ステレオフォニックス
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ステレオフォニックス (Stereophonics) は、イギリスのロックバンド。略称はフォニックス。日本ではステフォ。
1999年のセカンドアルバム『パフォーマンス・アンド・カクテルズ』から6作目の『プル・ザ・ピン』まで5作連続で全英1位を獲得するなど、セールス面で2000年代を代表するイギリスのロックバンド。地元ウェールズでは城を使ったライブを行うなど英国圏ではスタジアム級の動員を誇る。
デビュー当初から、骨太でアーシーな男気溢れるサウンドとケリーのハスキーボーカルが特徴。アメリカのロックから影響を受けており、王道のアメリカン・ルーツ・ロックと英国バンドらしいポップネスが同居したメロディーによってブリットポップ終焉後のUKシーンを牽引してきた。
何度も来日公演を行っており、単独ツアーの他、フジ・ロック・フェスティバルに2回、サマーソニックにも2回出演している。2008年にはASIAN KUNG-FU GENERATIONの主催するNANO-MUGEN FES.に出演、さらに2010年にはUKバンドのショウケースであるブリティッシュ・アンセムズにも登場した。
メンバー
- ケリー・ジョーンズ Kelly Jones/ボーカル、ギター
- リチャード・ジョーンズ Richard Jones/ベース
ケリーとリチャードが同姓なのは偶然で血縁関係はない。 - ジェイミー・モリソン Jamie Morrison/ドラム
2012年加入。 - アダム・ジンダーニ Adam Zindani/ギター、バック・ボーカル
2006年からツアーメンバーとしてバンドに帯同。2008年に正式メンバーとして加入。
元メンバー
- スチュアート・ケーブル Stuart Cable/ドラム
- オリジナルメンバー。2003年にアルコールとドラッグの問題により脱退。2010年6月5日にウェールズ南部の自宅で死去。
歴史
バンド結成
1981年、南ウェールズの小さな田舎町・カマーマンにて、幼馴染であったケリー、リチャード、スチュアートの3人によって結成される。バンド名は、スチュアートの家で使っていた蓄音機のメーカー名“ステレオフォニックス”から拝借したもの。当時はメンバーも子供でよくあるアマチュアバンドにすぎなかった。
デビュー〜『ワード・ゲッツ・アラウンド』
1996年、インディーズでのライブ活動が徐々に評判となりだしたフォニックスのもとに、ヴァージン・アトランティック航空の総裁リチャード・ブランソンが新設したV2レコードの第1弾アーティストとしての契約話が舞い込む。
V2と契約したバンドは、1997年、シングル「ローカル・ボーイ・イン・ザ・フォトグラフ」でメジャーデビュー。続く3枚のシングルはリリースごとに少しずつチャート上位にランクインしていき、1stアルバム『ワード・ゲッツ・アラウンド』は初登場で6位にチャートイン。そのまま100万枚を売り上げてゴールド・ディスク獲得の大ヒットとなった。翌年のブリット・アワードでは最優秀新人賞を受賞するなど、ブリットポップブームが終息に向かい出していた当時にあっては、期待の大型新人として迎えられた。
また、ヘヴィ・メタルの有力専門誌「ケラング!」誌においても最優秀ブリティッシュ・バンドを受賞(しかし当のメンバーもそのファンベースもバンド自体を「メタルバンド」とは認識しておらず、なぜか「ケラング!」誌に載ってしまったことが滑稽であったという)。
同6月には、地元ウェールズのカーディフ城にて1万人を集める凱旋ライブを開催。
『パフォーマンス・アンド・カクテルズ』
1stアルバムの好評をうけてデビューシングルの「ローカル・ボーイ~」を再リリースすると(全英15位)、1999年春には早くも2ndアルバム『パフォーマンス・アンド・カクテルズ』を発表。デビュー作でみせた王道ロック路線をより推し進めた出来となり、堂々の初登場1位を獲得。その後もアルバムは1年近くチャートインし続けるロングヒットとなってプラチナム・セールスを記録し、シングルカットされた5曲も軒並みヒットする好調ぶりであった。中でも先行シングルとなった「ザ・バーテンダー・アンド・ザ・スィーフ」(全英3位)は初期の代表曲となっている。
同年7月には地元のモーファ・スタジアムに5万人を集めた単独ライブを開催するなど、同郷の大物バンドであるマニック・ストリート・プリーチャーズと肩を並べる存在に急成長した。
『J.E.E.P』
