ゴイサギ

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ゴイサギ(五位鷺、学名Nycticorax nycticorax)は、コウノトリ目サギ科ゴイサギ属に分類される鳥類。

分布

アフリカ大陸北アメリカ大陸南アメリカ大陸ユーラシア大陸インドネシア日本フィリピンマダガスカル

日本では夏季に北海道に飛来(夏鳥)するか、本州以南に周年生息する(留鳥)。冬季に南下する個体もいる。

形態

全長58-65cm。翼開長105-112cm。体重0.4-0.8kg。上面は青みがかった暗灰色、下面は白い羽毛で被われる。翼の色彩は灰色。

虹彩は赤い。眼先は羽毛が無く、青みがかった灰色の皮膚が露出する。嘴の色彩は黒い。後肢の色彩は黄色。

幼鳥は上面が褐色の羽毛で被われ、黄褐色の斑点が入る。この斑点が星のように見える事からホシゴイの別名がある。下面は汚白色の羽毛で被われる。虹彩は黄色がかったオレンジ色。眼先は、黄緑色の皮膚が露出する。

繁殖期には後頭に白い羽毛が3本伸長(冠羽)し、後肢の色彩が赤みを帯びる。

分類

2亜種に分かれる。

  • Nycticorax nycticorax nycticorax ゴイサギ

ユーラシア大陸、サハラ以南のアフリカ、南北アメリカに分布する。

  • Nycticorax nycticorax obscurus

南アメリカ南部、フォークランド諸島に分布する。

生態

河川湿原水田、海岸などに生息する。単独もしくは小規模な群れを形成して生活する。夜行性で、英名(night=夜)の由来になっている。昼間は樹上で集団で休む。

食性は動物食で、両生類、魚類、昆虫、クモ、甲殻類などを食べる。水辺を徘徊しながら獲物を捕食する。

繁殖形態は卵生。サギ科の他種も含めた集団繁殖地(コロニー)を形成する。樹上に雄が巣材となる木の枝を運び、雌がそれを組み合わせた巣を作る。日本では4-8月に3-6個の卵を年に1-2回に分けて産む。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は21-22日。育雛は雌雄共同で行う。雛は孵化してから20-25日で巣を離れるようになり、40-50日で飛翔できるようになり独立する。生後1-2年で性成熟する。

人間との関係

平家物語(巻第五 朝敵揃)の作中において、醍醐天皇宣旨に従い捕らえられたため正五位を与えられたという故事が和名の由来になっている[1]。 また、能楽の演目「鷺」はその五位鷺伝説に由来するものである[2]

夜間、飛翔中に「クワッ」とカラスのような大きな声で鳴くことから「ヨガラス(夜烏)」と呼ぶ地方がある。

画像

関連項目

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参考文献

外部リンク

脚注

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  1. 延喜御門神泉苑に行幸あッて、池のみぎはに鷺のゐたりけるを、六位をめして、「あの鷺とッて参らせよ」と仰ければ、いかでか取らんと思ひけれども、 綸言なればあゆみむかふ。鷺、羽繕ひして立たんとす。「宣旨ぞ」と仰すれば、ひらんで飛びさらず。これを取ッて参りたり。 「なんぢが宣旨にしたがッて参りたるこそ神妙なれ。やがて五位になせ」とて、鷺を五位にぞなされける。 「今日より後は鷺のなかの王たるべし」といふ札を遊ばいて、頸にかけてはなたせ給ふ。 まッたく鷺の御料にはあらず、ただ王威の程を知ろし召さんがためなり。 J-Texts 平家物語・龍谷大学本・全巻
  2. 能「鷺」:延年の舞とのかかわり 壺齋閑話