三菱・RVR
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RVR(アールブイアール[1])は、1991年から2002年まで三菱自動車工業が製造・販売していたトールワゴン型乗用車もしくは2010年2月から生産・販売しているコンパクトSUVである。
目次
概要
- RVブームの最中にデビュー。カープラザ店の専売車種であった。車名であるRVRとはRecreation Vehicle Runnerの頭文字をとったものである。なお、初代及び2代目のロゴは頭のRを左右反転させてキリル文字のЯのよう(「ЯVR」)にしてあり(偽キリル文字)、アンビグラムになっていた。シティユースを重視した4 - 5人乗りの広いキャビンと手頃なサイズ、開発・発表時期がバブル経済だったこともあり、スライドドア等による使い勝手の良さが好評を博した。
- トールワゴンでありながら、オフロード走行を意識したモデル「スポーツギア」を設定するなどの他社にはない独自の路線が受け、初代は特に好セールスを記録したが、RVブームの終焉とともに販売台数も下降。2002年8月に販売を終了した。
- その後2010年2月17日発売の新型SUVがRVRの名前を継承することが発表される。しかしスライドドアなどは装備されず、完全なSUVとなるためどちらかといえば「スポーツギア」の後継といったイメージである。またロゴも2代目までとは異なっており、Rの左右反転はなくなっている。
- 代表的なグレード名である「スポーツギア」はその後、同社のエアトレックやグランディスなどで復活している。
3代目発売まで
- 三菱自動車は2009年12月3日、2007年のフランクフルト・モーターショーで初めて披露された『Concept-cX』をベースに、2010年春市場に投入する予定の新型コンパクトSUVを日本では『RVR』として販売すると発表した。これにより8年ぶりに同車の名が復活した。ただしそれまでのコンパクトミニバンとしての性質よりもむしろ「アウトランダーの兄弟車」としてのコンパクトSUVの性質が強く、ドアもヒンジ式のドアを採用するなど、以前のRVRとの共通性はほとんどない。
- 燃費性能に優れる、新開発の1.8リッターMIVEC・DOHC16バルブエンジンを搭載する。フロントデザインは、三菱のミドルサイズSUVアウトランダーの北米仕様などと共通の「ジェットファイターグリル」と呼ばれるデザインモチーフを用いている。
初代(1991年 - 1997年)
特徴
- 1991年2月発表。デビュー前の2代目シャリオのシャシーコンポーネンツをショート化し、2列シート、片側スライドドアを装備したSUVテイストのトールワゴン。後席が通常の3人掛け(定員5名)とロングスライドシートの2人掛け(定員4人)の2タイプが設定されており、4人乗りタイプはシートアレンジ次第で後席で足が伸ばせるほどの広大な室内空間を作り出すことが可能。
- デビュー当初はNA2.0L/1.8Lガソリンエンジンのモデルのみだったが、その後ディーゼルターボエンジンを搭載したモデルが追加された。モデル中期には同社ランサーエボリューションにも搭載されている4G63型ターボエンジンのデチューンタイプを搭載したスポーツモデルの「X3」および「スーパースポーツギア」や、車体天井の前半を電動収納できる特異なオープンモデル「オープンギア」などを追加しバリエーションを拡大。最後に最強モデルとなる「ハイパースポーツギア」を1997年1月に追加した。
- ハイパースポーツギアのエンジンはランサーエボリューションと同等であり、RV版ランサーエボリューションとしての呼び声も高い。
- 開発時期の関係から、先代ギャランのメカニカルコンポーネンツの流用が多く、メカニズムに新しさはないが、基本的には信頼性があり頑丈である。ただし、個体によっては、ATミッションが6万km程度、プラグコードが3年程度で寿命を迎える、スロットルボディ回りのセンサーやサーボ機構が不調になる(アイドリングしないなどの症状として現れる)など、よく知られたトラブルはあるので、中古車を購入する際には注意が必要。