鳴り物入りのデビューからセカンドアルバムの大成功にいたるまで、バンドは休むことなく活動を続けていたが、延々と続く世界ツアーによるメンバーの疲労困憊は極限に達しつつあった。一時はバンド解散も取りざたされた中で製作されたサードアルバム『ジャスト・イナフ・エデュケーション・トゥ・パフォーム』(それぞれの単語の頭文字をとって「ジープ」と呼ばれる。実際、バンド側もそのようにアルバムタイトルを命名するつもりであったが、自動車ブランドジープとの商標上の兼ね合いから、あくまでも通称扱いとなっている)は、そんなメンバーの心情を色濃く反映したダークで内省的な仕上がりとなった。
特に、先行シングルの「ミスター・ライター」(全英5位)は、バンドを取り巻くマスコミを直接的に風刺した曲であったためメディア筋からは当然批判的なレビューで迎えられたが、それでもアルバムは1位を獲得し、2作連続のミリオンセラーでプラチナ・ディスクの大ヒットとなった。
また同2001年は、アッシュ、ブラック・クロウズをサポートに起用したカー・レース場ライブに14万人を動員し、続けてダブリンはスレーン城での8万人ライブを敢行するなど、空前の大規模公演を連続実施した。翌年には英国最大のグラストンベリー・フェスティバルにてヘッドライナーを務め、その人気は名実共に頂点を極めた。
『ユー・ガッタ・ゴー・ゼア・トゥ・カム・バック』
2003年、4作目『ユー・ガッタ・ゴー・ゼア・トゥ・カム・バック』を発表。前作からみせていたアメリカン・ルーツ・ミュージックへの傾倒をより強め、さらにゴスペルやサザン・ロック色への接近を顕著にしたが、前作にあったダークさはやや薄れ、テンポを抑えつつもポジティブな空気で覆われたブルースアルバムともいえる成熟した雰囲気のアルバムとなっている。このアルバムからは「メイビー・トゥモロー」(全英3位)などのヒット・シングルが生まれた。
しかし、このアルバムリリースに伴う世界ツアー途中、9月の北米ツアーの最中にドラマーのスチュアートが突如脱退する事態が起こる(この件に関してバンドは多くを語らないが、病気と称してはバンド活動の無断欠席を繰り返すスチュアートをバンド側が解雇したとも言われている)。
その後、ブラック・クロウズのスティーブ・ゴーマンを代役に起用して何とかツアーは続行された。
『ランゲージ・セックス・ヴァイオレンス・アザー?』
その後しばらくバンドはドラムマシンなどを置いていたが、2004年末にアルゼンチン出身のハヴィエを正式なドラマーとして迎え入れ、従来通りのスリーピース・バンドとして活動を再開する。
そして翌2005年3月、通算5枚目となる『ランゲージ・セックス・ヴァイオレンス・アザー?』を発表。結成以来不動だったメンバーの交代という大きな節目を経て心機一転「フッきれた」バンドを象徴するかのように、このアルバムでは久々にフォニックスらしいパワフルな躍動感が目立ち、前2作にみられた作風からは大きく転換したものとなった。
同作からの1stシングルである「ダコタ」はバンド初となるシングルチャート初登場1位とダウンロードチャートでも1位を記録、さらに「スーパーマン」(全英13位)や「デヴィル」(全英11位)など、これまでのアルバムには見られなかった作風の楽曲も多く披露され、バンドにとって新境地を拓いたともいえる作品となった。
『プル・ザ・ピン』
バンドデビュー10周年を迎えた2007年、前作からわずかのスパンで製作された6作目『プル・ザ・ピン』を発表。前作で新境地を拓き、再び初期のころのようなみずみずしさを取り戻したバンドの充実感、円熟さを増したケリーのソング・ライティングが遺憾なく発揮され、アップテンポな曲からアンセミックなバラードナンバーまで緩急を自在に使い分けた「過去5作の良い部分がうまくミックスされた自信作」とメンバーが口を揃える集大成的な仕上がりとなった。この作品も全英1位を獲得し、これで5作連続のアルバムチャート1位となった。
『キープ・カーム・アンド・キャリー・オン』
前作『プル・ザ・ピン』を機に、初のベスト盤(全英2位)発売を挟んでキャリア10年に一区切りつけたバンドは、サポートギタリストのアダムを正式なメンバーとして迎え入れ4人組編成となった。
2009年にはワイト島フェスティバルのヘッドライナーを務めるなど各地で精力的なライブ活動を展開しつつ、ケリー曰く「新人バンドが挑むデビューアルバムのつもりで制作した」という7th『キープ・カーム・アンド・キャリー・オン』を同年暮れに発表。今までになくフレッシュな音使いが際立つポップで洗練された仕上がりとなった本作は、チャートアクションこそ2nd以来続いていた連続1位記録が途切れる全英11位という結果であったものの、ゴールド・ディスク獲得という成績を残した。
