アマチュア無線の周波数帯
テンプレート:Pathnav テンプレート:Ambox アマチュア無線の周波数帯(アマチュアむせんのしゅうはすうたい)とは、アマチュア無線用に割り当てられた周波数帯。アマチュアバンドやハムバンドとも呼ばれる。
アマチュアバンドの割当てとその特徴
アマチュアバンドは、電波全体の中で広い周波数範囲に多数に分かれて割り当てられており、それぞれのバンドにおいて電波伝播の特徴が異なる。 それぞれのアマチュアバンドは、運用周波数の上限および下限が定められており、その周波数帯域の波長に対応したバンド名でも呼ばれる。 例えば、7MHz帯を40mバンド、50MHz帯を6mバンドと呼ぶ。
以下、総務省告示アマチュア局が動作することを許される周波数帯等に基づき、日本で利用できるアマチュアバンド(外国では5MHz帯、220MHz帯など日本ではアマチュア無線用には割り当てられていないバンドも存在する。)について、バンド毎に、電波伝播、告示アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別(後述するバンドプラン)による利用区分や実態などの特徴を説明する。
なお、第三級または第二級以上のアマチュア無線技士に許可されるバンドがあり、また、第四級アマチュア無線技士にはモールス電信が許可されない。これらは、政令 電波法施行令に規定されている。
- テンプレート:Color=第三級アマチュア無線技士以上に許可されるバンド。
- テンプレート:Color=第二級アマチュア無線技士以上に許可されるバンド。
周波数帯 (バンド=波長) |
利用可能周波数 (指定周波数) |
特徴 |
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135kHz帯 (2220m) |
135.7~137.8kHz (136.75kHz) |
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1.8/1.9MHz帯 (160m) |
1810~1825kHz, 1907.5~1912.5kHz (1910kHz) |
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3.5MHz帯 (80m) |
3500~3575kHz, 3599~3612kHz, 3680~3687kHz (3537.5kHz) |
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3.8MHz帯 (75m) |
3702~3716kHz, 3745~3777kHz, 3791~3805kHz</br>(3798kHz) |
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7MHz帯 (40m) |
7000~7200kHz (7100kHz) |
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10MHz帯 (30m) |
10100~10150kHz (10125kHz) |
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14MHz帯 (20m) |
14000~14350kHz (14175kHz) |
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18MHz帯 (17m) |
18068~18168kHz (18118kHz) |
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21MHz帯 (15m) |
21000~21450kHz (21225kHz) |
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24MHz帯 (12m) |
24890~24990kHz (24940kHz) |
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28MHz帯 (10m) |
28~29.7MHz (28.85MHz) |
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50MHz帯 (6m) |
50~54MHz (52MHz) |
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144MHz帯 (2m) |
144~146MHz (145MHz) |
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430MHz帯 (70cm) |
430~440MHz (435MHz) |
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1200MHz帯 (25cm) |
1260~1300MHz (1280MHz) |
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2400MHz帯以上 |
2400~2450MHz 5650~5850MHz 10~10.25GHz 10.45~10.5GHz 24~24.05GHz 47~47.2GHz 77.5~78GHz 134~136GHz 248~250GHz |
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4630kHz | 4630kHz (4630kHz) |
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日本におけるアマチュアバンドに関する法令と運用
電波は有限の資源であるため、ITUによる国際的な調整を経て、総務省は電波法に基づき業務毎に割当て可能な周波数を周波数割当計画として告示している。 この中からアマチュアバンドをとりまとめたものが、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」である。この告示では、原則としてバンドの中央周波数を指定周波数としている。
各バンドは、さらに細かく通信の方法ごとに使用する帯域(バンドプラン)が策定されている。
- これは、防衛用無線局、在日米軍の無線局以外の業務無線局と放送局は固定周波数であるのに対し、アマチュア局はアマチュアバンドという幅をもって割り当てられるため、任意の周波数、任意の電波型式で運用して混信その他の妨害を与えないよう予防するためである。
バンドプランは、1961年(昭和36年)に、日本アマチュア無線連盟が制定し、呼びかけられていた紳士協定だったが、1992年(平成4年)に、郵政省告示として法制化された。
アマチュア無線を運用するには、無線従事者免許証(又は相当する外国資格)および無線局免許状を取得しなければならない。
- これらについてはアマチュア無線技士およびアマチュア局の開局手続きを参照のこと。
無線局免許状には、使用を許可されたアマチュアバンドが指定周波数により表示される。 アマチュア局は、無線局免許状の指定事項およびバンドプランの使用区分を守り、運用しなければならない。
