代に入って角川文庫を文芸路線から横溝正史を初めとする一般大衆向けに路線転換し、成功を収める。1975年に角川春樹が社長就任後、翌年には映画製作に進出。書籍を映画化しテレビコマーシャルを利用して大々的に販売するメディアミックス戦略を成功させ、日本映画界に角川映画旋風を巻き起こした。
1980年代からは『ザテレビジョン』や『東京ウォーカー』などの情報誌、ゲームソフト制作なども行うようになり、80年代後半には漫画雑誌やゲーム雑誌を多数創刊。1988年には角川スニーカー文庫を創刊し、のちには関連会社(アスキー・メディアワークス・富士見書房)も含めて、ライトノベル市場の国内最大手となった。
株式会社角川書店(2代目)
2003年4月1日に持株会社制度に移行し、角川ホールディングス(現:KADOKAWA)に社名変更して純粋持ち株会社となる一方、事業会社として新規に株式会社角川書店を設立する。新しく設立された角川書店からは事業再編の一環として分社化が進められ、2004年1月に、映画製作を担当していたエンタテイメント部門を、同グループ傘下の角川大映映画(のち、角川映画)に譲渡。2006年4月には、角川ザテレビジョン、角川クロスメディアなどを同グループ内で分社化。
株式会社角川書店(3代目)
2007年には再度の分割により、出版・カルチャーコンテンツ部門のみが新設の株式会社角川書店(テンプレート:Lang-en)に移行し、雑誌事業部は角川マガジンズ、映像子会社は角川ヘラルド映画(のち、角川映画)にそれぞれ分割、譲渡されている。
2011年1月1日には角川映画を吸収合併、出版と映像の2つの事業を扱う形となった。
角川書店 ブランドカンパニー
2013年10月1日、KADOKAWAに吸収合併され、ブランドカンパニーとなった。
年表
初代角川書店時代
- 1945年11月10日、角川源義が角川書店を創業。
- 1949年、角川文庫の刊行。同時期に他社からも続々と文庫本が創刊され、第二次文庫ブームと呼ばれる。
- 1952年、全60巻の『昭和文学全集』を発行。1巻あたり10万部を売り上げるベストセラーになり、新潮社の『現代世界文学全集』とともに、戦後の全集ブームを牽引。
- 1954年4月2日、株式会社に改組。資本金は385万円。
- 1956年、4月に『角川国語辞典』、9月に『角川漢和辞典』を発刊し、辞典に進出。
- 1957年、高校教科書『国語(総合)』で教科書を手がけ始める。
- 1965年、角川春樹が入社。
- 1966年、角川歴彦が入社。
- 1971年、角川文庫から横溝正史作品を刊行。エンターテインメント路線の開始。
- 1975年、源義が死去。編集局長の春樹が社長に就任。
- 1976年、春樹が株式会社角川春樹事務所を設立。映画製作と出版を連携させ、角川映画ブームを起こす。角川文化振興財団を設立。
- 1982年、テレビ雑誌『ザテレビジョン』創刊。
- 1983年、ゲーム雑誌『コンプティーク』創刊。PCゲームや漫画などのマニア向けメディアミックスの足がかりとなる。
- 1985年、アニメ雑誌『月刊ニュータイプ』を創刊、少女漫画雑誌『月刊ASUKA』を創刊して少女漫画にも進出。
- 1988年、株式会社角川春樹事務所を吸収合併。以後、映画製作は角川書店本体が行なう。メディアミックス漫画雑誌『月刊コミックコンプ』を、『コンプティーク』の増刊として創刊。
- 1990年、都市情報誌『東京ウォーカー』を創刊。
- 1991年、株式会社富士見書房を吸収合併。角川書店内の富士見事業部として営業を継続。
- 1992年、副社長の歴彦が辞任。退社して株式会社メディアワークスを創業。
- 1993年、春樹が社長を解任される。歴彦が顧問として角川書店に復帰。さらに社長に就任。角川メディアオフィス、ザテレビジョンなど関係会社を吸収合併。角川書店内の雑誌事業部、ソフト事業部、雑誌編集部とする。
- 1994年、コミックコンプ休刊。少年漫画雑誌月刊少年エース創刊。
- 1995年、株式会社ヘラルド・エースを傘下に修める。新世紀エヴァンゲリオンが大ヒット。
- 1998年11月、東京証券取引所市場第二部上場。
- 1999年、東芝との合弁でテレビ番組の制作プロダクション「トスカドメイン」を設立。
- 2002年、映画会社大映を買収し、角川大映映画を設立。主婦の友社傘下だったメディアワークスを子会社に。
