M24 SWS
テンプレート:Infobox M24 SWS(Sniper Weapon System)は、レミントン・アームズ社製のボルトアクション狙撃銃である。アメリカ陸軍をはじめ、世界中の軍や警察で採用されている。
目次
概要
M24は、スポーツ射撃用M700ライフル(レミントン・モデル700)ロングアクション(300Win Magの使用を想定したため)を基にHSプレシジョン製の銃床、リューポルド社製の光学照準器を装備し、アルミ製だったトリガーガードをダコタ・アームズ社タイプのスチール製に交換するなどの変更が加えられている。
レシーバー側面と銃身先端上面にはレッドフィールド製競技用照準器(ピープサイト)用のベースが取り付けられている。
初期モデル標準のスコープはリューポルド社のウルトラM3 10×40mm(10倍率固定、レンズ直径40mm)、ウルトラM3A 10×40mm。自衛隊仕様のM24ではリューポルドMark4 M3。M24A2からは照準線の発光するイルミネート・レティクル機能を備えたMk.4 LR/T M3 3.5-10×40mm(3.5倍から10倍の間で調節、レンズ直径40mm)が採用され、M24もこれに倣った。M24A3はより長距離に対応させるため、高倍率かつ細かいスコープの調整が可能なイルミネート機能つきMark4 LR/T M1 8.5-25×50mmを使用する。 バイポッドはハリス製BRM-S伸縮式バイポッド。
パラシュートでの投下に耐えられる輸送用のペリカン製大型ハードケースで支給され、銃単体ではなく、これら附属装備品を含めてM24 SWS(Sniper Wepon System)と呼ばれる。
イラク戦争においてM24などのボルトアクション式ライフルは、待ち伏せへの反撃や対戦車ミサイル射手の排除に効果を発揮したが、連続的な射撃による牽制などが行えない点が市街戦に向かないとされた。
アメリカ陸軍はM24の後継としてナイツアーマメント社が提示したSR-M110 SASSをM110 SASS(セミ・オートマチック・スナイパー・システム)の名称で制式採用している。しかし米陸軍は結局、M110採用後もM24 SWSを継続して購入、使用しつづけており、レミントン製M24A2やM24E1 ESRへのアップグレードも行っている(2010年にM24E1 ESRを「XM2010」の名称でテストを開始、新しい制式ボルトアクション狙撃銃として採用)。
従来のような狙撃に関してはM24/M24A2からM110に変更、M110では対応できない長距離精密狙撃用にはM24E1 ESR(口径.300Win Mag)、M24A3やMSR(口径.338Lapua Mag)を使用するという位置付けで運用されるようだ。 テンプレート:-
バリエーション
- M24
- 基本型。アメリカ陸軍の狙撃手が現在も使用している他、日本の陸上自衛隊でも採用されている。銃床はH-SプレシジョンのPST-011。狙撃用としては標準的な308ウィンチェスター弾が5発装填できるインナーボックスマガジンを備える。
- 後のA2やA3に対して、装備しているのはピカティニー規格でない20mmマウントレールであるため、20mm規格のオプティカル・サイトなら何でも搭載できるというわけではない。
- XM24A1
- .308ウィンチェスターよりも弾道特性に優れた.300ウィンチェスター・マグナムを使用する試作モデル。試験時にミスファイアを連発したことで不採用となった。
- M24A2
- 改良型。アメリカ陸軍でM24と併用されている。使用弾薬は同じく.308ウィンチェスターだが、インナーボックスマガジンから10発装填のデタッチャブルボックスマガジンに変更、ストックもバットプレート近辺の全長とチークピースの全高を調節可能でバーチカルタイプのグリップを持つH-SプレシジョンPST-026アジャスタブル・ストックに換装している。
- マウントレールはMARS(Modular Accessory Rail System)と呼ばれる一体成型のもので、従来のエジェクションポート上に置かれるレールを20mmピカティニー規格に変更しただけでなく、その前方に一箇所、左右に一箇所ずつ、合計三ヶ所のレールが増設された。後にバレルも、半ばまでを覆うOPS社のサプレッサーを備えたものに交換されていった。
- M24A3
- M24A2をベースに、A-2と同じH-Sプレシジョン製PST-026アジャスタブル・ストック、またはイギリスのAWライフルと同形状のA.I.C.S.ストックを搭載し、.300ウィンチェスター・マグナムよりも更に長距離を狙撃可能な.338ラプア・マグナム弾を使用する。.308ウィンチェスター仕様の24インチバレルよりも更に長い、29インチのヘビー・バレルを搭載し、M24A2同様、MARSやOPSサプレッサーを装備する。
- M24E1 ESR(XM2010)
