放送事故

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放送事故(ほうそうじこ)とは、放送ラジオテレビ)において、予定された放送を正常に行えない事態のこと。広義に、予定された放送時間内において放送の「品質(媒体の技術的基準に加え、放送の形・内容を含む)」を満たさない状態を示す。

概要

放送の「品質」の判断・解釈基準は国や地域により、また放送関係法、運用体制、放送技術の利用実態により異なる[1]。日本においては、無線局運用規則放送法施行規則等に判断・解釈基準が求められており、事故かそうでないかの判断は前例までの判断・解釈例をもとに行われる。

視聴者にとって放送事故は、不満、あるいは笑い話の対象になり、放送局に対する強い抗議の意見につながり、またいわゆる「放送マニア」には、興味深い話題として扱われる。

近年においては、設備の信頼性等が向上した結果、重大な事故の頻度は減っているが、代わって過去にはなかったモラルの低下、スタッフ・出演者のいわゆる素人化を原因とする深刻な人為事故が発生するようになり、当該放送局および放送業界の責任を世論から厳しく問われるようになっている。

分類

原因別の分類

  • 放送局の送信側設備の故障・不具合による「機械事故」
  • 番組制作用機器の操作ミス、放送進行上における手違いによる「人為事故」
  • 不可抗力(自然災害、器物損壊含む犯罪行為等)による事故

結果別の分類

後述する実例は、原因別の分類に準じる。結果別の分類は各項目を参照のこと。

法制・規定等

無変調、テストパターンの表示、明らかに放送に堪えない映像が送出される等の事故が生じた場合、テレビでは「しばらくお待ち下さい」等のメッセージが表示されたテロップや環境映像等の放送が、ラジオでは音楽やアナウンス等の「緊急割り込み放送」が実施される。

大規模な放送事故が発生した際には、総務省(各放送局を管轄する各地方総合通信局)へ速やかに報告しなければならない。故意または重大な過失によるもの、すなわち当然防止できた件については、指導や処分の対象となる場合がある。

放送局は、前記の法令によって、放送があくまで正常である事が明確に分かるような配慮が常に求められるため、放送事故の様子を再度放送することや、意図的に放送事故を起こすことはできない。放送事故が起きた番組を再度放送する必要がある場合には該当部分を修正した上で放送される。

例え放送事故を説明するためであっても、放送事故の意図的な具体的再現は前記の法令によって認められない(放送事故の再現例は実例の節で後述)。テレビドラマや放送制作を紹介する教養番組などにおいても、慎重に描写されることが多い。

放送事故ではないもの

  • いわゆる「NG集番組」等で取り上げられる映像は、あくまでも正常な範囲の放送である(NGを参照)。
  • バラエティ番組等では、タレントがハプニングを指して「放送事故」と揶揄するシーンがあるが、放送として当然支障は起きておらず、放送事故として扱われない。
  • 重大な事件等による放送内容の変更(報道特別番組)は、放送事故に含まない。防災や防犯目的の訓練風景を映像で扱う場合は、「訓練」のテロップを表示する等の処理をほどこし、誤解を避けている。
  • 古いレコード音源、電話リポート、各種中継放送等の、映像・音声が低質で、乱れることが予定・想定された番組素材を放送する場合は、事故として扱われない。このような素材を扱う場合、事前に「素材が古い為、お見苦しい(おるいは、お聞き苦しい)場面があります」といったアナウンスが入れられる等の処理がなされる。
  • かつて、楽曲中の効果音としてモールス信号の「SOS」が連続して入っていた、「MAYDAY」を連呼していた、等の理由で放送事故として扱われた例があった(遭難通信は、電波法に規定された「目的外通信」の一つで、指定周波数空中線電力の枠を超えて行うことのできる最優先事項であるうえ、遭難の事実がないのに遭難信号を発してはならないことから)が、1999年以降GMDSSが普及し、特殊な専用発信機(遭難信号自動発信器)が使われるようになったことから放送禁止とはならなくなった。なお、モールス信号による通信そのものは全廃されていないため、本物のSOSではないことを前もってアナウンスする必要がある。

日本における放送事故の実例と対策

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※ 記述は上記の原因別の分類(機械事故、人為事故、不可抗力その他の原因による事故)に基づく。例えば、震災報道による中継所の混乱は、「不可抗力等が原因となった事故」節に記述する。