- AT車のシフトロック機構は電気的に制御するのではなく、ブレーキペダルから伸びたワイヤーで機械的に規制解除するという独特の方式であった。これはバッテリーがあがっても影響を受けないという利点があった。ただしブレーキペダルを深く踏み込まないと解除しないため、エンジン停止から時間が経過しブレーキマスターバック内の負圧が漏洩減少するとペダルストロークが不足し、解除が困難になる傾向があった。
歴史
- 1991年2月
- 発売開始。
- 当初は3グレードが用意され、2WD車は「S」、4WD車は「R」と「X」が設定され、いずれのグレードのにも5MT車と4AT車を設定した。
- 1991年6月
- 新たに、1.8Lの16バルブエンジンを搭載した「Z」を追加。
- 1992年10月
- 「スポーツギア」を追加。同時に「Z」の4WD車にディーゼルエンジン車を追加。
- 1993年5月
- 「1.8Z」の2WD車をベースに、ルーフレール、グリルガード、キーレスエントリーなどを標準装備した特別仕様車「Z スペシャルバージョン」を発売。
- 1993年8月
- 前席に電動オープンルーフを採用した3ドア仕様の「オープンギア」を追加。
- 1994年1月
- 「1.8Z」の4WD車をベースに、ルーフレールやフロントスポーツシートなどを標準装備した特別仕様車「スペシャルエディション」を発売。
- 1994年6月
- 「2.0オープンギア」の2WD車をベースにグリルガードやキーレスエントリーを装備した特別仕様車「オープンギアリミテッド」を発売。
- 1994年9月
- マイナーチェンジ。
- 2.0Lインタークーラーターボエンジンを追加し、ディーゼル車はインタークーラーターボエンジンとなった。また、フロントバンパーやヘッドランプの形状を変更し、よりRV車に近いデザインとなった。ラインナップも「X2」やインタークーラーターボエンジン搭載の「X3」、「スポーツギア」のワイドフェンダー&ターボ仕様「スーパースポーツギア」、「オープンギア」のワイドフェンダー&ターボ仕様「スーパーオープンギア」の4グレードを新たに追加した。
- 1994年10月
- 「2.0スポーツギア」をベースに、大型ストライプや専用アンダーガードバーなどを装備した特別仕様車「ワイルドギア」を発売。
- 1995年5月
- マイナーチェンジ。
- ディーゼル車が排ガス規制に適合(車両形式が「Y-」から「KD-」に変更)され、ボディカラーを一部変更した。
- 1995年6月
- 「2.0S」をベースにルーフレール、運転席エアバッグなどを装備した特別仕様車「バージョンS」を発売。
- 1995年10月
- 特別仕様車「ワイルドギア」を再発売。新たに専用大型フロントグリルガードを追加した。
- 1995年12月
- 「1.8スポーツギア」をベースに、ルーフレール、運転席エアバッグ、キーレスエントリーなどを装備した特別仕様車「スポーツギアリミテッド 1.8」を発売。
- 1996年1月
- 特別仕様車「スポーツギアリミテッド 2.0」と「X3スペシャル」を発売。
- 前者は「2.0スポーツギア」をベースに、アルミホイールとカセットデッキを装備。後者は「X3」をベースにフロントサイドスポイラーやリアスポイラーなどを装備したものである。
- 1996年5月
- マイナーチェンジ。
- 「スポーツギア」は2.0L車のみとなり、新たに「スポーツギアZ」を新設。また、全車に運転席エアバッグを標準装備した。
- 1997年1月
- 大型エアロパーツを装備した「ハイパースポーツギアZ」・「ハイパースポーツギアR」を追加。同時に「スポーツギア」をベースに、ABSやキーレスエントリーなどを装備した特別仕様車「スポーツギアV20」を発売。
- 1997年7月
- 「オープンギア」を仕様変更。
- 1997年9月
- 「スポーツギア」をベースに、ルーフレール、キーレスエントリー、ABS等を採用した特別仕様車「フィールドエクスプレス」を発売。
2代目(1997年 - 2002年)
特徴
- 先代同様にシャリオ(3代目、車名は「シャリオグランディス」に変更)のコンポーネンツをショート化して流用した。シャリオは3ナンバーサイズになったが、RVRは5ナンバーでミニバン風のルックスの「GDI RVR」と3ナンバーでクロスオーバーSUVの「RVR スポーツギア」の2つに分けられる形となった。 先代の特徴であったロングスライドシートやリアスライドドアなどの機構は踏襲されている。
