国鉄213系電車

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テンプレート:鉄道車両 213系電車(213けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、東海旅客鉄道(JR東海)が1987年から1991年まで製造した直流近郊形電車。国鉄として最後の新規系列車両である。

構造

国鉄時代に岡山地区向けに製造された0番台と、国鉄民営化後にJR東海が関西本線名古屋口向けに製造した5000番台が存在する。

車体

車体は、117系100番台211系との折衷的な構成となっている。つまり、211系と同様のステンレス製軽量車体ながら、側面は117系100番台と同様の全長 20 m の車体に片側2か所の両開扉と、戸袋部を除いて2枚1組の一段下降式ユニット窓が並ぶ(中間車の場合「21D122221D12」、Dはドア、1は戸袋窓)という窓割り・ドア配置であり、さらに前面は211系に準じた FRP 製のマスクを採用する。ただし国鉄時代に投入された211系と違い、客室からの展望に配慮して、前面窓は助士席側と貫通扉の窓が下方に拡大されている。列車種別表示器は、415系1500番台と同様の、天地寸法の小さいタイプである。座席は転換クロスシート(先頭車運転台後部戸袋窓部(1・2位)、およびクハ212形3位側戸袋窓部は固定クロスシート)である。

主要機器

ファイル:JRW EC kumoha213-3 DT50B.jpg
DT50B台車
(クモハ213-3、C3編成)
(2009年1月9日、備中高梁駅)

コストダウンのため、その他の機器も211系と極力統一化が図られていることが特徴である。

本系列の最初の投入先となる宇野線瀬戸大橋線)では、211系のような長大な基本編成での運行は採用されず、基本編成が3両単位とされたが、運用線区が平坦であること、軽量ステンレス車体の採用により編成重量が小さくなったことから、国鉄新性能電車として一般的なMM'ユニット電動車方式ではなく、1両のみで完結する単独電動車 (1M) 方式を採用して、1M2T (Mc - T - Tc') が基本組成とされた。この組成であっても、25‰の勾配上で運行可能な性能は確保されており、抑速ブレーキも搭載しているため、山陽本線瀬野八の通過も可能である。

主制御器は、211系と同様の界磁添加励磁制御を 1M 方式に対応させた電動カム軸方式の CS59 が採用されており、回生ブレーキの使用が可能で、省エネルギーにも配慮されている。本系列での界磁制御を行うため、CS59 主制御器に付随して HS65 励磁装置が搭載されている。この励磁装置は弱め界磁制御と回生ブレーキ使用の際に界磁制御を行うものである。なお、当時の岡山鉄道管理局管内では初の回生ブレーキ搭載車であり、その習熟運転に苦労したという逸話が鉄道趣味雑誌に掲載されていたが、本系列の投入によって岡山運転区所属の運転士221系などの新系列車両の運転も可能になった。

主電動機4個で直並列組合せ制御を行い、主電動機端子電圧750VのMT64形であるが、歯車比は211系と同一の5.19である。

本系列のシステムは、もともと211系の横須賀総武快速線投入が計画された際に地下線(東京トンネル)を走行する関係で、編成の電動車比率を上げる(4M7T → 5M6T)ために開発されていたもので(実際は、民営化後の1994年からVVVFインバータ制御E217系が投入された)、ユニット方式の電動車を増結すると性能面で過剰になり、コスト面でメリットがなくなることが背景にある。そのため、本系列は211系と混結(併結)することを前提に開発されている。力行時の速度・引張力特性は極力211系に合わせられている。

台車には205系で採用された軽量ボルスタレス台車を引き続き採用している。軸箱支持方式は円錐積層ゴム方式で、動力台車はDT50B形、付随台車はTR235B形と称する。台車枠は側梁をストレートタイプ、横梁にはシームレスパイプを採用するなど構造を大幅に簡素化したものとした。また、軸箱方式と合わせて構成部品数を少なくし、保守性の向上を図っており、合わせて軽量化と新製コストの低減を実現している。この結果、従来の台車よりも1台車あたりの重量は約 1.5 t 軽量化されている。基礎ブレーキ装置は動力台車は片押し式踏面ブレーキ、付随台車は片押し踏面併用ディスクブレーキ方式を採用した。