二代目角川書店時代
- 2003年4月1日、(初代の)株式会社角川書店を、株式会社角川ホールディングスに社名変更し、持株会社化。出版業務は新たに設立した(2代目)株式会社角川書店に事業譲渡。
- 2004年1月、角川書店からエンタテインメント事業部を分割、角川大映映画に譲渡。
- 2004年3月18日、角川ホールディングスが株式を公開買付けし、メディアリーヴスを子会社にする。
- 2004年9月、角川ホールディングス、東京証券取引所市場第一部に移行
- 2005年10月1日、角川書店から富士見事業部を分割、新たに株式会社富士見書房を設立。
- 2006年4月1日、角川書店からウォーカー事業部と雑誌事業部のザテレビジョン部門を分割、ウォーカー事業部と角川書店北海道、ウォーカープラスを統合した「角川クロスメディア」、ザテレビジョン部門と角川インタラクティブ・メディアを統合した「角川ザテレビジョン」を新設。
- 2006年7月1日、株式会社角川ホールディングスが、社名を株式会社角川グループホールディングス(角川GHD)に変更。
三代目角川書店時代
- 2007年1月、(2代目の)株式会社角川書店を会社分割し、出版事業部・カルチャーコンテンツ事業部を新設する(3代目)「株式会社角川書店」に、雑誌事業部を「角川マガジンズ」に、映像関連子会社とその管理を角川ヘラルド映画に、経営管理・統括部門を角川GHDに、それぞれ承継・吸収し、残った出版販売・調達等事業サポート部門(旧・株式会社角川書店)を「角川グループパブリッシング」に社名変更。また、角川GHDから「角川マガジングループ」を分割・設立し、角川マガジンズ・角川SSコミュニケーションズを統括する中間持株会社とする。
- 2008年4月、角川マガジングループを「角川マーケティング」に社名変更し、クロスメディア事業を統括する中間持株会社とする。同時に、角川ザテレビジョン、角川クロスメディア、角川デジックスなどの角川GHD・角川書店傘下のクロスメディア系子会社が、角川マーケティング傘下に移動。
- 2011年1月、角川映画を吸収合併。「角川映画」の名称は映像事業のブランドとして存続する[1]。
- 2011年1月20日、角川ゲームスが同年4月1日より角川書店他グループ各社の家庭用ゲームパブリッシング事業を角川ゲームスに統合することを発表[2]。
- 2011年6月13日、本社を角川第3本社ビルに移転。これに先立つ形で同年5月30日に管理局及び紀尾井町オフィス(旧角川映画本社)が同所に移転しており、本社の統合が完了。
- 2012年5月、NTTドコモと共同でスマートフォン向けアニメ配信事業を行う合弁会社、株式会社ドコモ・アニメストアを設立。
- 2013年3月29日、角川シネプレックスがユナイテッド・エンターテインメント・ホールディングス傘下になるのに伴い、角川シネマ新宿、角川シネマ有楽町が角川書店直営に移行する。
- 2013年4月、スタジオ事業部門を株式会社角川大映スタジオとして分離して設立。
- 2013年6月22日、株式会社角川グループホールディングスの商号を株式会社KADOKAWAに変更。
角川書店 ブランドカンパニー時代
角川グループ
テンプレート:Main 角川書店を母体とするKADOKAWA(旧角川グループホールディングス)を中心とし、企業グループを構成している。
角川書店とゆかりのある会社
以下の各社は上述角川グループとの資本関係はない。
- 角川春樹事務所 - 元社長角川春樹によって設立。春樹が会長兼社長になっている。
- 幻戯書房 - 角川源義の娘で作家の辺見じゅんが設立した小規模の出版社。角川春樹が会長を務めており、角川春樹事務所と連携し、文芸本を手がける。
- 幻冬舎 - 1993年に、角川書店の有力編集者であった見城徹らが同社を退社して設立した。
角川書店・幻冬舎・角川春樹事務所の間を転職していく編集者もいる。
発行雑誌・書籍レーベル
※アスキー・メディアワークスなどの関連会社のものについてはここでは除外。
雑誌
- 小説野性時代(毎月12日発売)
- 月刊少年エース(毎月26日発売)
- ヤングエース(毎月4日発売)
- 月刊ガンダムエース(毎月26日発売)
- 4コマnanoエース(毎月9日発売)
- 月刊Asuka(毎月24日発売)
- CIEL(シエル)(奇数月30日発売)