- 1999年のマイナーチェンジ時に当時売れ行き好調であったシャリオグランディスの意匠をイメージさせる大幅なフェイスリフトが行われた。また要望の多かった両側スライドドア車も新設定された。スポーツギアはスペアタイヤキャリアや若干高められた車高等、オフロード色を二代目に於いても前面に出していたが、その後オンロードを重視した意匠の「スポーツギア・エアロ」が設定され、若者を中心にした新たなユーザー層開拓を図った。
- グレードは標準タイプの「X」(後期は「エクシード」)とスポーツタイプの「スポーツギア」に大きく分類され、標準タイプの「X」は1.8L ガソリンエンジンを、「スポーツギア」は2.4L GDIエンジンもしくは2L 4G63型ターボエンジンを搭載した。尚、最強モデルの「スポーツギアX3」は、レベライザー付きキセノンヘッドライトや本革巻ステアリング・シフトノブ、ハチドリの模様が織り込まれたオリジナルシートなどが奢られていた。
歴史
- 1997年11月
- フルモデルチェンジ。
- 当初は「RVR」は「X」・「X2」・「X2タイプS」の3グレード、「RVRスポーツギア」は「2.0X3」・「2.4X」・「2.4X2」の3グレードとなった。なお、5MT車は「スポーツギアX3」のみとなった。
- 1998年6月2日
- 「X」をベースに、ボディ同色の電動格納式ドアミラー・ドアハンドル、メッキのフロントグリルを採用して見栄えを向上させ、AM/FMラジオ+カセットステレオ+4スピーカーやマルチモードキーレスエントリーシステムを装備した「Xリミテッド」と「X2(4人乗り仕様)」をベースに、「Xリミテッド」と同等の外観やAM/FMラジオ+カセットステレオ+4スピーカー、オートエアコンなどを装備した「X2リミテッド」を追加。
- 1999年1月13日
- ブラウンの内装色に専用のシート生地、木目調のセンターパネルやメッシュ調のアルミホイールなどを採用し高級感を演出した他、三菱マルチコミュニケーションシステム(MMCS)、GDI ECOランプ、フルオートエアコン、電動格納式リモコンドアミラー、マルチモードキーレスエントリーシステムと充実の装備を備えた最上級グレード「スーパーエクシード」を追加。
- 1999年2月26日
- 1999年5月12日
- 「X2リミテッド」をベースに電動チルト&スライドサンルーフ、音声ガイド付きナビゲーション(MMCS)、TVチューナー、GDI ECOランプ、15インチアルミホイール、運転席アームレスト、ルーフレールなどを標準装備した特別仕様車「EXCEED サンルーフリミテッド」を発売。
- 1999年10月4日
- マイナーチェンジ。
- 「RVRスポーツギア」は外装をエアロタイプに一新し内装をスポーティーな印象に仕上げたオンロード志向モデル「エアロ」を追加。リアドアを両側スライドドアに変更し、運転席センターアームレストとGDI ECOランプも装備された。なお、既存グレードは「X3」のみに整理するとともに新グレードの「エアロ」には従来設定がなかった2WD車を追加した。「RVR」はグレード体系を「X」・「エクシード」・「スーパーエクシード」の3グレードに整理。「エクシード」と「スーパーエクシード」は両側スライドドアを採用すると共に、外内装のデザインも変更された。また、GDI ECOランプと運転席センターアームレスト(後者は「X」を除く)を標準装備した。なお、マイナーチェンジに伴い、5MTの設定がなくなった。
- 2000年7月3日
- 「エクシード」をベースに、MMCSを標準装備しながらベース車よりも10万円安い価格設定にした特別仕様車「ナビリミテッド」と「スポーツギア エアロ」をベースにMMCS、ディスチャージヘッドランプ、AM/FMラジオフルロジックカセット、6スピーカーを装備しながら価格上昇分を抑えた特別仕様車「スポーツギア エアロ ナビリミテッド」を発売。
- 2000年12月1日
- リア両側スライドドア、スライドドアアクティブパワーロック、15インチアルミホイール、マルチモードキーレスエントリーシステム、セーフティ機構付ワンタッチ式パワーウインド、プライバシーガラス、運転席アームレストなど機能を充実する一方、ユーザーが自由に選択できるようにナビゲーションシステムを非装着にした特別仕様車「エクシードL」を発売。