国鉄時代の製造車で旅客サービス用補助電源装置に電動発電機 (MG) ではなく静止形変換装置 (SIV) が採用されたのは本系列のみである。

集電装置は、菱形パンタグラフである PS24 を搭載する。

ただし、ドア数と乗車定員が少なく、室内の空気の出入りが比較的少ないことから、冷房装置集中式ながら、一般的なAU75形(42,000 kcal/h×1台)ではなく、冷却能力を抑えたAU79A形(33,000 kcal/h×1台)を搭載する。

※ユニット電動車方式とは、役割の異なる機器を複数の電動車に分散して搭載し、1つの機構として完成する方式のことである。

なお、東日本旅客鉄道(JR東日本)にサロ213・212形という形式が存在するが、これらは211系に属する。 テンプレート:-

形式

奇数向きとは、瀬戸大橋線基準で岡山向き、関西本線基準で名古屋向きを示す。偶数向きとは、瀬戸大橋線基準で高松向き、関西本線基準で亀山向きであることを示す。

クモハ213形 (Mc)

奇数向き制御電動車である。集電装置、主制御器、空気圧縮機 (CP) 、補助電源装置を搭載する。


クハ212形 (T'c)

偶数向き制御車である。3位側車端部にトイレを有する。

サハ213形 (T)

付随車。後述する5000番台には存在しない。

テンプレート:-

クロ212形 (T'sc)
ファイル:JRW-Kuro212-1.jpg
クロ212-1
(岡山駅)

JR西日本が1988年の瀬戸大橋線開通に合わせて独自に設計した、高松寄りのグリーン制御車であり、後述する5000番台には存在しない。瀬戸大橋走行時の客席からの眺望に配慮した設計となっており、側窓は屋根肩部にかかる大型の固定窓で、前面も流線型に大型の窓を備えた展望式である。車内も床面全体をハイデッキ構造として回転リクライニングシートを装備しており、座席を外側または内側に向けて固定することも可能であった。構造の関係上、車体は普通鋼で製作されており、重量が重いため、台車は強化型のWTR235形を装着する。冷房装置は床置き形のWAU301形 (33,000 kcal/h) ×1台を搭載する。

6両が製造されたが、5両は213系との連結用の0番台 (1 - 5) で、最高速度は 110 km/h である。1両は0番台の予備車でもあり、211系電動車ユニットと編成を組む「スーパーサルーンゆめじ」用の1000番台 (1001) で、最高速度 120 km/h である。塗装は0番台では白をベースにJR西日本のコーポレートカラーの青と番号順にピンク、黄色、淡緑、オレンジ色、黄緑の各車異なる色の帯を窓下に巻いていた。1000番台は青とピンクだが細帯となっている。

3, 5の2両は運用末期、岡山県の民話である「桃太郎」にちなんだラッピング車両となっていた(ベースの色は番号順に青緑、ピンク)。

2003年(平成15年)の「マリンライナー」車両置換えに伴い、0番台5両全車が運用を離脱し、編成から外された。1が試験車「U@Tech」クヤ212-1に改造され、その他は運転台機器が後述の先頭車化改造車クハ212形100番台に転用された。2006年4月以降、2のみが保留車として在籍し京都支社吹田工場(現在の近畿統括本部吹田総合車両所)に留置されていたが、2008年11月17日付で廃車され廃区分番台となった。1000番台は引続き「スーパーサルーンゆめじ」として運用されていたが、2010年3月7日にさよなら運転を行い退役、同年6月30日付で廃車され形式消滅となった[1]。 なお、「スーパーサルーンゆめじ」は、需要に応じて編成中間に213系一般車を連結して運行されたことがある。 テンプレート:Multiple image テンプレート:-

JR西日本所属車(0番台)

テンプレート:鉄道車両

1987年から岡山地区で運用を開始し、1988年3月の瀬戸大橋開業以降は快速「マリンライナー」に充当された。2003年10月以降は岡山地区を中心に普通列車での運用に転用された。