なお、実際の運用においては、無線局運用規則第257条により、「アマチュア局においては、その発射の占有する周波数帯幅に含まれているいかなるエネルギーの発射も、その局が動作することを許された周波数帯から逸脱してはならない。」と定められているため、特にバンドエッジ付近では、発射する電波の型式によってはアマチュア無線局が動作することを許される周波数帯から周波数成分がはみ出すため、エッジの周波数はセットしないなど、占有周波数帯幅を十分に考慮して使用する必要がある。 また、慣習に基づく周波数の使い分け(例:3.757MHzと7.195MHzはAM専用、7.000~7.005MHzや21.295MHzは日本国外との長距離通信「DX」専用、50.500~50.600MHz付近にAMは多い、非常事態発生時はメインチャンネル(バンドプランにおいてFMで連絡設定を行うことと指定されている周波数51MHz、145MHz、433MHz、1295MHz、2427MHz、5760MHz、10.24GHz)を努めて聴守するなど)がある。
日本における歴史
1900年(明治33年)電信法が施行された。
- 無線通信は逓信省令により電信法が準用された。
無線電信法
年 | できごと |
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1915年 (大正4年) |
無線電信法が制定された。
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1926年 (大正15年) |
6月にJARLが設立宣言を世界に打電したが、免許を得たものではなかった。 |
1927年 (昭和2年) |
第3回国際無線電信会議(ワシントン会議)で アマチュア無線の周波数が、1.715-2.0Mc(共用)、3.5-4.0Mc(共用)、7.0-7.3Mc、14.0-14.4Mc、28.0-30.0Mc、56.0-60.0Mcの6バンドが承認された。 |
1928年 (昭和3年) |
逓信省が素人(アマチュア無線家のこと)の私設無線施設に38m(7900kc)の指定を開始した。
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1929年 (昭和4年) |
1月1日ワシントン会議の諸規則が発効した。
9月12日逓信省通達第833号により素人を含む私設の無線施設には1775kc、3550kc、7100kc、14200kc、28400kHz、56800kcの6波の中から指定するものとされた。
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1934年 (昭和9年) |
8月12日に陸軍海軍逓信三省電波統制協定が制定され、私設無線施設に6波を指定することがそのまま取り入れられた。 |
1939年 (昭和14年) |
7月27日逓信省告示第2176号により私設無線施設は6波のみに制限された。 |
1941年 (昭和16年) |
12月8日の太平洋戦争開戦により私設無線施設の運用が禁止された。
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1949年 (昭和24年) |
5月31日に逓信省令第17号が公布され、私設無線電信電話規則が改正された。
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注「無線局」という用語は無線電信法令に規定されておらず、「私設無線電信電話実験局」は通称であった。
電波法
1950年(昭和25年)電波法が5月2日制定、6月1日施行された。
注 参考のため、アマチュアバンドに割り当てられた後に、競合するよう割り当てられた他業務の周波数についても記載する。
年 | 月日 | できごと |
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1950年 (昭和25年) |
6月30日 |
電波法施行規則および無線局運用規則が電波監理委員会規則第3号および第7号として制定された。
(電波法施行規則および無線局運用規則は11月30日に電波監理委員会規則第11号および第17号となった。) |
1952年 (昭和27年) |
3月11日 | |
7月29日 |
20 局に予備免許が与えられた。この時点でアマチュア無線用に割り当てられた周波数は以下のものである。[4]
アマチュア無線が正式に再開された日でもあり、JARL は1973年に、アマチュア無線の日と制定した。 | |
8月27日 |
以下の 5 局に本免許が与えられた。[4]
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1953年 (昭和28年) |
5月13日 |
郵政省電波監理局から地方電波監理局に、通達郵波陸第1463号が通達された。
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1954年 (昭和29年) |
12月3日 |
郵政省電波監理局から地方電波監理局に、通達郵波陸第2783号が通達された。
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12月28日 |
郵政省令第45号が制定され、電波法施行規則および無線局運用規則が一部改正され公布された。
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1955年 (昭和30年) |
1月1日 |
一部改正された無線局運用規則が施行された。
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1月29日 |
郵政省令第3号が制定され、郵政省令「無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準」が一部改正され公布された。 | |
2月1日 |
一部改正された「無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準」が施行された。
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3月4日 |
「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が郵政省告示第249号として制定され、2月1日にさかのぼって適用された。このとき割り当てられたのは次のバンド(指定周波数)である。
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1957年 (昭和32年) |
12月20日 |
郵政省告示第1171号が告示された。
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1960年 (昭和35年) |
2月12日 |
郵政省告示第85号が告示され、拡張された7000~7150kcの割当てが12月31日までとされた。 |
6月30日 |
郵政省告示第482号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