- 2002年8月
- 生産終了。
- 1997 Mitsubishi RVR 01.jpg
2代目RVRスポーツギア(前期型、1997年11月 -1999年10月)
- 1997 Mitsubishi RVR 02.jpg
2代目RVRスポーツギア(前期型・リア)
3代目(2010年 - )
シャーシ・ボディ
- ボディには、衝突安全強化ボディRISE(ライズ)が採用された。RISE(ライズ)は、高エネルギー吸収構造と高耐力キャビン構造と高張力鋼板の採用で、正面衝突をはじめオフセット衝突、側面衝突、後面衝突など、全方向の衝突安全性を飛躍的に向上させている。
エンジン
- パワートレインはギャランフォルティスにも搭載される1.8リットル「MIVEC」DOHC・16バルブエンジンの4B10型に「INVECS-III」6速スポーツモードCVTを組み合わせ。減速エネルギー回生システム(高効率発電制御)や電動パワーステアリング、空力性能の向上をはじめとする細部にわたる低燃費化技術の採用で、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成22年度燃費基準+15%」を同時に達成した。
- 後にに4J10 1.8L 直列4気筒SOHC16バルブを採用する。このエンジンはSOHCでありながら従来のDOHCエンジンと同等の性能を持ち、さらにAS&Gと組み合わせることで、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」に適合し、「平成27年度燃費基準」を達成した(「M」の4WD車は、メーカーオプションの装着により車両重量が1,421kg以上となった場合に達成する)。
- 尚、欧州仕様であるASXには同じDOHC・16バルブでも4N13型コモンレール式ターボディーゼルエンジンとなり、トランスミッションに6MTが組み合わされる。
サスペンション
- フロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式を採用している。
四輪駆動システム
- アウトランダーやデリカD:5と同じく電子制御4WDを採用している。電子制御4WDは燃費のよい「2WD」、路面状況や走行条件に応じて、前後に駆動力を適切に配分する「4WDオート」、強力なトラクションが得られる「4WDロック」の3モードを選択することができる。
自動車衝突安全テスト
機関 | 国 | 試験年 | 評価 | 備考 |
---|---|---|---|---|
JNCAP | 日本 | 2010年 | ★★★★★★ | 最高評価 |
ユーロNCAP | ヨーロッパ | 2011年 | ★★★★★ | 最高評価 |
ANCAP | オーストラリア | 2010年 | ★★★★★ | 最高評価 |
C-NCAP | 中国 | 2013年 | ★★★★★ | 最高評価は★★★★★+。但し、今まで該当車種なし。 |
IIHS | アメリカ | 2011年 | 2012トップセーフティピック | 最高評価 |
IIHS | アメリカ | 2012年 | 2013トップセーフティピック+ | 2年連続で最高評価 |
IIHS | アメリカ | 2013年 | 2014トップセーフティピック | 3年連続で最高評価 |
歴史
- 2010年2月17日
- 約7年間の時を経て、アウトランダーのコンポーネンツを流用したコンパクトSUVとして復活し発売開始。
- また夜間走行時に安全運転をサポートする大光量でワイドな配光の「スーパーワイドHIDヘッドライト」や、昼間は開放感を、夜間はムーディな室内空間を演出する、「パノラマガラスルーフ(LEDイルミネーション付)」、スマートなエンジン始動を実現する「エンジンスイッチ」を新たに採用した。
- インテリアはブラック基調の室内に手触りの良いソフトパッドや、シルバー・メッキ装飾をあしらった。
- さらに地上デジタルテレビ放送対応フルセグチューナー内蔵のHDDナビゲーションシステム、携帯音楽プレーヤーの接続をはじめ、USB/Bluetoothなどによる外部機器との接続通信ができる「Link System」も設定した:[3]。
