ハンバーガー

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ハンバーガー (hamburger) とは、焼いたハンバーガーパティを専用のバンズに挟み込んだサンドイッチの一種。アメリカを代表する国民食であり、ファストフードの一つとして各国にフランチャイズ展開がなされている事から広く知られている。

パティは牛や豚の挽肉を使う事が多く「ミートパティ」「ハンバーガーパティ」「バーガーパティ」とも呼ぶ。パティそのもの、あるいはパティに他の素材を組み合わせた料理なども、ハンバーガー(もしくはバーガー)と呼ぶ。

概要

ファイル:ベーコンチーズバーガー.jpg
ベーコンチーズバーガー

オーソドックスな調理例としては牛(又は牛豚合)挽肉、塩コショウ、とナツメグを適量振りかけて混ぜ込んだミートパティを作り、テニスボール大の大きさに丸めてから平らに引き延ばして両面に若干焦げ目がつくくらい加熱して、トーストしたバンズに乗せてからミートパティにケチャップをかけ、サンドにして食す。好みでマスタード、ピクルス、トマト、チェダーチーズスライス、刻みレタス、刻みタマネギ、ベーコン、スライスチーズ、その他をパティの上にトッピングする。手で持ち齧り付くのがポピュラーな食べ方である。

ナイフフォークを使用する事もあるが、ファストフードとしてはそれらを使用せず食べる場合、ウェットタイプなどと呼ばれるミートソース等液状の食材を用いたものは紙袋(バーガー袋)に入れて食べられる場合がある。フレンチフライが添えられる事、またセットメニューとして同時に食べる事も多い。

パンの代わりにご飯レタスを用いたものや、肉の代わりに大豆タンパクなどを用いたベジタリアンのための「ヴェジーバーガー」(Veggie burger)など、多種多様となっている。

挟むのは基本は牛肉のミートパティであるが、ミートパティ以外のものをバンズに挟んだ物も本場アメリカでは「 - バーガー」の表現が使われており、日本でもバンズに鶏肉や魚のフライ、焼肉、コロッケなどを挟んだサンドイッチのことも「 - バーガー」と呼称されることがある。この場合バンズが丸い円形であることがハンバーガーの定義となっている。

歴史

挽き肉料理のルーツは遊牧民タタールに由来すると考えられているタルタルステーキに遡るとされている。遠征の際、馬を食料とした遊牧民・タタールが、筋張った肉を食する際に食べ易く工夫したことがハンバーグの由来とされ、ドイツに伝わったタルタルステーキは、ハンブルクで労働者の人気料理になるなど、ヨーロッパで独自の発展を遂げた。

18世紀より米国に移住したドイツ人が食した独自の挽肉料理をアメリカで「ハンブルク風ステーキ(ハンバーグ)」と呼称するようになる。1891年の文献には既に「ハンバーガーステーキ」の文字が見られる。

ハンバーグをパンに挟んだ形状であるハンバーガーの誕生や命名の由来については諸説があるが、1904年に米国セントルイスで開催されたセントルイス万国博覧会の会場内でハンバーガーステーキを挟んだサンドイッチが「ハンバーガー」という表記のもとで販売されていたという事実からも、20世紀の初頭には専用の丸いバンと組み合わさり、今日のハンバーガーの原型がアメリカで誕生していたと考えられる。

このほか、1900年コネチカット州ニューヘイブンの食堂で開発されたという説や、ウィスコンシン州シーモアのCharlie Nagreenが1885年にハンバーガーを考案したという説もある。Nagreenは当初揚げたミートボールを売っていたがあまり売れなかったため、これを平板状にし、さらにそれをパンの間にはさんだものを販売したという。ニューヘイブンでは、急いでいる客にまかない用だった挽肉を焼いてパンに挟んで提供したのが始まりだと話している。また、ニューヨーク州ハンバーグ村は、ドイツの都市ハンブルクではなく自身がハンバーガーの名称の由来であると主張している。

ハンバーガーは、1940年代マクドナルド兄弟カリフォルニア州に開いたドライブインでメニューに出され、評判になったことで、アメリカを中心に各国に広まった。その拡がりは「マクドナルド理論」といい、トーマス・フリードマンより「マクドナルドの店舗がある国同士は戦争をしない」という学説が出されたほどである。この説はアメリカ合衆国のセルビア爆撃で破られた。また、マクドナルドではドナルド・マクドナルドというピエロの姿をしたキャラクターが使われている。詳細はマクドナルドを参照。

また該当国の国内通貨価値を知る上での経済指標として利用される事もあり、これはビッグマック指数と呼ばれる。

日本では、ハンバーガーチェーンが普及する以前から、アニメの「ポパイ」の登場人物としてウインピーという中年男がいつも食べているので知られていた。第二次世界大戦後に駐留した米軍を通じて、本格的に日本にハンバーガーが持ち込まれたとされている。連合国軍最高司令官総司令部に接収された三信ビルディング1948年秋に開店したレストラン「ニューワールドサービス」で提供されたほか、1950年代には佐世保米軍基地周辺で売りだされたと言い伝えられている。それら米軍と関係が深い狭い範囲では定番メニューとなっていた。ハンバーグそのものはマルシンハンバーグが1962年に冷蔵食品として売り出しており、ハンバーグステーキは1960年代から知られていたが、バンズに挟んだハンバーガーは銀座松屋の地下食堂で1966年頃にお目見えした程度であり、広く認知されたものとは言えなかった。1971年日本マクドナルドが銀座に1号店を開店し、そこから一気に一般化した。

日本

日本には各種の店舗があり、独特なハンバーガーを売り出したり、「ご当地バーガー」という地域おこしの為のご当地グルメも見られる。また、ハンバーガー専門店以外の飲食店、個人店の他に、ハンバーガーチェーン店も多い。

下記はハンバーガーチェーン一例である。

文献

アンドルー・F・スミス『ハンバーガーの歴史~世界中でなぜここまで愛されたのか?』(ブルース・インターアクションズ、2011年)ISBN 978-4-86020-417-4

関連項目

外部リンク