| |
7月30日 |
435Mcが割り当てられた。
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1961年 (昭和36年) |
1月11日 |
郵政省告示第29号が告示され、拡張された7000~7150kcの割当てが4月30日までとされた。 |
3月6日 |
JARLがバンドプランを制定した。7000~7030kcが電信用、7030~7150kcが電信・電話用とされた。[4] | |
4月30日 |
1957年12月17日に始まった7Mc帯の拡張はこの日で終了し、翌日から 7000~7100kcの割当てに戻った。 | |
10月19日 |
「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が全面改正され郵政省告示第712号として制定され、7月1日にさかのぼって適用された。このとき割り当てられたのは次のバンド(指定周波数)である。
これにより、
また、
とされた。 | |
1964年 (昭和39年) |
1月16日 |
郵政省告示第12号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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4月4日 |
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1965年 (昭和40年) |
12月31日 |
1880kcの割当てが終了した。 |
1966年 (昭和41年) |
6月15日 |
郵政省告示第492号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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1971年 (昭和46年) |
9月1日 |
JARLがV・UHF帯使用区分(チャンネルプラン)を制定した。 |
1972年 (昭和47年) |
7月1日 |
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1973年 (昭和48年) |
1月11日 |
郵政省告示第11号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正され、1月1日にさかのぼって適用された。
また、
とされた。 |
1975年 (昭和50年) |
1月29日 |
郵政省告示第61号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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1976年 (昭和51年) |
1月19日 |
郵政省告示第31号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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1979年 (昭和54年) |
3月12日 |
郵政省告示第138号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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1982年 (昭和57年) |
3月29日 |
郵政省告示第227号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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4月1日 |
一部改正された「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が施行された。 | |
4月22日 |
「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が全面改正され郵政省告示第280号として制定された。このとき割り当てられたのは次のバンド(指定周波数)である。
これにより、 1200MHz帯が1215~1300MHzから1260~1300MHzに削減されることとなった。 2400MHz帯が2300~2450MHzから2400~2450MHzに削減されることとなった。 10GHz帯が10~10.5GHzから10.1GHz帯(10~10.25GHz)と10.4GHz帯(10.45~10.5GHz)に分割、削減されることとなった。 24.1GHz帯が削除された。 47GHz帯(47~47.2GHz)、75GHz帯(75.5~76GHz)、142GHz帯(142~144GHz)、250GHz帯(248~250GHz)が割り当てられた。 1200MHz帯(一部)、2400MHz帯(一部)、5600MHz帯(一部)、10.4GHz帯、47GHz帯、75GHz帯、142GHz帯、250GHz帯に宇宙無線業務が許可された。 また、 3.8MHz帯が3802~3900kHzの受信に妨害を与えないこととすることが削除された。 10MHz帯、430MHz帯、1200MHz帯、2400MHz帯、5600MHz帯、10.1GHz帯、10.4GHz帯は他の業務に混信を与えないこと(二次業務) 2400MHz帯、5600MHz帯(一部)、24GHz帯はISMバンドからの混信を容認しなければならないこと とされた。 | |
5月1日 |
郵政省告示第280号「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が施行された。
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1986年 (昭和61年) |
12月22日 |
郵政省告示第993号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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12月28日 |
一部改正された「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が施行された。
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1987年 (昭和62年) |
5月1日 |
1200MHz帯が1260~1300MHzに削減された。 2400MHz帯が2400~2450MHzに削減された。 10GHz帯が10~10.25GHzと10.45~10.5GHzに分割、削減された。 |
1989年 (平成元年) |
6月2日 |
郵政省告示第362号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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7月1日 |
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1992年 (平成4年) |