- このクラスのライバルである日産・デュアリス(キャシュカイ)に関してはメーカー自身がベンチマークと言い切るほど強く意識している[2]。月間販売目標は1,500台と発表されている。
- 3代目RVRは5年目以降の車検入庫時に保証延長点検(24ヶ月定期点検相当)を受けることを条件に適用される「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種となっており、保証延長サービス開始前に購入したユーザーでも発売日まで遡って適合される。
- 2010年7月14日
- 「M」をベースに、スーパーワイドHIDヘッドライトとメッキフロントグリルを標準装備した特別仕様車「BEAM Edition」を発売。
- 2010年8月24日
- 中国にて三菱ASXとして発売開始。現地生産ではなく輸入車として販売。
- 2010年12月2日
- 特別仕様車「1st Anniversary Edition」を発売。
- 「M」、「G」をベースに、地上デジタルチューナー内蔵7インチワイドディスプレイHDDナビゲーション(MMCS)+6スピーカー、ビルトインETCユニットを特別装備。さらに、「M」は「G」に標準装備されているフルオートエアコン、オーディオスイッチ付本革ステアリングホイール&本革シフトノブ、前後スライド式アームレスト&コンソールトレイも装備された。
- 2011年6月2日
- 同社のデリカD:5やアウトランダーで人気の高いエアロ仕様の特装車「ROADEST(ローデスト)」を発売。
- 「M」・「G」をベースに、グリル一体型専用フロントエアロバンパー(フォグランプ・LEDデイライト組込)、専用リアエアダム(ステンレス製ヒートプロテクター組込)を採用し、テールゲートには「ROADEST」エンブレムを装着。インテリアではブラックのクロスファブリックとシルバー&ブラックのスウェード調ニットを組み合わせた専用シートを採用するとともに、エアコンダイヤルとドライブモードセレクター(4WD車のみ)のリング部にはクロームメッキを採用した。また、「ROADEST M」は上級グレードの「G」に標準装備されているメッキタイプのベルトラインモール、ヒーター/ウインカー付リモコンドアミラー、マフラーカッター、エンジンスイッチ+キーレスオペレーションシステム、ハイコントラストメーター、本革巻きステアリングホイール&シフトノブ、フルオートエアコンを標準装備。「ROADEST G」はインパネセンターパネルとシフトパネルにブラック塗装を採用した。
- 2011年10月20日
- マイナーチェンジ。
- 「M」と「G」に新開発の「4J10」エンジンを搭載。4J10はボアxストロークならびに加えて最高出力は従来の4B10と同じだが、MIVECの動作機構を変更し、DOHCからSOHCに変更することでエンジン重量とフリクションロスを抑えた。同時に、日本国内のSUVでは初となるアイドリングストップシステム「オートストップ&ゴー(AS&G)」も採用することで「平成22年度燃費基準+25%」を達成した。装備的には、自動防眩機能と後退時に後方が映し出される3.3インチリヤビューモニター付ルームミラーをオプション設定するとともに、「M」「G」の2WD車にはアクティブスタビリティコントロール(ASC)とヒルスタートアシストを標準装備(4WD車は従来から標準装備)。「G」はさらにメーターリング部・オートエアコン操作ダイヤル・ドライブモードセレクター(4WD車のみ)をクローム化した。このほか、ブレーキオーバーライド制御が新採用され、前後ショックアブソーバー・電動パワーステアリングを改良、シート生地や16インチホイールカバーのデザインも変更された。なお、「E」は2WD車のみの設定になり、「M」・「G」はエンジンの置換に伴って車両型式がGA4W型に変更となった。
- 2011年12月
- 「ASX」として台湾での発売を開始。
- 2012年3月
- 2012年10月18日
- マイナーチェンジ。