放送事故の多くは放送時間内において、機器操作をリアルタイムに、秒単位で、一切の中断が許されず求められる、というシステムの形態自体に起因する。工程を分割して時間をかけ撮影、編集、放映を行う映画と違い、放送はリアルタイムに映像と音声を送出しつづけるという性質上、(収録番組か生放送番組かに関わらず)その工程が番組の種類ごと・時間帯ごとで異なるうえ、放送を行っている間はいわば常に「一発勝負」となる。これは間違い・勘違いを起こすヒトの弱点と、必ず壊れる機械の弱点を同時に突く難題であり、事故の発生は原理的にむしろ自然なことであると言える。

運用に関わる設備とスタッフをひとつの「放送システム」として捉え、機械工学土木工学電気工学電子工学通信工学情報工学人間工学安全工学信頼性工学)、医学などの広い観点から総合的に検討・対策が行われてきている。結果、常に現場には最先端の技術や手法が投入され、放送システムは改善・改良されつづけている。

放送事故は自動車事故等と異なり、それが直接的に人命に影響する事はほとんどないといえる[2]が、放送局にとっては高額の経済的損失につながりうる問題である。このため、各放送局内には放送事故対策のための委員会・部署等が設けられており、放送事故をなくす事を最終目標として積極的な取り組みが行われている。

  • 事故発生時の迅速な対応のために、各種の監視装置に加えて送信所からの放送内容(オンエアー)を監視員により常時監視している。
  • オンエアーと同時にVTRに記録したもの(同録)を保管しており、事故発生時の検証に用いている。
  • 主調整室からの直接監視が困難な中継局等では、サービスエリアに在住する者に監視を委託し、事故発生時には速やかに送信局と連絡を取り合う体制がとられている。

機械事故

実例

ラジオ

音声のみの媒体であるラジオでは、一定時間受信側で復調した場合において聴取できない変調度で放送した場合、無変調事故とみなされる。クラシック音楽の放送で、変調度の低い音が継続し、事故となった例がある。