5月14日 |
「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が郵政省告示第316号として制定され、バンドプランが法制化された。
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7月1日 |
「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が施行された。 | |
1994年 (平成6年) |
5月20日 |
郵政省告示第290号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
郵政省告示第291号が告示され、「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が一部改正された。
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1996年 (平成8年) |
12月27日 |
「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が全面改正され、郵政省告示第664号として制定された。
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1997年 (平成9年) |
4月1日 |
平成8年郵政省告示第664号「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が施行された。 |
2000年 (平成12年) |
3月29日 |
郵政省告示第189号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
郵政省告示第190号が告示され、「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が一部改正された。
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4月1日 |
一部改正された「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」および「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が施行された。 | |
10月20日 |
郵政省告示第746号「周波数割当計画」が制定された。 | |
11月30日 |
郵政省告示第746号「周波数割当計画」が施行された。 | |
2001年 (平成13年) |
12月18日 |
総務省告示第756号が告示され、「アマチュア局に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が一部改正され、施行された。
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12月19日 |
総務省告示第759号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
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2002年 (平成14年) |
1月1日 |
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2003年 (平成15年) |
8月11日 |
総務省告示第506号が告示され、「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が一部改正された。
「アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が全面改正され総務省告示第508号として制定された。
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2004年 (平成16年) |
1月13日 |
一部改正された「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が施行された。 平成15年総務省告示第508号「アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」が施行された。 |
2006年 (平成18年) |
12月20日 | 総務省告示第654号が告示され、「周波数割当計画」が一部改正施行された。[5]
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12月31日 |
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2007年 (平成19年) |
8月22日 | 総務省告示第482号が告示され、「周波数割当計画」が一部改正施行された。[6]
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2008年 (平成20年) |
4月28日 |
総務省告示第259号、第260号および第261号が告示され、
これらにより
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2009年 (平成21年) |
3月17日 |
「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が全面改正され総務省告示第126号として制定された。
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3月25日 |
「アマチュア業務に使用する電波の型式及び使用区分」が全面改正され総務省告示第179号として制定された。
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3月30日 |
総務省告示第126号「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」が施行された。 総務省告示第179号「アマチュア業務に使用する電波の型式及び使用区分」が施行された。
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2010年 (平成22年) |
9月11日 | 準天頂衛星システムみちびきが打ち上げられた。
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2012年 (平成24年) |
4月17日 | 総務省告示第172号が告示され、「周波数割当計画」が一部改正施行された。[7]
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脚注
関連項目
外部リンク
- アマチュアバンド使用区分 日本アマチュア無線連盟
- 我が国の電波の使用状況 総務省電波利用ホームページ
- Band Plan アメリカ合衆国のアマチュアバンドプラン American Radio Relay League