- 前後バンパーのデザインや造形を変更するとともに前後バンパー下部とサイドシルガーニッシュをボディ同色からブラックに変更。ボディカラーはカワセミブルーメタリックとコスミックブルーマイカを廃止する替わりにクォーツブラウンメタリックを追加して6色に整理した。インテリアではメインシート生地の柄を変更するとともに、フロントドアトリムのピンモールとメーターリングをクロムメッキ化した。CVTにはアクセル操作に対してエンジン回転数と車速がリニアに追従することでCVT特有の滑り感を減少させる制御技術を採用して加速性能を高め、シャシーはリヤサスペンションのトレーリングアームの形状を見直し、サスペンションアームのレイアウトを最適化。同時にショックアブソーバーやスタビライザーのチューニングを行ったことで操舵安定性と乗り心地を高めた。さらに、廉価グレードの「E」ではエンジンを「M」や「G」と同じ4J10型に置換し、アイドリングストップ機構「AS&G」を標準装備したことで燃費を大幅に向上して「平成27年度燃費基準」を達成するとともに、アクティブスタビリティコントロール(ASC)とヒルスタートアシストを標準装備した。
- 2013年7月18日
- 一部改良。
- 「G」に装備されているウィンカー付ドアミラーの形状を変更したことで風切り音を低減し、静粛性を向上。そのほか、全車でサスペンションのチューニングを行い、後席シートバックの形状を変更。さらに、4WD車は寒冷地仕様を標準装備化した。
- 2013年7月26日
- 2014年4月25日
- 一部改良[4]。
- CVTのギヤ比幅を拡大したことで加速性能と燃費を向上。これにより、「G」の4WD車は「平成27年度燃費基準+10%」を、「M」の4WD車は「平成27年度燃費基準」をそれぞれ達成した(2WD車は従来通り「平成27年度燃費基準」達成)。併せて、電動パワーステアリングとサスペンション設定を最適化したことで操舵安定性と乗り心地も向上した。
- 外観ではフロントバンパーの左右下部にあるフォグランプベゼルにLEDデイライトが組み込まれ、新デザインの17インチアルミホイール(切削光沢仕上げ)を採用。フロントフェンダーに装着されていたサイドアンダーミラーはドアミラーと一体化することで廃止。ボディカラーは「クォーツブラウンメタリック」と入れ替えで「ライトニングブルーマイカ」を追加。内装ではセンターパネルを「E」と「M」はカーボン調、「G」はピアノブラック調にそれぞれ変更した。
基本グレード(特別仕様車除く)
- 全車2WDと4WDが選べる(欧州仕様を除く、日本仕様の「E」は2011年10月より2WDのみの設定)。
- 日本仕様の価格については消費税込、現在製造されているモデルに関しては8%消費税込の価格
- 欧州仕様の価格については1ユーロ=約125円で換算
グレード | 製造年 | エンジン型式 | エンジン | 排気量 | 最大出力 | 最大トルク | 変速機 | 牽引能力 | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本仕様 | ||||||||||
E | 2010年2月 -2012年10月 |
4B10 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブ | 1,798cc | 139PS/6,000rpm | 17.5kg・m /4,200rpm |
CVT | FF 4WD |
1,785,000円 (1,995,000円) | |
2012年10月 - | 4J10 | 直列4気筒SOHC16バルブ | 1,911,600円 | |||||||
M | 2010年2月 -2011年10月 |
4B10 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブ | 1,921,500円 (2,184,000円) | ||||||
2011年10月 - | 4J10 | 直列4気筒SOHC16バルブ | 2,053,080円 (2,289,600円) | |||||||
G | 2010年2月 -2011年10月 |
4B10 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブ | 2,187,150円 (2,449,650円) | ||||||