生放送[3]中盤の7月28日午前0時38分ごろ、CMの入りから三十秒間放送が無音になり、続いて無音調が続いた際に割り込まれるフィラーが四十秒程放送された。その後、CMが途中から流れ、CM明けからは何事もなかったように番組が再開された。再開後、生放送内でスタッフがスタジオに入り、直接謝罪した。原因は東京支社-本社間の回線[4]のトラブル。次のCM枠では本来流れる予定であったCMも連続して流された。
長時間の無音状態が発生し、この他にも短時間の放送事故が頻発していた事から10月27日以降総務省の行政指導が再三行われるも、改善されなかった。[5]。これを理由に無期限放送休止に陥り、翌年11月に総務省の委託放送事業者認定取消し(いわゆる放送免許剥奪)により廃局となった。テンプレート:Main
テレビ
20時52分頃、エンディング途中で画面が黒画面になり音声も出なくなるという事態が発生。終了時刻を過ぎても復旧せず、後番組となる「ゴールデン洋画劇場」の途中21時17分頃まで長引く事になった。
フジテレビ放送圏の関東地方では長時間画面が黒画面のまま音声も流れない状態で、回復後も画面に放送内容と無関係の数字が出たり雑音が入る事態が継続した。この事態はネット送りにも及んだため、ネット各局では緊急用素材を流す等で凌いだ。
この事故は翌日の新聞でも大きく報道される等大きな出来事として捉えられネット各局へは苦情による電話が「回線がパンクした」程寄せられたという。
フジテレビは事故から復帰した最初の番組である「ゴールデン洋画劇場」内で、お詫びのテロップを挿入。次回予告終了後にはアナウンサーが顔出しで謝罪するという異例の事態になった。
阪神甲子園球場で行われた日本シリーズ第3戦、阪神・星野仙一監督のインタビュー中にCMが挿入される事態が発生し、朝日放送に苦情が殺到した。
野球中継や等の番組展開によってCMの放送時間が前後する番組では、CM放送時刻が決められない代わりにスポンサーと約束した時間中に決められたCMを放送するといった契約がなされる。そのCMを時間中に放送しないと事故扱い(契約違反)になるため近年の放送局では自動番組制御装置によりボーダーラインとなる時刻までの「残時間」を自動計算しゼロになると強制的にCMを入れるといった対策が行われている。
この試合ではCM放送のタイミングを逃しており、「残時間」がインタビュー中に無くなり強制的にCMが挿入された(これによりCM飛ばしとはならなかった)事によりインタビュー中であるのにCMが挿入されるといった不体裁が生じた。
朝日放送での放送において番組途中にテープが早送りになった。番組は5分間ほど中断(この間ABCのしばらくお待ちくださいの画面で対応)、CMから再開し冒頭から再度放送されたがこのCM終了間際に画面がブラックバックになり関係のない「上沼恵美子のおし」の文字が放送されてしまった。番組は収録素材による物であり、順にカラーバー、テープID、本編となっている事から本編の頭出しが間に合わなかったと考えられる。
13時40分頃、第4話を放送中に音声が流れなくなる事態が発生。CMは正常であったが、本編では音声が全く出なかった。15分ほどで復旧したものの番組の半分以上が無音だったため翌日再放送された。この日更新・運用開始した主調整室の設備トラブルが原因とされる。
15時47分にテレビ宮崎(UMK)にて放送中に映像が停止し30分以上そのままの状態となった。この後も16時台のドラマ再放送『セクシーボイスアンドロボ』の枠までそのままの状態となった。放送は16時52分に復旧したもののローカルCMが放送できない状態は続く。『UMKスーパーニュース』の『スーパーニュース』任意ネットパートである17時台はCMの部分を「しばらくおまちください」の静止画の対応で済ませたものの、18時台の全国パートまでの番組中CMの一部(静止画)が挿入された。また、18時台ローカルパートについてCMは一切挿入されず、ステーションブレイク枠は全て公共広告機構(現:ACジャパン)のCMに差し替えられた。19時頃にバックアップ体制となり、最終的に22時52分[6]に全面復旧した。この事故に関するUMKへの問い合わせは電話だけでも約600件に上り、『UMKスーパーニュース』と『UMKニュース』内でキャスターによる謝罪[7]がされた。
同年9月28日付にUMKは九州総合通信局(KBT)に放送事故に関する最終報告書を提出。これによると事故原因は「制御LANが1BUSリモコンの不調により異常をきたしたため」とされ、この対策として1BUSリモコンのソフトウェア改修や緊急用の迂回路の追加等対策を施した。
このことからKBTから同年10月3日に行政指導・臨時検査を受けた[8]
2010年8月24日14時21分頃から約13分間、BSデジタル放送の全チャンネルとBSアナログ放送NHK BS2が停波、予備の衛星に切り替えて放送を再開した。放送衛星の姿勢が崩れたことが原因。
19時57分から約3分間にわたり、19時57分から1時間短縮版(2時間版とは編集が異なる)の裏送りを受ける5局(関西テレビ東海テレビテレビ西日本岡山放送テレビ長崎)にて各局のローカル番組放送終了後、同番組に切り替える際に映像が映らなくなる不体裁が発生した。
19時から2時間版を放送した局では乱れがなかった事から、フジテレビから5局に映像を送出する際にトラブルが発生したとみられる[9]
2011年9月4日23時から約2分半にわたり、放送圏内で黒画面になり視聴出来なくなる事態が発生した。事故原因はTBS局内の送出機器の系統の故障で予備系統に切り替えるまでの時間がかかった事による[10]
なお、同番組は共同制作している毎日放送から発信しているため他のネット局では影響がなかった。
21時30分頃からCM終了後に映像が1分20秒程度停止する事態が発生。その後も番組やCM映像が一時停止したり、事故前に放送された場面が繰り返し放送されるなどした上、番組終盤の特集VTRの放送中に番組終了時刻となった。
この現象はネット局でも発生し、次時間帯の「リンカーン」冒頭にてお詫びテロップが表示された。
原因についてTBSはデータ不具合によって発生した事故だったとして、番組公式HPやTBSテレビのHPにて謝罪した。
12時40分頃、再放送内のCMで静止し次番組『ペケ×ポン』(再放送)の冒頭まで約15分間放送が中断した。フィラー映像に差し替えられた後に放送を再開するも内容が飛ばされる、再びフィラーが流れる等混乱が続いた。また一部の受信機において「UHBが受信しない」「テレビ内の時刻表示がずれた」「電子番組表が正しく表示されない」等の障害も発生した。原因は映像や音声を各送信所に送る機器の不具合による。
7時2分頃から約7分間、生放送中に突然「ピー」という異音が入ったり、番組の音声が途切れる状態となった。その際画面下部に「音声が乱れています 大変申し訳ありません」という字幕テロップを表示させ、回復後は当日の総合司会者(TBSアナウンサー)による謝罪がなされた。原因についてTBSは「放送事故の原因は調査中だが、音響機器の不具合とみて調べている」としている。

