三ノ塔

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テンプレート:Infobox 山 三ノ塔(さんのとう)は丹沢山地南東部、神奈川県秦野市にある標高1,204.8mの山である[1]

概要

丹沢山地南東部のヤビツ峠から塔ノ岳へ連なる丹沢表尾根のほぼ中間に位置する山であり[2]、周辺の山々とともに丹沢大山国定公園に指定されている[3]

山頂部は南北に長く、木立が少ないため広闊な展望があり、大山から相模湾箱根山地富士山、そして塔ノ岳から伸びる長大な表尾根の全貌を望むことができる。山頂からは四方へ尾根が張り出しており、南東へは二ノ塔菩提峠岳ノ台へと続き、ヤビツ峠に至る。北西に伸びる尾根は南東の尾根と合わせて表尾根と呼ばれており、烏尾山行者岳新大日へと連なり、塔ノ岳へ至る。北東へはよもぎ尾根が札掛(ふだかけ)集落へ伸び、南西に伸びる三ノ塔尾根は大倉へ下っている[2]

南麓の菩提集落の直上にそびえていることから菩提山(ぼだいやま)とも呼ばれ、北麓の札掛方面ではヤビツ峠付近から北流する藤熊川(中津川上流部の呼称)の支流のひとつである水沢が当山へ突き上げていることから水沢ノ頭(みずさわのあたま)とも呼ばれている[2][4]

登山

山小屋

三ノ塔の山頂には無人小屋である三ノ塔休憩所が建っている。表尾根には烏尾山山頂の烏尾山荘や新大日の新大日茶屋などがあり、塔ノ岳の山頂には通年営業の尊仏山荘がある[1]

三ノ塔休憩所

ファイル:Sannoto-Kyukeijo 02.jpg
広々とした山頂に建つ三ノ塔休憩所
ファイル:Fujimi-sansou (Tanzawa) 01.jpg
在りし日の富士見山荘(2011年3月)

三ノ塔休憩所(さんのとうきゅうけいじょ)は三ノ塔の山頂部にある木造の休憩小屋(避難小屋)であり、表尾根で唯一の無人小屋である。正式名称は存在せず、「三ノ塔避難小屋」や「三ノ塔休憩小屋」などとも称される。小屋内部には床板はなく、土間となっており、テーブルが2台設けられている。また、壁に沿ってベンチが設置されている。

周辺の山小屋

表尾根には多くの山小屋が存在するが、その多くは週末営業の小屋であり、通年営業の小屋は塔ノ岳山頂の尊仏山荘のみである。 公衆トイレが設置されている表尾根の登山口前には富士見山荘という山小屋があったが、2012年7月3日に火災が発生し、全焼した[6]

画像 名称 位置 三ノ塔からの
方角と距離km
備考
70px 尊仏山荘 塔ノ岳山頂 テンプレート:Direction2 3.2 有人小屋・通年営業
70px 木ノ又小屋 木ノ又大日付近 テンプレート:Direction2 2.6 有人小屋・週末営業
70px 新大日茶屋 新大日山頂 テンプレート:Direction2 2.2 有人小屋・週末営業
70px 烏尾山荘 烏尾山山頂 テンプレート:Direction2 0.7 有人小屋・週末営業
70px 三ノ塔休憩所 三ノ塔山頂 テンプレート:Direction2 0 無人小屋・トイレなし
70px 富士見山荘 表尾根登山口 テンプレート:Direction2 1.7 2012年7月に全焼[6]
70px ヤビツ山荘 ヤビツ峠付近 テンプレート:Direction2 2.8 有人小屋・週末営業

