ネクター
テンプレート:出典の明記 ネクター(nectar) は、果実をすり潰して作られるソフトドリンクで、一般的な清涼飲料水とは異なり、非常に濃厚な味わいを持つ飲料である。日本では森永製菓の商標であったが、同社が業界発展のために商標運営を社団法人日本果汁協会に一任、今日では森永製菓以外のメーカーからも同種の製品が発売されている。一般名称としては果実飲料(一般的な果汁ジュースを含む)のうちの果肉飲料。
語源
語源は古代ギリシア神話におけるネクタル(ネクタール、神々が常食とする生命の酒・不老不死の霊薬である薬酒・滋養のある飲み物)とされる。
概要
1940年(昭和15年)ごろ、缶詰製造会社の四ッ菱食品がピーチネクターを試作し商品化を試みたという記録があり、これが日本におけるネクター製造の最も古いものと思われる。
最初に商品化されたものは1961年(昭和36年)の明治製菓・ピーチネクターである。しかしこれは桃缶製造の際に発生する果肉の切れ端をピューレにし、砂糖、酸味料などを加えて調整したもので、あまり売れなかったらしい。
1964年、不二家と森永製菓は果肉ピューレ(果実由来の不溶性固形物)45%で砂糖などもふんだんに使用した飲み物としてピーチネクターを発売した。当時は果汁を全く含まず人工甘味料や合成着色料を使用した製品も多い中にあって、一際甘く、また果汁も多い同製品は、高級感のあるソフトドリンクとして受け入れられた。
なお商標の出願は1960年に森永製菓からなされており、商品の前に商標だけが存在している事になる。
これの原型は1933年(昭和8年)ごろに森永製菓が販売していたペースト状の果肉の入った缶詰・『天然果汁クラッシュジュース』であると思われる。
ネクターと名乗れる条件
社団法人日本果汁協会がネクターと認め得る条件は以下の通り。
- 果肉(細かくすり潰したピューレ状の物)を一定量以上含む
このため海外から輸入されているネクターの中には、上記の基準を満たさないために、日本国内では「~%果汁入り飲料」という名称で販売されているものもある。
一般名称としてのネクター
後に同商標が一定基準を満たす製品に利用できるようになると、複数メーカーから同種の飲料が多数販売されるようになるが、それらのメーカーは以下の通り。
- 不二家
- UCC上島珈琲
- ダイドードリンコ
- ヤクルト本社
- キッコーマン
- 味の素
- ポッカサッポロフード&ビバレッジ
- サントリー
- 日本サンガリアベバレッジカンパニー
- 明治乳業
- 宝酒造(酒類の缶チューハイにも転用)
- 全国農協直販
など
動向
同飲料は発売以降1980年代に入るまで、果汁が多く含まれている高級感のある缶入り飲料として、森永製菓の売上にも大いに貢献したが、同年代以降は清涼飲料水の位置付けが、従来の舌を楽しませる物から、喉の渇きを癒すためのものへと変化していった過程において、その濃厚さ故に次第に当初のブーム時に比べて、消費は落ち込んでいった。
しかしその一方で、甘い物が好きな幼児や熱狂的ファンによる需要もあり、また今日でも果肉が濃厚に含まれている(加えて食物繊維が多い)という理由で愛飲する向きもあり、根強い人気を保っている。1990年代には、これらネクターにアルコール飲料を加えた缶チューハイ(焼酎カクテル)も登場、口当たりが良いとして若い世代を中心に人気がある。
また、カレーにチャツネを入れることはそもそもあるので、ネクターは広義のフルーツチャツネとなるのであれば(カレーにネクターを入れることは)特におかしな事でもない。