対策

  • 放送設備・回線の並走運用と瞬時切替システムの構築(冗長化)
  • 機器・部品の個別改良による稼動信頼性の向上

人為事故

実例

操作ミス等による例

下記のほか、誤った内容を放送し、直ちに訂正しなかった場合には事故として扱われる場合がある。

ラジオ

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テレビ
  • 1953年8月28日正午、日本テレビで初の民放テレビ番組放送開始から初のテレビCM(精工舎)が裏返しに映り、音声も流れないという事態が生じた。原因は再生機にフィルムを裏返しにセットしたためで(フィルムのパーフォレーションは長手方向の両側に付けられているため逆さまにセットできる)、画像が裏返しとなり光学式サウンドトラック(フィルムの長手方向の片側に、画像コマとは独立に設けられている)が再生ヘッドの上を通らなかったために無音となった。日本初のテレビ放送事故とされる。
THE ALFEEが中継で出演した回にて。「メリーアン」では東京のTBSから演奏(カラオケ)を中継現場に送りこれに合わせてTHE ALFEEが歌い中継現場からのシロ(歌声のみ)に東京のTBS副調整室で同じカラオケをミキシングすると言った演奏をしたが、衛星回線で生じる遅れによりトータルで演奏と歌唱に約1秒のずれが生じてしまった。また、1985年恋人達のペイヴメント」でも演奏はしていたが歌声が放送されないというトラブルが発生した。国内衛星中継運用開始初期であり、技術的に不慣れであった事が原因とされる。
4時54分から6時52分までの約2時間鳥取県鳥取市等、県東中部の約12万5000世帯で映らなくなる。放送休止となっている午前2時半頃から松江市の送信所で行った機器増設工事の後に中継装置の電源を入れ忘れたのが原因。
NHKニュース おはよう日本を始め午前中の「気象情報」で使用される東海地方・北陸地方対象の週間天気予報で、岐阜市津市の予報が入れ替わって表示されていた事が判明。偶然天気予報を見ていた気象台の職員からの指摘で発覚。名古屋地方気象台から受け取るデータを自動反映させる装置の設定誤りが原因。
勘違い、認識不足等による例
ラジオ

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テレビ
名古屋テレビと同時ネット局において、第17話「明かされた鎧伝説」を2週続けて放送した。[11]
朝日放送の1日早い先行放送向けに送出後、翌日に同時ネットでそれを放送すべきときに、名古屋テレビの担当者が同時ネットで放送済み(朝日放送が6日遅れネット)と勘違いしたためとされる。
翌週「同じ回を流してしまってごめんなさい」というテロップによるお詫びが流されたが、全40話の予定であった番組が全39話へと短縮されてしまうという前代未聞の事態となった。
2007年12月3日北陸朝日放送にて放送された第24回アジア野球選手権大会「日本対台湾」戦の中継で、放送延長のデータ入力ミスにより21時54分以降試合終了まで地上デジタル放送では放送が中断され、視聴者は北京五輪出場決定の瞬間を視聴できなかった。約20分ほどで復旧したが、ワンセグでは翌日の放送開始まで視聴できなかった。
20時47分頃、番組内ローカルニュースでオープニングからスタジオへ切り替えられた時、ニュースの準備をしている様子が放送された。この時アナウンサーを含めスタッフはON AIRに気づいておらず、直後に「しばらくそのままお待ちください」という音声と静止画が10秒ほど放送され、ニュースが始まったものの放送時間が不足しVTRの途中で終了した。
近日、放送局内ではスタジオや副調整室の時計が動かなくなってもON AIRの開始は、主調整室からのタリー、スタジオ・副調整室でのON AIRの監視、自動番組制御装置による放送進行表のリアルタイム表示によって分かる。更に主調整室との連絡手段を設けているので事故が発生しても連絡がなされると言った二重三重の事故対策が講じられている。
しかしこの件では、番組素材送出の状況、枠の前後が全て正常であった事、テレビ大分ウェブサイトの週間番組表に事故になったニュース枠の記載がない事から、スタッフの放送時刻の認識ミスが事故の発生原因であると考えられる。発局が放送直前に急な番組構成変更をしてセクション連絡が間に合わなかった、あるいはイレギュラーの番組構成となっているにも関わらずレギュラーの番組構成と思い込んでいたという事が大抵の原因であり、これが今日でも防ぎきれない典型的な人為ミスによる事故である。
なお、「しばらくお待ちください」は通常主調整室で監視員が手動によって割り込みをかけるものであり、その事からも副調整室がON AIRを把握していなかったと推測できる。
午前3時51分、日本テレビにてジャンクション終了直後から「日テレNEWS24」(フィラー)が流れず、黒画面をバックに画面左上の日テレNEWS24(CS)フィラー用のCS局ロゴおよび時刻表示だけが数分間表示された。その後、午前4時の「Oha!4 NEWS LIVE」(日テレNEWS24制作)開始まで「SOUND STORM」を急遽流した。なお、時刻表示等はまもなく通常表示に切り替えられた。原因は当日午前1時 - 7時に日テレNEWS24(CS)がメンテナンスのため停波となっていたに関らず、これを失念し「日テレNEWS24」を編成してしまった事から代替のフィラーを事前に用意していなかった事による。なお、「Oha!4 NEWS LIVE」は予定通り日テレNEWS24からの裏送りで問題なく放送された。
午前0時49分頃、板尾創路が最後に最優秀賞を発表する部分が流れず自局の広告が流れ、そのまま次番組がスタートしてしまった。改編期後の初回の生放送で、この回より放送時間枠が1分短縮されていたがそれに気づかずに番組を構成したため、1分間で放送されるべき部分が放送できなかったと思われる。
モラル低下、素人化等による例

