レバー (食材)
テンプレート:栄養価 レバー(テンプレート:Lang-de、テンプレート:Lang-en)とは、肝臓のことである。日本でレバーというと、食用に用いる家畜や家禽の肝臓を指すことが多い。
目次
概要
各動物のレバー
日本で主に食用にされているレバーには、牛・豚・鶏、鴨のものがある。 世界の三大珍味として有名なフォアグラも、ガチョウに特殊な餌を与えて脂肪肝にさせた肝臓で、レバーの一種である。
ほかに、地方によっては馬、山羊、羊などのものが食用にされる例がある。アンコウなど、魚類の肝臓も日本でよく食用にされているが、多くは肝(きも)と呼ばれ、レバーと呼ばれることは少ない。
白レバー
フォアグラと同じようなものに、白レバーというものもある。これは鶏の脂肪肝で、レバー臭さが少ないが生産量が少なく、限定メニューなどになっている場合が多い。 一般に白レバーは栄養を蓄えた雌鳥のものである。卵を産まない雄は栄養を蓄える必要がないので、無理に餌を食べさせでもしない限り白レバーとなりにくく、また雄は若鶏のうちに精肉とされるため白レバーは必然的にメスに多くなる。
そして、雌鳥は卵用となり肉用に回るケースが少ないため、必然的に白レバーは出回りにくくなる。
栄養価と調理
栄養価
レバーはビタミンA、ビタミンB群、鉄分、葉酸等を多く含む。なかでも、葉酸、鉄分は造血を助ける働きがあり、貧血防止や妊婦など、多量の鉄分摂取が必要な人には理想的な食べ物であるといわれている(妊婦のビタミンAの過剰摂取は催奇形性がある為、摂取は慎重に行う必要がある)。また、レバーには、ビタミンB6の一種であるピリドキサミンが、他の部位や他の食品に比べて多く含まれている[1][2]。牛や豚のレバーは消化酵素を加えて加水分解され、肝臓水解物として二日酔いや慢性肝疾患治療の医薬品原料となる。
日本での調理法
主な調理法は、焼肉の焼きレバー、焼き鳥の串レバーなどが挙げられる。牛レバーの料理の定番としては、ニラと合わせて炒めるレバニラ炒めがある。また、レバーを生のまま刺身状にスライスし、塩と胡麻油などにつけて食べるレバ刺しがある(ただし、後述の通り2012年7月から飲食店での提供は禁止となった)。
しかし、血の味がするなど、癖が強く、また、火を通しすぎるとボソボソした食感となるので、好き嫌いがはっきりしやすい。加熱調理の場合には、血抜きをしなければならない。この下処理をしなければ、血の味が強く残ってしまい、美味しく仕上がらない。牛乳などに浸して、マスキングで臭みを消す方法もある。またお酢を使って臭みを取るという方法もある。なお、レバーの臭みは、肝臓に含まれるアラキドン酸が、血液の鉄分と反応して起きる[3]。
鶏レバーをマヨネーズ漬けにすることで、フォアグラの味に似せるという料理法がある[4][5]。
各国での調理法
中華料理の北京ダック専門店では、コース料理でアヒルのレバーを素揚げして、塩・胡椒などで味付けした料理が定番で出される。
フランスなど、欧米では、レバーペーストにし、パンに塗って食べることも一般的で、瓶詰め、缶詰の製品も多く市販されている。また、ハムやソーセージなどのように、レバーペーストをケーシングに詰めて調理したものもある。
食中毒と寄生虫
食中毒と寄生虫
他の部位と同様にと殺・精肉加工される以前に動物が感染していた病原体および、と殺以降の流通過程で付着した病原体がレバー中にも存在するものがあり、非加熱のレバーを食用にする事により感染症を発症する恐れがある。鶏、牛、豚の生レバーの一部は中にカンピロバクターなどの食中毒の原因となる病原体を含んでいる[6]。特に、豚の生レバーにおいては豚自体が保有しているE型肝炎ウイルスなどの病原体により豚肉の生食と同等の危険性がある[7]。危険性については豚肉#生食の危険を参照。またそれ以外に無鉤条虫などの寄生虫に侵されているものもあり、特に個人が家庭で調理する際には十分注意する必要がある。
日本での規制
日本の厚生省は1996年にO157の感染多発を受けてレバーなどの食肉の生食を避けるよう通達し、1998年に生食用のレバー及び食肉の加工基準を策定した[8]。日本各地の自治体や保健所は、レバ刺しには生食用基準に沿って加工されたレバーを用いるよう指導した[9]。
2012年3月30日、厚生労働省は飲食店や販売業者が「牛」のレバーを生食用で提供することを禁止する方針を打ち出し[10]、内閣府の食品安全委員会においても「提供禁止は妥当」とする見解が出たことを受け、同年7月1日から食品衛生法に基づき提供禁止とすることとなった。違反すれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金の刑事罰が科される[11]。また、厚労省は「豚」のレバーについても加熱して食べるよう注意を喚起した[12]。
生レバーの提供禁止に反対する消費者も多かった[13]こともあり、一部の飲食店では「焼きレバー」用として生レバーの提供が行われていたが[14][15]、2013年8月に生レバーの提供が原因とみられる食中毒事件が発生[16]。同年10月15日、牛の生レバーを提供したとして食品衛生法違反の疑いで京都府の焼き肉店の経営者らが逮捕され[17]、同月26日に京都簡易裁判所は社長に罰金100万円、店長に罰金50万円の略式命令を出した[18]。