2011年10月 - | 4J10 | 直列4気筒SOHC16バルブ | 2,353,320円 (2,589,840円) | |||||||
ローデスト M | 2011年6月 -2011年10月 |
4B10 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブ | 1,798cc | 139PS/6,000rpm | 17.5kg・m /4,200rpm |
CVT | FF 4WD |
2,236,500円 (2,499,000円) | |
2011年10月 - | 4J10 | 直列4気筒SOHC16バルブ | 2,377,080円 (2,613,600円) | |||||||
ローデスト G | 2011年6月 -2011年10月 |
4B10 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブ | 2,428,650円 (2,691,150円) | ||||||
2011年10月 - | 4J10 | 直列4気筒SOHC16バルブ | 2,563,920円 (2,800,440円) | |||||||
欧州仕様 | ||||||||||
ASX Attivo 2WD Manual |
2010年6月 - | 4A92 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブ | 1590cc | 117PS/6,000rpm | 15.7kg・m /4,000rpm |
5MT | 1,200kg | FF | £15,499.00 (約1,945,834円) |
ASX 2 2WD Manual | £16,499.00 (約2,071,380円) | |||||||||
ASX 3 2WD Manual | £18,359.00 (約2,304,895円) | |||||||||
ASX 4 2WD Manual | £20,505.00 (約2,574,317円) | |||||||||
ASX 3 2WD /4WD Manual |
2010年6月 - | 4N13 (MIVEC) |
直列4気筒DOHC16バルブDI-D | 1,798cc | 150PS/4,000rpm | 31.0 kg・m /2,000-3,000rpm |
5MT | 1,400kg | FF 4WD |
2:£20,599.00 (約2,586,118円) 4:£22,749.00 (約2,856,041円) |
ASX 4 2WD /4WD Manual |
2:£22,745.00 (約2,855,539円) 4:£24,895.00 (約3,125,463円) | |||||||||
ASX 4Work 4WD Manual |
4WD | £23,999.00 (約3,012,974円) |
- Mitsubishi Concept-cX.jpg
コンセプトCX
(3代目の源流となったコンセプトモデル)
日本国外での販売ならびにOEM
- 北米では、初代がシャリオの一グレード「Expo LRV」として販売されたほか、クライスラー社の、イーグルブランドにて、イーグル・サミットワゴン、プリムスブランドとダッジブランドでもコルト ビスタの名前で販売された。
- なお、2代目についてはOEM供給は行われなかった。
- 欧州では三菱ブランドで、現地名スペースランナーとして輸出された。
- 3代目は欧州、南米諸国、オーストラリア、ジャマイカ、中国、台湾、ロシア、ブラジルへはASX(Active Sports Crossover(=X-over)の略)アメリカへはアウトランダースポーツ[5]、韓国とカナダは日本と同じRVR[6]として輸出・販売されるが、アメリカ向けについては2012年7月よりイリノイ州での現地生産に切り替え[7]、韓国向けについても米韓自由貿易協定(FTA)によりアメリカ生産分へ切り替えられる[8]。また、中国向けは広汽三菱汽車にて、そして、ブラジル向けにおいても2013年7月より日本からの輸入から現地生産分に切り替えている。尚、2013年8月現在において、韓国と台湾ではすでに販売を終了している。