下記のほか、放送禁止用語を放送し、直ちに訂正しなかった場合には事故として扱われる場合がある。

ラジオ

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テレビ
意図的に2分時計を早め、21世紀へのカウントダウンフライングした。出演者と視聴者を巻き込んだドッキリ企画として行われた物だが、出演者も混乱していたため視聴者に充分な説明がなされず、日本テレビには多くの非難が殺到した[12](なお、日本テレビ側では番組スタッフへの厳重注意を行い、『進ぬ!電波少年』内でお詫びテロップを流す対応を取った)。
大原則として、放送番組進行は備え付けの正確な時計に従って行われなければならず(法定。また一日に最低一度較正しなければならないと無線局運用規則で定められている)、特に実時刻にかかわる放送内容について「不具合」があるとただちに視聴者に混乱を与え、場合によっては実害を生じさせる恐れがあることから、その「誤り」は本物の放送事故として扱われる(ラジオ放送で現在時刻のアナウンスを間違えた場合、ただちに訂正するのはこのため)。
加えて、歴史的な21世紀へのカウントダウンをいわゆる「お笑い」のネタにすることは倫理的にも疑問視され、この件は放送倫理・番組向上機構(BPO)でも問題となった[12]。この件は当時、放送におけるさまざまな規制に敢えて挑戦した演出が過ぎた一例として扱われ、以降、こういった内容は改めて放送禁止の対象として、放送業界内で確認されることになった。
2003年6月28日生放送にて、出番前に飲酒をしていた笑福亭鶴瓶が「さんま・中居の今夜も眠れない」で中継が入った際に、中継が始まっているにも関わらず泥酔して全裸で寝てしまっており、SMAP中居正広に呼ばれ起き上がった瞬間に下半身を露出してしまった。一緒にいたココリコ遠藤章造やスタッフらが座布団等で隠そうとしたが結局映ってしまい、直ちにCMが入れられた。CM明けに中居が視聴者に謝罪した。
この件は鶴瓶が元凶であるが、中継制作現場がそのような状況を許した事、副調整室は中継現場の状況をスイッチ前に把握できるに関らず対応しなかった事により重大な事故となった。
午前11時、情報番組「ぴーかんテレビ」において「怪しいお米セシウムさん、汚染されたお米セシウムさん」という、岩手県産ひとめぼれプレゼント当選者発表リハーサル用字幕が23秒間にわたり誤って放送された[13]
やり直しの効かない生放送では番組制作上の意識としてスタッフ全員に「自分や友人などがそう言われたら自分はどう思うか?主観的に言いたい放題言うだけの自分は他者にどう評価されるか?」という意識を徹底させる為に、リハーサルにおいて敢えて放送するに問題がある表現や言葉を使う、あるいはスタッフを「出汁」にして気に障るか試してみるという事がなされてきた。[14]
ところが、この番組の素材であるテロップの制作担当者が内容的に必要がないのに「ふざけた気持ち」でこれを行い[15]かつ、放送前にチェックされ訂正・削除が求められていたにも関わらずそのまま放置し、それが副調整室の確認・操作ミスで送出され主調整室の割り込みが掛けられる事も無く23秒間も放送されてしまった。[16]
この事は番組担当者の社会意識の欠如のみならず、放送会社全体としてのコンプライアンス意識と管理体制の欠如が元凶[17][18]であり、普通では副調整室操作ミスといったNGとされる程度のミスがスポンサー降板・番組打ち切りの事故となってしまった。
更には副調整室のテロップ送出装置やプログラム(放送本線)系統のシステム設計にも人為ミスを誘発し事故を防げないという重大な欠陥があり、この事が事故を大きくする事になった[19]テンプレート:Main