歴史

登場 - 瀬戸大橋開業前

岡山電車区115系老朽車両取替えのために、国鉄末期の1987年3月に3両編成 (Mc-T-Tc') 8本24両が導入された。製造会社は、近畿車輛川崎重工業日本車輌製造東急車輛製造日立製作所。帯色は、新規に海をイメージした青(青23号)と水色(青26号)が設定された。これははからずも、直後に発足するJR西日本と四国旅客鉄道(JR四国)のコーポレートカラーとなった(JR西日本は青、JR四国は水色)。

約1年後に開業が予定されていた本四備讃線瀬戸大橋線)用車両の先行投入であり、瀬戸大橋が開通するまでは暫定的に宇野線宇高航路連絡快速列車備讃ライナー」に充当された。なお、灰皿は使用列車が当初から全て禁煙であったため取付けられていないが、これは当時としては思い切った施策であった。

  • 登場時から1988年までの編成
編成番号 テンプレート:TrainDirection
C-1 クモハ213-1 サハ213-1 クハ212-1
C-2 クモハ213-2 サハ213-2 クハ212-2
 :  :  :  :
C-7 クモハ213-7 サハ213-7 クハ212-7
C-8 クモハ213-8 サハ213-8 クハ212-8
ファイル:JR west 213 bisanliner okayama.jpg
9両編成で運転する備讃ライナー
(1987年)

テンプレート:-

瀬戸大橋開業 - 2003年10月まで

  • 2003年までの編成
編成番号 テンプレート:TrainDirection 摘要
C01 クモハ213-1 サハ213-1 クハ212-1 基本編成
6編成
C02 クモハ213-2 サハ213-2 クハ212-2
 :  :  :  :
C06 クモハ213-6 サハ213-6 クハ212-6
C07 クモハ213-7 サハ213-7 クロ212-1 グリーン車付
5編成
C08 クモハ213-8 サハ213-8 クロ212-2
C09 クモハ213-9 サハ213-9 クロ212-3
C10 クモハ213-11 サハ213-10 クロ212-4
C11 クモハ213-12 サハ213-11 クロ212-5
C12 クモハ213-10 クハ212-7 クハ212-8  
C13 クモロ211-1 モロ210-1 クロ212-1001 ゆめじ編成
  • C13編成のクモロ211形・モロ210形は211系

1988年の瀬戸大橋線開業からは、快速「マリンライナー」に充当。このときからクロ212形が製造・連結されるようになった。それに先だって、クモハ213形2両、クロ212形3両、サハ213形1両と団体用「スーパーサルーンゆめじ」の3両が近畿車輛で製造され、従来編成の一部を含んだ組替えが実施され、Mc-T-Tsc×3、Mc-T-Tc'×6、Mc-Tc'-Tc'×1となった。

「マリンライナー」は運行開始当初から大半の列車が9両編成で1時間に1本運転されたが、臨時列車が運転されるほど利用者が多かったため、同年内にMc-T-Tsc'×2が近畿車輛で製造されて、1989年3月「マリンライナー」の増発が行われ、大半の列車が6両編成で1時間に2本の運転となった。これにより、211系2両を含む合計で3両編成13本39両の陣容となり、岡山電車区向けの製造は終了した。

瀬戸大橋線開業以来15年間変わらず同区間を走行していたが、開業ブームが過ぎると年々瀬戸大橋線の利用客が減少傾向となっていたこと、塩害による床下機器の故障が増えていたこと、JR四国がJR西日本に支払う車両使用料が負担になっていたことから、2003年10月1日のダイヤ改正で「マリンライナー」運用は新型車(JR四国5000系/JR西日本223系5000番台)に置き換えられたのに伴い、本系列は同列車の運用から外れた。

新型車両はグリーン車を除き片側3扉で製造されたが、これは223系が当時のJR西日本で増備途上にあったという以外に、朝夕のラッシュ時を中心に岡山 - 茶屋町間が激しく混雑し、片側2扉の213系では乗降に時間がかかり、同区間は単線区間が多いこともあって列車遅延が慢性化していたということも大きい。

瀬戸大橋線以外では、1998年10月まで山陽本線快速「サンライナー」の1往復で三原駅まで運用されていた。これは21時台に岡山から三原まで走り、その後折り返し普通福山行きとなって福山駅で滞泊。翌朝「サンライナー」として岡山へ戻った後に「マリンライナー」の運用に入るというもので、クロ212形グリーン車も締切扱いとせず自由席グリーン車として営業運転された。 テンプレート:-

