十字

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全ての棒が同じ長さのギリシャ十字(上)と、それを45度回転させたサルタイアー(下)

十字(じゅうじ、クロス、:cross)とは幾何学図形の1つで、2つの線(棒)が互いに直角に交差して、片方または両方の線が中央で分割されている。線は通常は水平と垂直だが、斜めの場合は斜め十字(ななめじゅうじ、サルタイアー、英:saltire、聖アンデレ十字)とも呼ばれる。

なお日本では、線が垂直な場合は漢字の「十」と同じ形のため「十文字」(じゅうもんじ)、斜めの場合は「×」(バツ、ペケ)と呼ばれる事もある。

概要

十字は最も古代から存在する人類のシンボルの1つであり、多くの地域で使用されている。太陽のシンボルや、キリスト教十字架南十字星の他にも、世界の四大要素方位、あるいは縦線を神性、水平線を世界とした統一概念の象徴などとして使われている。

現代でも多数の国旗赤十字社などの標章や紋章家紋などにも使用されている。なお中国の、の時代に十字をつけた餅を食して厄除けとする風習が、日本に伝えられると鎌倉時代に流行し、その餅のことを「十字」といったともされる[1]


種類

以下は主な十字の例である。十字の持つ特定の意味でまとめたものではなく、十字の全ての種類でもない。名称やデザインは代表的なもので、詳細は各リンク先も参照。

紋章における十字は、他にも非常に多くのバリエーションがある。紋章の背景知識は紋章学を参照。有名なオンライン情報には A Glossary of Terms Used in Heraldry by James Parker (1894) があり、紋章における十字のバリエーションについて多くの情報が参照できる。

家紋の例

十文字紋(じゅうもんじもん)は、漢字の「十」を図案化した家紋である。図案には「丸に十文字」「島津十文字」、「日置十文字」、「猪飼十文字」などがある。その形状から、久留子紋と混同されることが多く、また、島津氏が用いたとされる「丸に十字」は紋と混同されることがある。

鎌倉時代初期の、島津忠久甲冑に記された「十文字」が現存では最古の例である。主に島津氏とその関係の氏族が用いた。フランシスコ・ザビエルが布教のために鹿児島に来た際、島津が「白い十字架」を使用していたことに驚いた、という記録がある[3]

徳川幕府によるキリスト教の禁教令発布後は轡紋(くつわもん)、祇園守紋(ぎおんまもりもん)、桛紋(かせぎもん)、卍紋などとともに久留子紋の代用として用いられることがあった。[1]

旗の例

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スカンディナヴィア十字

いくつかの旗は十字を含んでいる。

北欧スカンディナヴィア諸国の全ての国の国旗は、スカンディナヴィア十字で知られている(スウェーデンの国旗アイスランドの国旗など)。17世紀以降のスイスの国旗は同じ長さの線による正方形の十字を使用し、赤十字の標章の元となった。ヨーロッパ以外でも キリスト教徒の多い国が、国旗に十字を入れることがある(トンガの国旗ジャマイカの国旗など)。

また南半球の多くの国は、国旗に南十字星(サザンクロス)を使用している(サモアの国旗ブラジルの国旗など)。

国旗の例

国旗以外の例


参照

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  • Chevalier, Jean (1997). "The Penguin Dictionary of Symbols". Penguin ISBN 0140512543
  • Koch, Rudolf (1955). The Book of Signs. Dover, NY. ISBN 0-486-20162-7.
  • Drury, Nevill (1985). Dictionary of Mysticism and the Occult. Harper & Row ISBN 0060620935
  • Webber, F. R. (1927, rev 1938). Church Symbolism: an explanation of the more important symbols of the Old and New Testament, the primitive, the mediaeval and the modern church. Cleveland, OH. テンプレート:OCLC.

関連項目

外部リンク

  • 1.0 1.1 千鹿野茂監修 高澤等著『家紋の事典』東京堂出版 2008年
  • 正教会の伝統と象徴
  • テンプレート:Cite web