『グラフィティ・オン・ザ・トレイン』
オアシスのギャラガー兄弟のマネジメント/レーベルに移籍してから第一弾となるアルバム[1]。
ミュージシャンズ・ミュージシャンとしての一面
ステレオフォニックスは、同業の大御所・ロックレジェンド達からの評判が軒並み高いことでも知られる。
以下は、バンド10周年の記念に関して寄せられたコメントである。
- 「アメイジングなバンドだよ。活力に満ちている。黒いサングラスもキマっているしね!」──ボノ(U2)
- 「昔の自分を思い出すね」──トム・ジョーンズ
- 「常に音楽的な進化を見せている。融合もある。初期のザ・フーに似ているよ。」──ロジャー・ダルトリー(ザ・フー)
- 「最高のバンドの条件がすべて揃っている」「“ハンドバッグス・アンド・グラッドラグス”のカヴァーなんて、俺たちのオリジナルよりずっといいよ」 ──ロン・ウッド(ザ・ローリング・ストーンズ)
- 「一流のバンドは歌詞も曲も最高だ。自信も名声もなくちゃいけない。やる気も、だ。あの3人にはそれがある。パワーがある。完璧なバンドだね。正統派ロック・バンドだ」──ジミー・ペイジ
- 「デビュー作をもらって凄い!と思ったよ。特に歌詞が気に入った。小さな町の匂いがしたんだ。こんな言い方はしたくないけど、ザ・ジャムの歌詞を思い出させたね。」──ポール・ウェラー
また、ジャズ/フュージョン界の大物であるリー・リトナーは、2012年11月リリースの最新アルバム「Rhythm Sessions」で、"メイビー・トゥモロー"をカバーしている。リーは「僕には彼らのサウンドは'70年代のR&Bに聞こえる」「彼らのウェールズ・アクセントが大好きだ」と語っている。
ディスコグラフィー
アルバム
- ワード・ゲッツ・アラウンド Word Gets Around/1997年 全英6位
- パフォーマンス・アンド・カクテルズ Performance And Cocktails/1999年 全英1位
- ジャスト・イナフ・エデュケーション・トゥ・パフォームJust Enough Education to Perform/2002年 全英1位
- ユー・ガッタ・ゴー・ゼア・トゥ・カム・バック You Gotta Go There To Come Back/2003年 全英1位
- ランゲージ・セックス・ヴァイオレンス・アザー? Language.Sex.Violence.Other?/2005年 全英1位
- プル・ザ・ピン Pull The Pin/2007年 全英1位
- キープ・カーム・アンド・キャリー・オン Keep Calm And Carry On/2009年 全英11位
- グラフィティ・オン・ザ・トレインGraffiti on the Train/2013年 全英3位
編集盤
- ライヴ・フロム・ダコタ Live from Dakota/ 2006年 全英13位‐ライヴ・アルバム
- ディケイド・イン・ザ・サン Decade In The Sun: The Best Of Stereophonics/ 2008年 全英2位‐ベスト・アルバム
日本限定盤
- ハンドバッグス・アンド・グラッドラグスEP Handbags and Gladrags [EP]/ 2002年
- ユー・ガッタ・ゴー・ゼア・トゥ・カム・バック[スペシャル・エディション] /2003年…4thアルバムに再編集を加え、日本盤未収録のシングル「ムービースター」とDVDを追加した2枚組。
シングル
以下の順位は主に全英チャートによる。
- 『ワード・ゲッツ・アラウンド』より
- "ローカル・ボーイ・イン・ザ・フォトグラフ"(Local Boy in the Photograph)/1997年 - 51位
- "モア・ライフ・イン・ア・トランプス・ヴェスト"(More Life in a Tramps Vest)/1997年 - 33位
- "サウザンド・トゥリーズ"(A Thousand Trees)/1997年 - 22位
- "トラフィック"(Traffic)/1997年 - 20位
- "ローカル・ボーイ・イン・ザ・フォトグラフ"(Local Boy in the Photograph)/1998年 - 14位(再リリース)
- 『パフォーマンス・アンド・カクテルズ』より
- "ザ・バーテンダー・アンド・ザ・スィーフ"(The Bartender and the Thief)/1998年 - 3位
- "ジャスト・ルッキング"(Just Looking)/1999年 - 4位
- "ピック・ア・パート・ザッツ・ニュー"(Pick a Part That's New)/1999年 - 4位