ファイル:Kokutetu213 marinnraina-11.jpg
「スーパーサルーンゆめじ」2両とC12編成などを連結し11両編成で運転するマリンライナー
(1988年)

ゆめじ編成(C13編成)を「マリンライナー」で使用する際は、運行開始当初はクハを2両連結しているC12編成のクモハの前にクモロ211-1+モロ210-1を連結して11両編成というのがあったが、それ以外ではC12編成を分割し、クモロ211-1+モロ210-1+クハ212-8、クモハ213-10+クハ212-7+クロ212-1001の編成で運用していた。特に後者はC07 - C11編成が検査入場中などに多く見られた。いずれにしろ、クハ212-7は営業運転で先頭に立つことはなかった。 テンプレート:-

2003年10月以降

2004年以降の編成
編成番号 テンプレート:TrainDirection 摘要
C01 クモハ213-1 クハ212-1 - ワンマン
対応
C02 クモハ213-2 クハ212-2 -
C03 クモハ213-3 クハ212-3 -
C04 クモハ213-4 サハ213-4 クハ212-4
C05 クモハ213-5 サハ213-5 クハ212-5
C06 クモハ213-6 サハ213-6 クハ212-6  
C07 クモハ213-7 クハ212-101 - ワンマン
対応
C08 クモハ213-8 クハ212-102 -
C09 クモハ213-9 クハ212-103 -
C10 クモハ213-11 クハ212-104 -
C11 クモハ213-12 クハ212-105 -
C12 クモハ213-10 クハ212-7 クハ212-8
C13 クモロ211-1 モロ210-1 クロ212-1001 ゆめじ
  • ワンマン対応改造は2004年実施。
  • C01編成のサハ213-1はサヤ213-1に改造。
  • C02・C03編成のサハ213-2、サハ213-3は廃車。
  • C07 - C11編成のクハ212-100番台はサハ213からの改造。
  • C12編成はクモハ213-10とクハ212-8のみワンマン対応改造。
  • C13編成(ゆめじ)は2010年6月に廃車。
  • この他、クロ212-2が保留車(2008年11月17日付で廃車)。

「マリンライナー」運用から外れた後は、クロ212形の編成からの抜き取りと同時にクロ212形を抜き取った5本全ての編成は2両編成への組替えとサハ213形への運転台取付改造、また全車普通車編成の3本も2両編成へ短縮となり、7編成がワンマン運転対応改造と編成組替えが行われた。改造工事が2003年10月から約1年かけて吹田工場(先頭車化改造+ワンマン改造)と網干総合車両所(ワンマン改造のみ)で順次対象となる編成に実施された。2両編成は全てワンマン対応車となり、戸袋窓上半分が塞がれてワンマン表示機(ワンマン運転時に出入り口を表示)が設置されている。

改造途中は暫定的に大阪寄りからMc-Mc-T-Tc'の4両編成も2本存在したが、対象車の改造が終了した現在は、3両編成×4本(Mc-T-Tc'×3 (C04 - 06) 、Mc-Tc'-Tc'×1 (C12) )、2両編成 (Mc-Tc') ×8本(C01 - 03・07 - 11。ワンマン改造併施)に組替えられ、クロ212形3両(1両は保留)とサハ213形2両が廃車となっている。なお、C12編成は通常クハ212-7を抜いた2両編成で運用され、C04 - C06編成が検査の際にクハ212-7を組み込んで3両編成となる。

正面と側面の種別・行先表示器の字幕は「マリンライナー」時代も含めて、白地に黒文字であったが、2006年になって全編成がJR西日本標準の黒地に白文字のものに変更された。また、「マリンライナー」では側面の表示に号車番号も併せて表記されていた。

また、ワンマン非対応のクモハ213形とクハ212形については、EB装置TE装置の整備に伴い、機器箱を設置する必要が生じたため、運転席直後の1列2席分(1A・B席)が車内向き固定となり、乗務員室との仕切扉左にその旨を知らせるステッカーが貼られている。 テンプレート:-