- ガソリンエンジンは、北米、シンガポール、中国、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド仕様に4B11 2,000cc、欧州仕様に4A92 1,600ccが設定され、ディーゼルエンジンは欧州とオーストラリア、ニュージーランド向けに4N13 1,800cc直噴ターボ・ディーゼルの設定がある。ロシア、ウクライナでは3種全てのガソリンエンジンが設定されている。
- また2010年4月27日にはPSAグループとの間でアウトランダーに続きOEM供給することに合意し、同日発表した[9]。プジョー版が4008、シトロエン版がC4エアクロス(C4 AIRCROSS )という車名になる。いずれも外観はRVRと異なる独自の物である。
- Mitsubishi Expo LRV 1.jpg
Expo LRV
- Eagle-Summit-wagon.jpg
イーグル・サミットワゴン
- Mitsubishi Space Runner front 20080121.jpg
欧州仕様:スペースランナー
- Mitsubishi Space Runner rear 20080121.jpg
欧州仕様:スペースランナー(リア)
- Mitsubishi ASX front-1 20100717.jpg
欧州仕様:ASX
- 2012-03-07 Motorshow Geneva 4382.JPG
プジョー・4008
- 2012-03-07 Motorshow Geneva 4513.JPG
シトロエン・C4エアクロス
車名の由来
- Recreational Vehicle Runner の頭字語を取ってつけられた。初代・2代目は最初のRは鏡文字になっており、Vの中央を境に線対称になるデザインとなっている。尚、車両コンセプトの違う3代目においてRVRを復活させた理由については時間とコストをかけずにアピールできる方法を思案した結果、三菱の持っている資産(登録商標やブランドイメージ)を活用するのが得策と考えたからである[10]。3代目に設定される「ROADEST」については他車同様、道を意味する「Road」と最上級を意味する「est」を掛け合わせた造語である。
プロトタイプ
1996年のパリ・ダカール・ラリーにRVRを冠したプロトタイプ車「RVRスペースランナー」が出場、増岡浩選手が乗り総合6位で完走した。基本的な構造はパジェロプロトタイプに近かった。
- 排気量 - 2,416cc
- 最高出力 - 300馬力/4,000rpm
- 最大トルク - 60kg-m/3,000rpm
- 最高速度 - 250km/h
また、市販車改造部門にもスポーツギアがエントリーしたことがある。左ハンドル仕様で、スライド式ドアがガルウイングドアに改められていた他、サスペンションが前後ともにパジェロ・プロトと同様のスイングアーム式ダブルウィッシュボーンに改められていた事が特筆される。ミツビシの取材用車両及び、プライベーターから各一度ずつエントリーしている。
脚注
- ↑ 三菱自動車「三菱自動車、ジャストサイズの新型コンパクトSUV『RVR』を新発売」2010年2月17日付、2012年11月12日閲覧。
- ↑ 【三菱 RVR 新型発表】日産の遊牧民を追う三菱のカワセミレスポンス 2010年2月19日
- ↑ 三菱自動車、ブラジルでコンパクトSUV『ASX』の現地生産を開始三菱自動車工業プレスリリース 2013年7月26日(2013年8月27日 閲覧)
- ↑ コンパクトSUV『RVR』を一部改良して発売 - 三菱自動車工業 プレスリリース 2014年4月25日
- ↑ [1]
- ↑ [2]
- ↑ 三菱自動車、米国イリノイ工場で『アウトランダースポーツ』の現地生産を開始三菱自動車工業プレスリリース 2012年7月17日(2012年7月22日 閲覧)
- ↑ 三菱自、韓国に米国生産車を輸出 きょうFTA発効Sankei biz 2012年3月15日(2012年4月5日閲覧)
- ↑ 三菱、PSAにRVRベースのSUVを供給カービュー 2010年4月27日
- ↑ 【三菱 RVR 新型発表】RVR の車名が復活したわけレスポンス 2010年3月18日