- CIEL Tre Tre(シエル トレ・トレ)(偶数月30日発売)
- 月刊ニュータイプ(毎月10日発売)
- ニュータイプエース(毎月10日発売)
- アルティマエース(偶数月18日発売)
- サムライエース(偶数月26日発売)
- コミック怪(季刊4・7・10・1月発売)
- 月刊コンプティーク(毎月10日発売)
- 月刊コンプエース(毎月26日発売)
- ケロケロエース(毎月26日発売)
- ケロロランド(偶数月発売)
かつて発行・発売していた雑誌
書籍
- 角川文庫
- 角川つばさ文庫
- カドカワノベルズ(休刊)
- カドカワ・エンタテインメント
- カドカワ 銀のさじ
- 角川oneテーマ21
- book plus
- 角川叢書
- 角川選書
- 角川EpuB選書
- 角川ブックス
- カドカワコミックス
- あすかコミックス
- ニュータイプ100%コミックス
教科書
- 高等学校教科書
- 「高等学校 現代文」
辞典・辞書
- 角川古語大辞典
- 角川国語大辞典
- 角川書道大字典
- 角川大字源
- 角川国語辞典
- 角川漢和辞典
- 角川古語辞典
- 角川字源
- 角川新字源
- 角川漢和中辞典(貝塚茂樹ほか編)
- 角川新国語辞典(山田俊雄・吉川泰雄 編)
- 角川日本地名大辞典
映像関連
2009年1月31日付の産経新聞オンライン版では、角川グループホールディングスが著作権を有するアニメの違法アップロードは、YouTubeに限り作品によっては「公認バッジ」を与え、広告を動画に入れる事を条件に認めるとし、原則的に広告収入はYouTubeを経営する米グーグルと角川で分配し、優秀なMAD作品に対しては広告収入の一部を動画作成者に還元すると報道された。尚、これらの前提条件として示された物は「対象のアニメ作品に愛情が感じられる事」であった。[4] しかし、2011年10月12日付のJ-CASTニュースによると角川は、Shareにて角川アニメを違法に共有してた人物を告訴したが、その理由として「アニメなどの本編映像を使用する事を許可している訳では無く、MAD映像程度のものだけを許可している」と言った旨を角川書店法務部のコメントとして紹介した。[5] なお、現在の角川映像作品の取り扱い指針は角川デジックスにて説明されている。[6]
映画興行
2013年3月29日、子会社であった角川シネプレックスが、ユナイテッド・エンターテインメント・ホールディングスに譲渡されたため、角川シネマは角川書店直営となった。
- 角川シネマ新宿1・2 (東京都新宿区、新宿文化ビル内)<2スクリーン、300席/56席>
ゲームソフト
パソコンゲーム、特にアダルトゲームを家庭用ゲーム機用にして発売しているものが多い。2003年に新ブランド「WellMADE」を設立したが、現在は角川書店本体に吸収されている。2009年、ホビボックスとの共同ブランド「角川書店×HOBIBOX」(カドカワホビボックス)を設立。2011年4月に家庭用ゲームパブリッシング事業は角川ゲームスに統合されており、以後企画・制作を角川書店が、販売を角川ゲームスが手がけるという体制になっている。1997年にESPに出資し合同で設立したが、2002年以降は買収され現在は他社と合併している。
PlayStation 2
- 2000年
- 2001年
- 空戦
- 暴れん坊プリンセス
- ひっぱリンダ
- 2002年
- 2004年
- 空戦II
- らいむいろ戦奇譚☆純
- 機神咆吼デモンベイン
- 2005年
- GIRLSブラボー R15
- Natural2 -DUO- 桜色の季節
- キャッスルファンタジア エレンシア戦記 プラスストーリーズ
- メイプルカラーズ 〜決戦は学園祭!〜
- 戦闘国家-改- NEW OPERATIONS
- SHUFFLE! ON THE STAGE
- D.C. Four Seasons 〜ダ・カーポ〜 フォーシーズンズ
- 2007年
- 少年陰陽師 翼よいま、天へ還れ
- Fate/stay night [Realta Nua]
- 召喚少女 〜ElementalGirl Calling〜
- 2008年
- 2009年
- WellMADEブランド作品
- グリーングリーン 〜鐘ノ音ダイナミック〜
- グリーングリーン 〜鐘ノ音ロマンティック〜
- とらかぷっ! だーっしゅ!!
