九重山

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九重山(くじゅうさん)または九重連山(くじゅうれんざん)は、大分県玖珠郡九重町から竹田市北部にかけて広がる火山群の総称である。最高峰は九州本土最高峰でもある中岳 (1,791m) 。日本百名山の一つに数えられ、一帯は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。

九重と久住

この地域の名称としては、「九重」(くじゅう、ここのえ)と「久住」(くじゅう)の2通りの表記及び読みが用いられてきた。

その起源は、延暦年間(800年頃)にこの地に九重山白水寺と久住山猪鹿寺の2つの寺院が開かれたことにさかのぼる。近代に入ると、山群の北麓に九重町(ここのえまち)、南麓に久住町(くじゅうまち、現・竹田市久住町)が誕生したことから、それぞれの表記が特定の地域に結びつくことになり、地域全体を指す時にどちらの表記を用いるかという問題が大きくなった。

現在では、火山群や周辺地域全体を指す場合に「九重山」や「九重連山」を用い、その主峰である単独の山を指す場合に「久住山」を用いるのが一般的である。

また、近年では、混乱を避けるためにひらがなの「くじゅう」を用いることも多い。例えば、「阿蘇国立公園」にこの地域の名称を加えて改名する際には、「九重」と「久住」のどちらかにするかで長らく論争が続いたが、「阿蘇くじゅう国立公園」とすることで決着した。また、坊ガツルタデ原ラムサール条約への登録名も「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」とされている。

主要峰

ほとんど同じ高さの1,700m級の火山が群立している。西部には久住山をはじめとする久住山系の山々が連なり、広い坊がツルの草原をはさんだ東側の対面に大船山を中心とする大船山系の山々が並ぶ。


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由布岳の山頂から見た九重連山。大船山系と九重山系の間の谷に、ラムサール条約登録湿地である坊ガツルが広がる。長者原から牧ノ戸峠にかけては、やまなみハイウェイの名で親しまれている大分県道11号線が走る。写真左奥の祖母山系は大分・宮崎県境に連なる山塊である。(2013年3月撮影)


登山口

阿蘇市別府市を結ぶやまなみハイウェイ沿線にある長者原(バス停:くじゅう登山口)や牧ノ戸峠が登山口となる。九重山の北側に位置する長者原からは坊ガツル経由で大船山、久住山等へ、西側に位置する牧ノ戸峠からは久住山等への登山道が整備されている。

周辺

九重山の北や南は緩やかに波打つ広大な草原となっており、酪農が盛ん。またこの特徴を利用した観光牧場も多い。

火山活動

九重山は比較的新しい火山で、約15万年前から活動を始めた安山岩を主体とする火山群である。活動の初期に比較的大きな火砕流を3回噴出しているが、カルデラを形成した形跡は無い。現在見られる山々のうち西側の久住山・星生山・三俣山などがある久住山系は13万年前から活動していたが、東の大船山系はそれより新しく2万5千年前から噴火を始めた。山中には現在も噴気による立ち入り禁止箇所がある。

この一帯は地熱地帯で、筋湯温泉の近くには火山の熱エネルギーを利用して地熱発電する八丁原発電所大岳発電所がある。

植生

坊がつる賛(讃)歌』に詠われたミヤマキリシマは、初夏に大船山や平治岳の斜面を赤く染める。そのほかにもイワカガミツクシシャクナゲ、ツクシドウダン、コケモモマツムシソウリンドウなどが山中のあちこちに次々に咲く。

温泉

九重山中にある法華院温泉は、標高1,303mの高さにある一軒宿、交通手段は徒歩のみ。[1]九重山の中腹を通るやまなみハイウェイ沿いには、寒の地獄温泉星生温泉などの一軒宿が点在する。少し離れた筋湯温泉は『打たせ湯』で有名だが、立派な宿泊施設が立ち並ぶ。

脚注

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関連項目

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関連画像

外部リンク

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  1. ただし、荷物の輸送には軽トラック大船林道経由で使用される。