対策

  • 番組制作・編成作業、放送進行作業、連絡体制、回線業務のシステム化、合理化。
    • 複数人による同一作業実施と確認。短時間交代制の実施。
  • 機器の操作性等の改良。
  • 放送制作現場におけるモラルの向上
日本において放送開始の経緯より「モラル」は「当然」として浸透している事からいわゆる「自浄作用」が形成されており、2011年の東海テレビ放送「セシウムさん」事件まで直接的な重大事故は発生しなかった。[20]
その経緯から現在モラルによる事故を総合的に防止する効果的な対策は見出されていない。
放送内容全般については放送法により各放送事業者に設置が義務づけられている放送番組審議会が存在するが、目的の違う(『放送番組の向上と改善』)機関であり、審議会を構成する委員は放送事業者によって恣意的に任命する事も出来る事から限定的な効果しか期待できない。

不可抗力等が原因となった事故

実例

ラジオ

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テレビ
公開生放送の開始直前に、会場(入間市市民会館)が停電になり照明が消えるという事態が起きた。
停電となったのは場内の照明のみでカメラやマイク等の放送機材には会場外の中継用電源車から電力が供給されていたため放送不能となる事態は回避され、懐中電灯を用いてゲスト紹介等で放送を繋いだ。20時9分頃に停電は一部復旧し、いかりやが「8時9分半だョ!」の掛け声を掛けた後非常に巻いて(10分短縮で)放送。エンディングでは電源の不備についてお詫びとテロップを出した。
原因は事前に行われる観覧の抽選漏れで入場できなかった者が、腹いせにブレーカーを落とした事による。
この停電が安全面に危惧を及ぼし、同番組の末期にてTBSのスタジオからの公開生放送となる一因となったとされる。
1990年10月28日「'90国際親善パリ駅伝」の中継では現地の天候が悪かったため、映像が大幅に乱れ予定していた中継時間の3割弱程度しか放映できなかった。
フジテレビ番組広報部によると、悪天候のため映像を中継するヘリコプターを番組開始時に飛ばすことができず、30分後に飛行させたもののスタートやゴール等7か所の固定カメラからの映像以外はほとんどが乱れ続けた。このためフジテレビでは急遽番組の内容を一部変更し、固定カメラで走者を捉える事の出来ない時間帯の一部で過去の大会のビデオを流し、ゲストのレーサー・鈴木亜久里と司会者とのトークを交えながら番組を進行させた。
日曜のゴールデンタイムに生中継を期待していた視聴者からは、フジテレビへの苦情や問い合わせが殺到した(翌29日の産経新聞朝刊によると、番組放送時間帯だけでも1454本もの電話があったという)。
  • 2005年9月11日午後3時から放送の「スーパー競馬」(フジテレビ)の中継にて豪雨により音声装置に異常が発生、オープニング直後からCMに入るまでの間、福原直英アナウンサーをはじめとする出演者の音声(第10競走の実況音声を含む)が流れなくなった。
  • 2007年11月頃、兵庫県のCATV局「J:COM 神戸・三木」の回線が切れ、J:COMと契約している神戸市の利用者ほぼ全域で見られなくなるという事態が発生した。西区のJ:COMの基幹ケーブルが切られたためで、犯人はのちに逮捕された。約2時間後、一部でサービスが再開されたが、全域の復旧までには約8時間かかった。
  • 2008年8月14日6時30分頃、西日本各地の気象台より雷注意報の発表されていた広島県にある中国放送黄金山送信所(アナログテレビジョン放送親局)で、「落雷による物と考えられる事故」(中国放送発表)が発生、受電設備・バックアップのための自家用発電設備の焼損により広島県西部および北部でのアナログテレビジョン放送がストップした。テンプレート:Main
  • 2009年1月10日、14時頃から11日1時頃にかけて青森朝日放送八戸中継局が強風によりメインの電源が停電、及び非常用発電機が強風により発電機の排熱に異常をきたし故障したためバックアップ含めて停電、アナログ・デジタルともに放送が中断した(中継局は青森朝日放送単独)。トラブル発生時、中継局がある三八地方に暴風雪警報が発表されており、回復への作業が進められなかったことが復旧を遅らせた。