- M24 SWSをベースに、使用弾を7.62mm NATO弾から.300ウィンチェスターマグナムとし、ストック/シャーシをレミントン社のMSRと同様のものに交換したもの。アメリカ陸軍が2010年制式採用。今後、既存のM24 SWSはM24E1 ESRと同仕様にアップグレードされる予定とのことである。レミントン社からMSRとして発表されているものとは別物。MSRは、7.62mmNATO弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、.338ラプア・マグナム弾等に対応し、数分の作業で各種銃身と口径の変換が可能な様に新設計のレシーバーと機関部を採用しているが、24ME1 ESRはM24 SWSのレシーバーと機関部にMSRと同様のストックとシャーシを組み合わせている。
陸上自衛隊での配備
日本の陸上自衛隊では64式7.62mm小銃に照準眼鏡(スコープ)を取り付けて狙撃銃として使用してきたが、本格的な狙撃専用銃に比べて有効射程や命中精度などが劣ることや、64式小銃が89式小銃に更新され減数となっていることから、狙撃専用銃器としてM24を対人狙撃銃の名称で導入した。調達価格は約61万円である。
調達は2002年度(平成14年度)から全て対外有償軍事援助(FMS)により行われている。照準眼鏡はMk.4 LR/T M3と夜間用(機種不明)[1]の2種類。
予算計上年度 | 調達数 | 予算計上年度 | 調達数 | 予算計上年度 | 調達数 |
---|---|---|---|---|---|
2002年(平成14年)度 | 64丁 | 2008年(平成20年)度 | 111丁 | 2014年(平成26年)度 | 50丁 |
2003年(平成15年)度 | 62丁 | 2009年(平成21年)度 | 159丁 | ||
2004年(平成16年)度 | 72丁 | 2010年(平成22年)度 | 105丁 | ||
2005年(平成17年)度 | 157丁 | 2011年(平成23年)度 | 91丁 | ||
2006年(平成18年)度 | 164丁 | 2012年(平成24年)度 | 49丁 | ||
2007年(平成19年)度 | 133丁 | 2013年(平成25年)度 | 75丁 | 合計 | 1,292丁 |
陸上自衛隊の狙撃手は、全国の普通科連隊に創設された狙撃班(定員6名)に配属されており、単独もしくは観測手(スポッター)と2人1組での行動が基本となっている。狙撃手、観測手ともに、ギリースーツを含む隠密行動用戦闘装着セットが支給されており、森林など偽装が必要な場所で活動する際はこれを着用する。特殊作戦群や中央即応連隊では迷彩塗装を施して使用されている[5][6]。
富士総合火力演習には2008年度から登場しており、2009年度の展示では500m先を走行中と想定した模擬車両の窓にある標的を狙撃した。
採用国
- テンプレート:Flagicon ハンガリー
- テンプレート:Flagicon メキシコ
- テンプレート:Flagicon イスラエル
- テンプレート:Flagicon 日本
- テンプレート:ROC-TW
- テンプレート:Flagicon レバノン
- テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
登場作品
映画
ドラマ
ゲーム
- ゲーム内兵科「スナイパー」の初期支給武器として登場。カスタムすることにより性能を上げることも可能。
- ショップにて販売。
- 『WarRock』
- 偵察兵の基本装備として登場。
- 課金アイテムとして販売。移動速度が速い。
- 偵察兵のスナイパーライフルとして登場。デザインはM24だが、着脱式弾倉を備える。
アニメ
- 『図書館戦争』
- 小田原攻防戦、茨城攻防戦で進藤、手塚など、図書隊の狙撃手が使用。
- 『名探偵コナン』
- 黒の組織のメンバーのコルンが使用している。
- 『ヨルムンガンド』
- ヒロイン・ココの私兵レームが作中で使用。
小説
- 犯人が嘉手納の米軍基地から盗み出して使用。首都高速道路上での殺人などに使用した。
- 『ブラックブレット』
- 主人公の里見蓮太郎が、原作六巻において一時的に使用した。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
- Remington Defense - Sniper Rifles - M24 - レミントン(ミリタリー)の公式サイト
- Remington Law Enforcement - Rifles - M24 Sniper Weapon System - レミントン(ローエンフォースメント)の公式サイト
- ↑ 自衛隊装備年鑑2008-2009
- ↑ JapanDefense.com
- ↑ 防衛白書の検索
- ↑ 防衛省 予算などの概要
- ↑ ARMY 第47号
- ↑ SATマガジン2010年9月号