改造車

快速「マリンライナー」運用から離脱したことによる運用の変更に伴い、以下の改造形式が発生した。

クハ212形100番台 (T'c)
ファイル:JR EC Tc212-103.jpg
クハ212-103
車体中央の窓が埋められている部分にトイレを設置している。
(2006年3月18日 / 山陽本線 庭瀬駅)

2003年の「マリンライナー」置換えに伴う編成替えにより、サハ213形から5両が改造された制御車である。当初は4両改造の予定であったが、計画変更で1両追加された。

車体を端から1,900mm分、台枠のみを残して切断し、普通鋼で新造された運転台が取付けられた[2]。そのため、新造車(クハ212形0番台)と比べて側面の白塗りの部分が長い。運転台形状は新造車に基づくが、後退角のない切妻形が特徴である。また、前照灯尾灯形状が新造車の「四角枠に丸灯」から「四角枠に四角灯」に、排障器(スカート)は改造時より鉄板が太く厚い強化型を装備する。

全車がワンマン運転対応であり、同社のキハ47形ワンマン車のように運転台から前部客用扉までの座席が全て撤去されている。トイレは0番台のような車端部ではなく、前部客用扉の直後に車椅子対応の大型のものが設置され、対向側のスペースも車椅子利用者のために座席が撤去されフリースペースとされた。これらのことから着席定員は減少している。

番号の新旧対照は次のとおり。

  • サハ213-7 - 11 → クハ212-101 - 105

テンプレート:-

クヤ212-1・サヤ213-1
ファイル:JRWest kuya212-1.JPG
クヤ212形
(2006年12月26日 / 岸辺駅付近)

上記の編成替えで余剰となったクロ212-1およびサハ213-1が技術試験車(愛称「U@tech」)として改造されたものである。車体塗色は青系統のラッピングに変更され、室内は座席が一部撤去された上で各種測定用の機器が設置されている。

牽引車は、223系クモヤ223-9001が務める。223系の最高速度は 130 km/h であること、新型台車の試験を行うこと、異なる系列との連結を行うことから、機器類は改造や交換がなされた。また、雨天時の走行を再現するための装備として、サヤ213形の室内に水槽と散水装置が搭載された。 2004年10月22日付で車籍を抹消(機械扱い)されたが、2007年3月31日付で車籍を登録した。

2012年現在は吹田総合車両所に配置され、車体端には同車両所の所属であることを示す「近スイ」の文字が表記されている。 テンプレート:-

体質改善工事

JR西日本が施工する旧形車の延命と接客設備改善のための体質改善工事で、JR西日本に所属する213系全28両についても、2012年にC8編成が吹田総合車両所で体質改善工事を施工したのを皮切りに[3]、今後2年から3年をかけて工事が順次進められる予定である[4]。 工事内容は以下の通り。

  • 通風器撤去
  • スカートの変更
  • 車内のつり革と手すり、座席モケットを225系に準じたデザイン・材質へ更新
  • 吊り手の増設
  • 袖仕切りの大型化
  • 和式トイレを車椅子対応の洋式トイレに変更(100番台は先頭車化時に施工済み)
  • くつずりの黄色塗装
  • 車椅子スペースの設置
  • ドアチャイムの設置
  • 乗降扉のガラスを単板ガラスから複層ガラスに変更
  • 行先表示器のLED
  • 乗降扉の上にLED式の車内案内表示装置を千鳥配置
  • 乗務員室と客室との仕切り扉を引き戸に変更
運用
ファイル:JRW-213.jpg
岡山駅停車中の赤穂線車内

岡山近郊の山陽本線和気駅 - 三原駅間、伯備線新見駅以南、赤穂線播州赤穂駅以西、宇野線全線、本四備讃線児島駅以北で普通列車として運用されているが、3両編成は原則として山陽本線・赤穂線のみで運用される。本系列の転用により、岡山電車区電車センター103系の全編成と105系の一部が置き換えられ、転属や廃車が発生したが、103系は宇野線などの朝のラッシュ対策などで阪和線などから転入した車両によりすぐに運用が復活した。また、2009年3月14日のダイヤ改正では「サンライナー」三原行き (2725M) にも運用されていた。2両編成は、伯備線、赤穂線、宇野線での運用が多い。