- "アイ・ウドゥント・ビリーヴ・ユア・レディオ"(I Wouldn’t Believe Your Radio)/1999年 - 11位
- "ハリー・アップ・アンド・ウェイト"(Hurry Up and Wait)/1999年 - 11位
- 『J.E.E.P』より
- "ミスター・ライター"(Mr. Writer)/2001年 - 5位
- "ハヴ・ア・ナイス・デイ"(Have a Nice Day)/2001年 - 5位 (2008年HONDA・エアウェイブCM曲)
- "ステップ・オン・マイ・オールド・サイズ・ナインズ"(Step on My Old Size Nines)/2001年 - 16位
- "ハンドバッグス・アンド・グラッドラグス"(Handbags and Gladrags)/2001年 - 4位(ロッド・スチュワートのカバー、日本盤未収録)
- "ヴェガス・トゥ・タイムズ"(Vegas Two Times)/2001年 - 23位
- 『ユー・ガッタ・ゴー・ゼア・トゥ・カム・バック』より
- "マダム・ヘルガ"(Madame Helga)/2003年 - 4位
- "メイビー・トゥモロー"(Maybe Tomorrow)/2003年 - 3位
- "スィンス・アイ・トールド・ユア・イッツ・オーヴァー"(Since I Told You It's Over)/2003年 - 16位
- "ムービースター"(Moviestar)/2004年 - 5位(日本通常盤には未収録)
- 『ランゲージ・セックス・ヴァイオレンス・アザー?』より
- "ダコタ"(Dakota)/2005年 - 1位
- "スーパーマン"(Superman)/2005年 - 13位
- "デヴィル"(Devil)/2005年 - 11位
- "リワインド"(Rewind)/2005年 - 17位
- 『プル・ザ・ピン』より
- "バンク・ホリデイ・マンデイ"(Bank Holiday Monday)/2007年 - ダウンロード限定リリース
- "イット・ミーンズ・ナッシング"(It Means Nothing)/2007年 - 12位
- "マイ・フレンズ"(My Friends)/2007年 - 32位
- 『ディケイド・イン・ザ・サン:ベスト・オブ・ステレオフォニックス』より
- "ユア・マイ・スター"(You're My Star)/2008年 - 170位
- 『キープ・カーム・アンド・キャリー・オン』より
- "イノセント"(Innocent)/2009年-54位
- "クッド・ユー・ビー・ザ・ワン?"(Could You Be The One?)-
- 『グラフィティ・オン・ザ・トレイン』より
- "イン・ア・モーメント"(In a Moment)/2012年 - ダウンロード、ビニール盤限定リリース
- "インディアン・サマー"(Indian Summer)/2013年 - 30位
- "グラフィティ・オン・ザ・トレイン"(Graffiti on the Train)2013年 - 44位
日本公演
Fuji Rock Festival 98
- 8月1日 東京ベイサイドスクエア
Fuji Rock Festival 01
- 7月27日 苗場スキー場
- 1月13日 CLUB DIAMOND HALL、1月15日 大阪MOTHER HALL、1月17日、18日 Zepp Tokyo
SUMMER SONIC 03
- 8月2日 WTCオープンエアスタジアム、8月3日 千葉マリンスタジアム
- 6月14日 IMPホール、6月15日 名古屋CLUB QUATTRO、6月17日、18日 Shibuya O-EAST、6月19日 LIQUIDROOM
- 2月5日 名古屋CLUB QUATTRO、2月6日 心斎橋CLUB QUATTRO、2月7日 DUO MUSIC EXCHANGE、2月8日 SHIBUYA-AX
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES. 2008
- 7月20日 横浜アリーナ
- 7月22日 CLUB CITTA'
BRITISH ANTHEMS Vol.9
- 4月25日 STUDIO COAST
- 4月26日 DUO MUSIC EXCHANGE、
4月28日 心斎橋CLUB QUATTRO(バンド側のスケジュールの都合により中止)
SUMMER SONIC 13
- 8月10日 幕張メッセ、8月11日 舞洲サマーソニック大阪特設会場
- 8月12日 LIQUIDROOM
脚注