- おしえて! ぽぽたん
- 少女義経伝
PlayStation
- 東京ダンジョン
- スレイヤーズろいやる
- LUNAR SILVER STAR STORY
- スレイヤーズろいやる2
- モンスターコレクション 仮面の魔道士
- ゲートキーパーズ
- LUNAR2 ETERNAL BLUE
- ロマンスは剣の輝きII 〜銀の虹を探して〜
PlayStation Portable
- パズル-ぼくらの48時間戦争-
- 未来日記-13人目の日記所有者-
- 伝説の勇者の伝説 -LEGENDARY SAGA-
- らき☆すた ネットアイドル・マイスター
- 夜明け前より瑠璃色な PORTABLE
- burst error-EVE the 1st
- そらのおとしもの ドキドキサマーバケーション
- ひまわり -Pebble in the Sky- Portable(角川書店×HOBIBOX)
- リアルロデ PORTABLE
- ナルキッソス〜もしも明日があるなら〜Portable(角川書店×HOBIBOX)
- D.C.I&II P.S.P.〜ダ・カーポ I&II〜プラスシチュエーション ポータブル
- らき☆すた 〜陵桜学園 桜藤祭〜Portable
- 祝福のカンパネラ Portable
- 涼宮ハルヒちゃんの麻雀
- 咎狗の血 True Blood Portable
- 日常 (宇宙人)
- STEINS;GATE
- R-15 ぽーたぶる
- いつか天魔の黒ウサギ ポータブル
ニンテンドーDS
- らき☆すた 萌えドリル
- 真・らき☆すた 萌えドリル 〜旅立ち〜
- Really? Really! リアリアDS
- 生徒会の一存 -DSする生徒会-
- ストライクウィッチーズ2 いやす・なおす・ぷにぷにする
- そらのおとしもの フォルテ ドリーミーシーズン
その他
Wii
ゲームボーイアドバンス
- カエルBバック
ゲームボーイカラー
ドリームキャスト
Xbox
- WWE RAW
iPhone/iPod touch
メディアワークス問題(お家騒動)
1992年、当時の社長・角川春樹の下で副社長を務めていた春樹の実弟・角川歴彦が春樹との路線対立から突如辞任し、株式会社メディアワークスを設立。これに伴い歴彦が社長を務めていた角川メディアオフィスの従業員も大挙して退社、メディアワークスに移籍するという分裂状態が発生した。その後春樹がコカイン密輸容疑で逮捕され、春樹が社長を解任されると歴彦がメディアワークスの社長を兼務する形で角川書店に復帰し、最終的にはメディアワークスを角川書店の事実上子会社化することで決着を見た(メディアワークス社側から見た経緯についてはメディアワークス項を参照)。その後歴彦は角川ホールディングス会長に就任している。
メディアワークスが角川グループ入りしたことにより、漫画・ライトノベルなどで角川書店と重複する分野が発生した。更には『ファミ通』などのゲーム情報誌を発行するエンターブレイン(メディアリーヴス=アスキーグループ)が角川グループ入りしたことにより分野の重複が一層進んだ。当面は『ファミ通』とメディアワークスが発行する『電撃』の両ブランドは存続させることとなっているが、『電撃姫』を始めとする美少女ゲーム雑誌分野は再編が始まっている。
また、2007年9月にはメディアワークスとアスキーとの間で合併協議を開始したと発表、2008年4月1日付でアスキー・メディアワークスが発足しており、今後角川書店やエンターブレインを含めた角川グループ内の再編も注視されている。
2013年10月にKADOKAWAがアスキー・メディアワークスを吸収合併。