「マリンライナー」代走運用
ファイル:JRW-Okayama-213kei.JPG
下り最終「マリンライナー」77号に充当されたC04編成
(岡山寄り先頭車)
(2007年4月10日 / 岡山駅)

2007年2月8日に早島駅付近で踏切事故の被害を受けた223系5000番台P3編成が網干総合車両所へ緊急入場。偶然にも他の編成も定期検査中で予備車がなくなってしまい、その間の代走として213系が抜擢され4月中旬ごろまで「マリンライナー」77号(下り最終)と2号(上り始発)の限定運用が復活した。なお、代走にはC04編成のみが使用されたが、代走運用から数日後に3両編成から中間車のサハ213-4を抜いた2両編成となり、山陽新聞など地元のメディアにも取り上げられた。

「マリンライナー」復活運転

瀬戸大橋開通20周年記念事業の一環として、2008年4月10日に213系での「マリンライナー」が上り1本で復活運転した。列車名は「懐かしの213系マリンライナー」で、当時と同じくグリーン車を含めた6両(全車指定席[5])で運転された。なお、この列車を運行するために岡山→高松で回送列車が設定された。

列車名 運転区間(始発・終着時刻) 停車駅
懐かしの213系マリンライナー 高松 11:49発 → 岡山 12:56着 坂出駅児島駅茶屋町駅早島駅妹尾駅

車内では、記念オレンジカードの販売や記念乗車証の配布が行われた。また駅売店では記念弁当などの販売が行われた。

C04編成3両とC06編成から2両、クロ212-1001を使用した6両編成が使用された。なお、普通車5両の方向幕は当時と異なる黒地幕であった。

  • 懐かしの213系マリンライナー 編成表
テンプレート:TrainDirection
クモハ213
-4
サハ213
-4
クハ212
-4
クモハ213
-6
サハ213
-6
クロ212
-1001
C04編成から C06編成から ゆめじから
在来線試験車両「U@tech」

クロ212-1とサハ213-1は223系の制御電動車と連結の上で在来線試験車両「U@tech」に改造され、吹田工場(現在の吹田総合車両所)へ転出した。この2両は2004年10月22日付で「車両」籍が抹消され、モーターカーなどと同様に機械扱いされていたため、車両数には計上されていなかったが、2007年3月31日に再登録された。編成は以下のとおり(1編成のみ)。

  テンプレート:TrainDirection
U@tech クモヤ223
-9001
(Mzc)
サヤ213
-1
(Tz)
クヤ212
-1
(T'zc)

JR東海所属車両(5000番台)

テンプレート:鉄道車両

ファイル:JRC-213-5000inside 01.jpg
5000番台の車内(2005年9月10日)
編成表
  テンプレート:TrainDirection
編成番号 クモハ213
-5000
(Mc)
クハ212
-5000
(Tc')
H1 5001 5001
H14 5014 5014

概要

国鉄時代、いわゆる国電の設定がなかった名古屋地区では、近郊輸送は並行する私鉄がシェアの大半を占めていた。中でも、桑名四日市方面は近畿日本鉄道の独擅場であり、単線関西本線は利用客にほとんど見向きもされない状態であった。その後、分割民営化で発足したJR東海は、これらの競合私鉄路線に対抗すべく、ダイヤや車両の改善に着手した。本番台は、関西本線の輸送改善にあたり老朽化・陳腐化した165系を置き換えるため、JR東海が投入した車両である。

1989年から1991年にかけて2両編成14本(28両)が投入され、関西本線の輸送改善を果たした。

構造

JR東海のオリジナル車両であり、0番台を基本としながらも、同社の211系5000番台に準じた仕様の変更がなされている。また当初から2両編成(1M1T)であり、サハ213形は存在しない。同社では3両編成に2M1Tの211系を投入するなど、動力車比率の高い編成とする傾向にある。

本番台における0番台との仕様の違いを以下に示す。

走行機器

空気圧縮機や冷房装置、添加励磁装置、補機類の電源が直流600Vとなったため、補助電源装置がC-SC27形DC-DCコンバータ(GTOサイリスタおよびダイオード使用、連続定格出力90kW)に変更された。さらに、C-SC27形DC-DCコンバータの直流600Vを電源とし、補機類に直流・交流100Vを供給するためにC-SC31形制御用補助電源装置を搭載する。電源電圧の変更により、添加励磁装置もC-HS65形に変更された。