対策

  • 番組制作現場・設備における厳重なセキュリティ対策
  • 送信所、送信鉄塔等の防災対策

複合的な原因で起きた事故

ラジオ

日曜競馬実況中継』の放送中に、川崎幸送信所が遠隔制御装置の故障で1時間半に亙って停波。担当者が社外の2000年問題対策研修会に全員出払っていたため、早急に対応できなかった。
ラジオ日本には抗議が殺到。郵政省等から厳重注意処分を受ける。

テレビ

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放送事故を再現して問題となった例

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

  • たとえば、英語版Wikipediaには、当項目にあたる、放送上の異常が総合的に記述された項目が存在しない。
  • そもそも放送事故という語が身に関わる事故について指した言葉ではない。例えば収録中発生した事故はそれとして報道される通りである。
  • その回はスペシャルとして、イレギュラーに生放送でオンエアされていた。
  • ラジオ関西本社は神戸であるが、アニラジ番組は東京支社で収録されており、この生放送も東京からの放送であった。
  • 「平成19年9月12日 諮問第35号説明資料『World Independent Networks Japan 株式会社の認定取消について』」 総務省電波監理審議会
    情報通信 (IT政策) - 電波監理審議会 →第922回(19/9/12) 会長会見資料(PDF)
  • 20時54分と21時54分の『UMKニュース』においてスポンサークレジットが表示されず、CMも不完全であったため。
  • テレビ宮崎で放送が断続的に中断 日刊スポーツ、2007年8月16日報道。
  • 放送システムの安全性・信頼性向上に係る放送事業者への要請 - 放送中断事故に関し株式会社テレビ宮崎を行政指導 - 九州総合通信局、2007年10月3日。
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite news
  • 『鎧伝サムライトルーパー』第17話の二重放映事件(TVアニメ資料館)
  • 12.0 12.1 土屋敏男「電波少年最終回」 日本テレビ放送網 2001年 ISBN 4-8203-9790-7
    放送倫理・番組向上機構 青少年委員会 放送局への回答要請 2001年1月 日本テレビ『いけ年こい年世紀越えスペシャル』
  • 東海テレビ放送「ぴーかんテレビ」「怪しい・汚染されたお米セシウムさん」字幕テロップ誤送出事故。産経新聞 2011年8月11日。
  • テンプレート:Cite book
  • 日刊サイゾーの同事故に関する記事には、テロップを作るスタッフは毎日の単調作業の繰り返しに退屈し、ダミーテロップにジョークを書いて周囲の笑いをとるうちに調子に乗るといった、今日の民放各社のモラルは他の業界では考えられないほどに堕落しているとの局関係者の証言が掲載されている。
  • 「ぴーかんテレビ」に関する情報<お詫び> 東海テレビ放送株式会社
  • 「ぴーかんテレビ」に関する情報<お詫び> 東海テレビ放送株式会社
  • 「東海テレビ放送「ぴーかんテレビ」におけるテロップ誤放送問題について」 2011年8月5日、日本民間放送連盟会長
  • 「検証 ぴーかんテレビ不適切放送〜なぜ私たちは間違いを犯したのか〜」 東海テレビ放送 2011年8月30日放送、Aサブ事故対応再現より。
  • 表面上分からない間接的な事故は過去に起きている。例えば福岡放送、北陸放送、静岡第一テレビの「CM間引き」(CM未放送)と不正CM料金受け取りがあったが、それは一部の明らかな意図的悪意の結果であり放送局全体としてのモラル低下・素人化の結果という物ではなく、発覚後はいずれも有効な防止対策が講じられている。