神戸電気鉄道1100系電車
神戸電気鉄道1100系電車(こうべでんきてつどう1100けいでんしゃ)は、神戸電気鉄道(1988年に神戸電鉄に改称)が1969年に導入を開始した通勤形電車。1000系列を構成するグループの1つであり、3両固定編成を基本とするデ1100形、デ1150形によって構成される系列である。
本項では1991年に登場したワンマン対応車で、1100系と同様の3両固定編成を組む1500系についても解説する。
目次
概要
3両編成運用の増加に伴い、1969年より製造を開始した3両固定編成の系列である。
編成は中間に付随車を組み込んだ2M1Tとされ、電動車の主電動機出力が従来車の75kWから105kWに向上している。台車もデ1000形・デ1050形と同様のウイングバネ式であるが、付随台車が設定されたため電動車が川崎681、付随車が川崎682を装着する。
系列別概説
1100系
デ1100形
1969年から1972年まで製造された2扉車。従来はデ310形・デ1000形の2両編成を基本にラッシュ時にデ1050形を増結する運用が行われていたが、沿線の住宅開発に伴う乗客の増加によって3両編成の運用が増加したことから、3両固定編成を組むデ1100形として1969年より製造が開始された。
中間に付随車を組み込んだMc1 - T - Mc2の固定編成を組んでいるが、主電動機を従来の1.5倍の出力とした三菱電機製MB-3088-B(105kW×4、ギア比99:16)とすることで、全電動車3両編成と同等の性能を発揮できるようになっている。主制御器も各電動車に1つの制御器で4個の主電動機を制御する1C4M方式のABF-144-15MDHを搭載する。
形式は電動車のデ1100形と中間付随車サ1200形の2形式で構成される。編成は13編成39両が製作され、5000系の増備が完了するまで最大の所帯を有していた。最終増備車の1212・1213はデ860形864・865からの改造編入車であり[1]、台車も種車と同様の川崎641を履いている。
- デ1100形
- パンタグラフと主制御器を搭載する制御電動車。1101 - 1126の26両が製造された。
- サ1200形
- 補助電源装置と空気圧縮機を搭載する付随車。1201 - 1213の13両が製造された。
デ1150形
デ1100形を基本にデ1320形と同様の3扉車としたグループで、1977年と1987年に各1編成の合計2編成6両が製造された。電動車はデ1150形、中間付随車はサ1250形を称するが、この2形式を総括して1150系と称する文献も存在している。電動車のパンタグラフの位置が従来車の運転台側から変更されており、連結面側に設置されている。
1977年製造の1151編成 (1151-1251-1152) は非冷房車として落成し、車内の内張りも淡青色のデコラ張りであった。1991年に冷房化が実施されている。デ1350形1361編成と同時期の1987年に製造された1153編成 (1153-1252-1154) は登場時より冷房を搭載、内張りも3000系・デ1350形と同様の木目調となり、乗務員扉と客用扉の間の戸袋部分にKマークが設置された。塗装もベージュを基本に窓周りと裾部を赤色とした新塗装を採用している。
- デ1150形
- パンタグラフと主制御器を搭載する制御電動車。1151 - 1154の4両が製造された。
- サ1250形
- 補助電源装置と空気圧縮機を搭載する付随車。1251・1252の2両が製造された。
1500系
1500形
老朽化した800系の代替と公園都市線の2000系が検査入場する際のワンマン対応予備車として、1991年に1500形の2編成が製造された。デ1100形と同様、付随車を挟んだ3両編成を組む。本形式が1000系列の最終製造グループとなった。「デ」、「サ」の形式記号は省略されている[2]。基本的な仕様はデ1150形1153編成と同様であるが、ワンマン装置の搭載に伴いドアブザーが設置されている。台車は軸バネにエリゴバネを採用した軸梁式のKW-150(M車)、KW-160(T車)に変更された。
通常時は粟生線の3両編成運用に就き、2000系が検査入場する際のみ公園都市線の運用に入る運行形態が長らく続いていたが、神戸電鉄全線でのワンマン運転の開始に伴って現在では他の3両編成と共通の運用に就いている。
- 1500形
- パンタグラフと主制御器を搭載する制御電動車。1501 - 1504の4両が製造された。
- 1600形
- 電動発電機と空気圧縮機を搭載する付随車。1601・1602の2両が製造された。
運用・改造
1974年4月より、ラッシュ時の粟生線にて3両編成に1両を増結する4両連解運用が開始され、増結車となるデ1070形が製造された。押部谷駅での連結解放作業の効率化のため、デ1100形1112 - 1126(神戸寄先頭車)の連結器が電気連結器付き密着連結器に取り替えられている。1978年からは2両を増結する5両編成の運用を開始し、増結解放も志染駅で実施されることとなった。
1986年からは1000系列の冷房化工事が開始され、デ1350形と同様のCU-193形分散式ユニットクーラーを1両につき3台を設置、1989年からは冷房化と並行して側面行先方向幕の設置も行われた。
2000年には1115編成、1119編成、1125編成の間で4両固定編成を組成するための編成替えが実施された。この際に余剰となった中間付随車の1213が廃車となっている。
- 1115-1125-1208-1116
- 1119-1210-1126-1120
2001年6月のダイヤ改正に伴い、粟生線志染以西の4両化と有馬線の有馬口 - 有馬温泉間折返し列車のワンマン化が実施された。これに伴ってデ1100形3両編成5本(1101編成 - 1109編成)のワンマン化改造が実施されている。1108、1110には連解装置が残り、粟生線の5両連解運用にも充当されていた。
上記と並行して、1100系とデ1070形による4両固定編成が組成された。
- 1074-1111-1206-1112
- 1075-1113-1207-1114
- 1076-1153-1252-1154
2005年9月、1123編成が編成を解除され、1124を1121編成に組み込んだ4両固定編成の組成とワンマン化改造が実施された。これにより1123と1212が2008年4月に廃車となり[3]、800系からの改造車が消滅した[4]。
- 1121-1211-1124-1122
2008年には1116編成のワンマン化が実施され、ドアチャイムが同年6月に営業運転を開始した6000系と同一仕様になり、扉上部に扉開閉予告灯が設置された。2009年には同様の改造内容で1119編成のワンマン化が実施されている。
2009年3月のダイヤ改正では5両編成運用が廃止となりツーマン運用も消滅、最後までワンマン非対応編成として残った1117編成が2011年に廃車となった。1117は小野市にある制御機器メーカーカコテクノスに譲渡され[5]、小野工場の敷地内に静態保存されている[6]。
2012年4月現在、デ1100形・デ1150形は3両編成の6本18両、および4両編成の6本24両からデ1070形3両を除いた21両の合計39両、1500形は3両編成2本の6両が在籍しており、3両編成は神鉄全線、4両編成は公園都市線以外の各線で運用されている。
脚注
参考文献
外部リンク
- 台車近影 川崎682/神戸電鉄1100系 - 鉄道ホビダス