空気圧縮機は、短編成化による容量適正化を考慮し、MH3094-C1000MLを搭載する。

主電動機は、内扇形構造や冷却風通期構造の改良を施したC-MT64A形とした。性能は0番台に搭載されるMT64と同等である。

台車は、牽引装置をZリンク方式としたC-DT56(動力台車)およびC-TR241(付随台車)とした。ブレーキに応荷重装置が付加された。

JR東海管内の在来線電化区間全線に対応するため、クモハ211形5600番台と同様にパンタグラフは狭小限界トンネル対応のC-PS24A形とされ、取付部が20mm低くされた。

冷房装置がインバータ制御による集約分散式(C-AU711D-G4形×2台)に変更された。

静岡地区で使用されている2両編成用のクモハ211形6000番台のシステムは、本番台と共通である。また、211系5000番台以降に製造されたJR東海の一般型電車各系列との併結・一括制御が可能である。

設備

  • クハ212形のトイレ設備は省略された。
  • ドアから外側の車端部がロングシートとなり、転換クロスシートは扉間の8列のみとなった。ドア横には1両あたり4箇所8席分の補助席が設けられた。
  • 前面列車種別(行先)窓は、211系5000番台と同様の天地寸法が大きいタイプとなった。側面行先表示幕は、211系5000番台2次車と同様の天地寸法の狭いタイプであったが、2次車以降は天地寸法が拡大された。

運用

ファイル:Iida line 213 5000.JPG
飯田線で運行されている213系5000番台H4編成。

5000番台は1989年から大垣電車区(現・大垣車両区)に配置されて関西本線(名古屋駅 - 亀山駅)の普通・快速列車に充当された。

しかし、2000年より関西本線で閑散時の普通列車においてワンマン運転が開始されるのに先立ち1999年に神領電車区(現・神領車両区)に転属、同年に後継の313系3000番台が投入されると、日中の列車の大半が置き換えられた。これ以後、同線においてラッシュ時の快速を中心に運用されるほかは、ほとんど運用がない状態が続いていた。その後、2011年10月1日に関西本線での運用から撤退している[6]

その後、飯田線で運用されていた119系の置き換え用としてトイレの設置や半自動ドアの設置などの改造工事を施した上で大垣車両区へ再転出し、2011年11月27日より同線での運用を開始している。その後、119系は2012年3月17日のダイヤ改正で定期運用を終了した。

改造

2010年までに、全編成を対象に以下の工事を施工した。

  • パンタグラフをシングルアーム型へ取り替え
  • 転落防止幌の取り付け
  • クハ212形の運転室直後のロングシート1区画を撤去し、車椅子スペースを設置
  • ドアチャイムの新設
  • ATS-PT装置の新設

さらに、2011年からは改造のため近畿車輛に甲種輸送され[7] 改造第一陣は2011年4月21日に近畿車輛を出場した[8]。 改造内容は次の通り。

  • クハ212形にバリアフリー対応の大型トイレを設置、トイレ正面部分に車椅子スペースを設置。したがってクハ212形は車椅子スペースが2箇所存在する。
  • 乗降扉に半自動回路を追加(押しボタン式)
  • 先頭台車に滑走防止用装置(いわゆる「セラジェット」)設置
  • 補助席の撤去

脚注

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参考文献

関連項目

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外部リンク

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テンプレート:JR西日本の車両リスト
  1. テンプレート:Cite book
  2. テンプレート:Cite book
  3. 213系C8編成が試運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2012年6月16日
  4. 広報だより「トレナビ」 2012年7月25日 213系をリニューアルしています - 西日本旅客鉄道
  5. グリーン車指定席:40席、普通車指定席:306席
  6. 永尾信幸「JR東海 関西線より213系が撤退」『鉄道ピクトリアル』2011年12月号、電気車研究会、p.79。
  7. JR東海213系5000番台が近畿車輛へ - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年1月8日
  8. JR東海213系5000番台が近畿車輌から出場 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年4月22日