海遊館
海遊館(かいゆうかん、Osaka Aquarium KAIYUKAN)は、大阪府大阪市港区天保山にある水族館。1990年に開館した。「リング・オブ・ファイア(環太平洋火山帯)」と「リング・オブ・ライフ(環太平洋生命帯)」をコンセプトにしている。巨大水槽で環太平洋の海を再現し、従来の水族館の印象を劇的に変えた施設である。
概要
2013年現在、年間来場者数、延床面積、屋内水槽の規模が日本で三位以内に入る(日本の水族館を参照)とともに、屋内水槽の規模に関しては世界でも上位五指に入るほどの世界最大級の水族館である(水族館を参照)。
天保山のウォーターフロント再開発プロジェクト「天保山ハーバービレッジ」の中心的施設として1990年7月20日に開館した。
日プラ株式会社が新開発したアクリルガラスを使用することで、これまでにない巨大水槽を実現した。ジンベエザメが遊泳する「太平洋水槽」を含む14の大水槽を造るため、年間世界生産量の1.5倍(当時)にあたるアクリルガラスが使用された。海遊館以降に造られた水族館の大型水槽はほぼ全てがアクリルガラス製になっている。
建物外観の特徴になっている三色の色分けは、地と水と火の結合を模したもの。外壁に描かれた魚の壁画はアメリカ在住イギリス人デザイナーのサージ・アイヴァン・シャーメイエフの手によるもの、またケンブリッジ・セブン・アソシエイツ環境開発研究所を率いて建物全体の設計を担当したのは、その息子のピーター・シャーメイエフである。
2008年2月26日に、開業以来の入館者数が5000万人に達した。6317日(約18年)での達成は国内の水族館では最速。カップルや家族連れも多く、入館者の約6割がリピーターである。
施設の保有・運営は大阪市などが出資する第三セクターの「株式会社 海遊館」が、隣接する商業施設「天保山マーケットプレース」や「ホテルシーガル」とともに行っている。同社は黒字経営を続けており、大阪築港再開発事業としては成功をおさめている。
主な施設
水槽
入館者はまず8階までエスカレーターで上がり、回廊型の通路を4階まで下りながら、以下のような順序で鑑賞する事になる。そのため、水上と水中など、複数回鑑賞することが出来る水槽もある。
ジンベエザメを観ることができる「太平洋」水槽は、最大長34m、深さ9m、水量5,400m³。観客と大水槽を隔てるアクリルパネルは高さ5.9m、幅5.0m、厚さ30cm。
ミコアイサなど
- アリューシャン列島
- ラッコ、クロソイなど
- モンタレー湾
- ゴマフアザラシ、カリフォルニアアシカ
- パナマ湾
- ハリセンボン、アカハナグマなど
- エクアドル熱帯雨林
- カピバラ、グリーンイグアナ、ピラルク、リスザル、ショウジョウトキ、ピラニアなど
- 南極大陸
- オウサマペンギン、ジェンツーペンギン
- タスマン海
- カマイルカ
- グレート・バリアリーフ
- チョウチョウウオの仲間、スズメダイの仲間、ナンヨウハギなど
- 太平洋(最大長34m、深さ9m、水量5,400m³)
- ジンベエザメ、ナンヨウマンタ(マンタ)、イトマキエイ、シュモクザメ、マンボウ、メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)、グルクマ、ネムリブカ、マサバ、ギンガメアジ、クエなど
- 瀬戸内海
- イシダイ、マダコ、マダイ、タカノハダイ、イセエビ、ゴンズイなど
- 特設水槽
- マンボウなど
- チリの岩礁地帯
- マイワシ、カタクチイワシなど
- クック海峡
- アカウミガメ、ピンクマオマオ、ブルーマオマオなど
- 日本海溝
- タカアシガニ、ミズダコ、イズカサゴ、イガグリガニなど
- 深海ゾーン
- オオグソクムシ、アカザエビ、オニカナガシラ、サギフエなど
- ふあふあクラゲ館
- ミズクラゲ、アカクラゲ、ギヤマンクラゲなど
- 北極圏
- ワモンアザラシ、クリオネなど
- フォークランド諸島
- イワトビペンギン
- モルディブ諸島
- トラフザメ、イヌザメなど
過去にはイタチザメ、スナメリ、メガネカイマン、ホフマンナマケモノなどを飼育していたことがある。
その他
- 企画展示室
- 海遊館ホール - 定員320名(固定席268席)、面積346.36m²
- VIPルーム
- 喫茶マーメイド
- オフィシャルショップ
- ミュージアムショップ
- ボトルシップミュージアム
- レストランハーバービュー
- ジュースバー
エピソード
ネーミングにまつわるもの
タレントの上沼恵美子は、「海遊館」の名称を決定したのは自身の役割が大きいと述べている(上沼自身がテレビ番組でよく語っている)。
海遊館の開業前に名称を一般募集したが、そのほとんどが全国の水族館でありきたりな「マリン〜」のような類で、「海遊館」は1票だけであった。票の多い「マリン〜」に決まりかけた時、名称選定委員会の一員であった上沼が「(当時インテックス大阪で行われていた)夢工場というイベントが大した内容でもないのに異常な盛況となったのは、『夢工場』と聞くと頭に漢字が3つ印象に残るからである、水族館の名称として全国にいくらでもある『マリン〜』ではなくインパクトのある『海遊館』にした方が当たる」と述べて反対し、最終的に「海遊館」に決定した。
その他
- 俳優のエドワード・ノートンの祖父はマーケットプレイス開発やコミュニティ都市の創出を得意とした都市計画家のジェームズ・ラウスで、海遊館の企画に関わり、巨大水槽の設置のために大阪に滞在していた。エドワード・ノートン本人も仕事を手伝うために大阪に1年弱滞在していた。近年でも映画のキャンペーンで来日した際に関西弁交じりの日本語を披露するが、当時よりは日本語を話せなくなったという。
- 節分にちなんで、毎年スタッフが「オニさんダイバー」として赤オニと青オニに変装する。
建築要目
- 竣工 - 1990年
- 設計 - ピーター・シャーメイエフ(ケンブリッジ・セブン・アソシエイツ環境開発研究所)
- 規模 - 地上8階(本館)、地上4階(エントランスビル)
- 構造 - S造、RC造
- 延床面積 - 2万7200平方メートル
- 展示水量 - 1万1000トン (屋内水槽のみ)
- 所在地 - 〒552-0022 大阪府大阪市港区海岸通1丁目1番10号
- 受賞 - 公共建築賞
交通
※ 天保山ハーバービレッジを参照。