山名の由来

ファイル:Mt.Sannoto 02-2.jpg
加羅古神社の伝承のイメージ図。山麓に最初の神燈が輝き、その後、奥の山上にも二ノ燈、三ノ燈が灯った。

三ノ塔、および隣接する二ノ塔の山名は、南山麓の秦野市横野(よこの)にある加羅古神社(からこじんじゃ、旧表記:唐子神社[7])に伝わる次のような伝承に由来する。

そのむかし、毎夜横野の山に光るものが現れていた。それを不思議に思った村人が登ってみると、天空に突然御神燈が光り、その後、奥の山上にも二つ目、三つ目と神燈が灯り始めた。そして竜馬に乗った神童が現れて、村人へ神像を渡し、祀るよう伝えた。村人は神燈が最初に灯った場所(一ノ燈)に加羅古神社を建立し、二番目、三番目に神燈が灯った山はそれぞれニノ燈(にのとう)、三ノ燈(さんのとう)と呼ばれるようになった[8][9]

その後、「燈」が「塔」に転訛し、現在の名前になったといわれている。

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周辺の山

山容 名称 標高m 三ノ塔からの
方角と距離km
備考
70px 塔ノ岳 1,491 テンプレート:Direction2 3.2
70px 木ノ又大日 1,396 テンプレート:Direction2 2.6
70px 新大日 1,340 テンプレート:Direction2 2.2
70px 行者岳 1,180 テンプレート:Direction2 1.6
70px 烏尾山 1,136 テンプレート:Direction2 0.7
70px 三ノ塔 1,205 テンプレート:Direction2 0
70px 二ノ塔 1,144 テンプレート:Direction2 0.5
70px 菩提峠 760 テンプレート:Direction2 1.5
70px 岳ノ台 899 テンプレート:Direction2 2.3 たけのだい・だけのだい
70px ヤビツ峠 761 テンプレート:Direction2 2.8
70px 大山 1,252 テンプレート:Direction2 3.6 日本三百名山

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秦野盆地の南側に広がる渋沢丘陵より眺めた三ノ塔と表丹沢の山々。秦野盆地内の標高は150m前後であり、稜線部とは1,000m以上の標高差がある。写真で見えている稜線の内、塔ノ岳より右側(東側)の稜線の反対側がおおむね東丹沢地域、左側(西側)稜線の反対側がおおむね西丹沢地域にあたる。表丹沢地域で最も入山者が多いのが写真中央の大倉登山口、次いで多いのが写真右側の大山手前にあるヤビツ峠で、一年を通して多くの登山者が訪れる。(2013年2月撮影)

関連項目

脚注・出典

テンプレート:Reflist

参考文献

  • 『東京付近の山』、実業之日本社、2000年、ISBN 4-408-00124-4
  • 『丹沢 2011年版 (山と高原地図 28)』 昭文社、ISBN 978-4398757685
  • 『丹沢・箱根 日帰りハイキング』、実業之日本社、2005年、ISBN 4-408-00131-7
  • 『ヤマケイ・アルペンガイド5 丹沢』、山と渓谷社、2012年、ISBN 978-4-635-01356-7
  • 『かながわの峠』、神奈川新聞、1999年、ISBN 4-87645-249-0
  • 『新日本山岳誌』、ナカニシヤ出版、2005年、ISBN 978-4779500008
  • 『神奈川県の山』、山と渓谷社、2012年、ISBN 978-4-635-02363-4

テンプレート:Sister

テンプレート:丹沢表尾根 テンプレート:東丹沢

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  2. 2.0 2.1 2.2 『新日本山岳誌』、ナカニシヤ出版、2005年、ISBN 978-4779500008、p801-802
  3. 丹沢大山国定公園、県立丹沢大山自然公園 - 2013年1月20日閲覧
  4. 『神奈川県の山』、山と渓谷社、2012年、ISBN 978-4-635-02363-4、p10
  5. 5.0 5.1 5.2 山と高原地図 28.丹沢 2013 昭文社
  6. 6.0 6.1 カナコロ(神奈川新聞社) - ヤビツ峠近くの山小屋で火事、木造2階建てを全焼 2013年1月20日閲覧
  7. 神奈川県神社庁 - 加羅古神社 2013年1月20日閲覧
  8. 加羅古神社 - 2013年1月20日閲覧
  9. 山旅漫歩゚画文通信 画展671号 - 2013年1月20日閲覧