GP2
テンプレート:Infobox motorsport championship
GP2・シリーズ(ジーピーツー・シリーズ、テンプレート:Lang-en)又はGP2は、2005年よりスタートしたモータースポーツの1カテゴリー。2004年までの国際F3000選手権が衣替えして新しくスタートしたフォーミュラカーによる選手権である。
目次
概要
基本的にF1のヨーロッパラウンドのサポートレースとして開催されるが、2006年・2007年はバレンシア(スペイン)で単独開催された。また、2006年は当初スケジュールに組み込まれていた最終戦のスパ・フランコルシャンがF1と同様キャンセルされた。
レースは1週末毎に2回行われ、2レース目(レース2)の1位から8位までのスタート順は1レース目(レース1)の結果の逆順(リバースグリッド)となる。つまりレース1の優勝者は、レース2では8位からスタートする。ただし、2007年までのモナコではレース1のみが行われレース2は行われなかった。
ポイントはレース1がポールポジション(PP)に2点、ファステストラップ(FL)に1点、チェッカー順に上位8名に10、8、6、5、4、3、2、1点が与えられる。 レース2はFLに1点、チェッカー順に上位6名に6、5、4、3、2、1点が与えられる。
シリーズ開始後しばらくは、従来の国際F3000選手権に比べてF1の感覚に近いマシンを使用しているため、シリーズチャンピオンをはじめ出身ドライバーがF1でも高い結果を残したこともあり、より一層F1昇格への登竜門として注目された。
しかし、2008年及び2010年以降は4シーズン以上もGP2に参戦したドライバーがチャンピオンを獲得しており、また2012年以降のチャンピオンドライバーがF1ドライバーになれていないなど、ステップアップカテゴリとしては停滞気味である。このような状況もあってか、F1チームの育成ドライバーがGP2ではなくフォーミュラ・ルノー3.5に参戦することも多くなってきており、シリーズの価値や注目度が下がってきている。[1]
詳細
イタリアのダラーラ社製グラウンド・エフェクト構造のシャシーに、ルノーが設計しメカクロームが製作する4リッターV8エンジン(約650ps、重量150kg、4000〜4500km毎にオーバーホール)を搭載したワンメイク。エンジンチューナーはルノー傘下のハイニ・マーダー。エンジンの重量がフォーミュラ向けにしては重いのは、参戦コスト抑制の為に元々耐久レース向けに開発されたものを転用している所為である。最低重量は2011年現在は688kg(ドライバーの体重を含む)[2]と、こちらもフォーミュラカーとしてはやや重め。
シャシーは原則として3年毎に新設計のものが供給される。2005年のGP2のスタート時に用いられた「GP2/05」は2007年まで使用され、その後GP2アジアシリーズに流用された。2008年~2010年までは第2世代となる「GP2/08」が使われ、2011年から第3世代となる「GP2/11」がデビューした。なおGP2/11はメインシリーズ以外にアジアシリーズでも同時に使われることになっており、2011年のアジアシリーズ開幕戦が実戦デビューとなった。ただ近年の欧州の景気低迷のため、2014年のシャシー更新は断念され、GP2/11が2016年まで継続使用される[3]。
ギアシフト機構はF1と同様にパドルシフト(ザイテック製)を採用している。ブレーキもF1同様にカーボンディスク(ブレンボのワンメイク)を使用していて、限りなくF1に近い車になっている。
タイヤはワンメイクで、2010年まではブリヂストン、2011年からはピレリが供給している。2005年シーズンは当時のF1と同等のグルーブドタイヤ(溝付きタイヤ)を使用したが、2006年からはスリックタイヤへ変更された。エンジンには回転リミッターによる性能抑制がされており、その設定は2006年からは、9,500rpmから10,300rpmに変更された。
シャシー性能はグランドエフェクトカー構造である事により、前車への接近が容易である為、追い抜きのチャンスが極めて多い等、フォーミュラカー設計のお手本とも言える高い評価を得ている。
問題点
- メカクロームが供給するエンジンの性能にはかなりのばらつきがあったり、エンジン交換やオーバーホールのサイクルが主催者の裁量で決定されるなど各チームから不満が噴出している。
- フロントノーズの取り付け構造が複雑であるため、破損時の交換がF1など他のカテゴリーと比べて煩雑である。
- エンジンの熱量が大きく、アイドリング中などに内部温度の上昇に伴うシステム保護のためのシャットダウン制御が働き、エンジンストールに見舞われるケースが多発している。
- 駆動系(特にクラッチ)のトラブルが比較的多く、4Lエンジンの大トルクを受け止める機構としてはロースペックであると当初から指摘されており、ダラーラから数回に渡り改修部品の供給が行われている。
フロントノーズの構造については2008年スペックより改善された。また、同時に冷却性能の向上も図られたものの、エンジン自体がキャリーオーバーであるためエンジンストールの問題は根本的な解決には至っていない。
シリーズチャンピオン
年 | シリーズチャンピオン | 国籍 | 所属チーム |
---|---|---|---|
2005 | ニコ・ロズベルグ | テンプレート:GER | ARTグランプリ |
2006 | ルイス・ハミルトン | テンプレート:UK | ARTグランプリ |
2007 | ティモ・グロック | テンプレート:GER | iスポーツ・インターナショナル |
2008 | ジョルジオ・パンターノ | テンプレート:Flagicon イタリア | レーシング・エンジニアリング |
2009 | ニコ・ヒュルケンベルグ | テンプレート:GER | ARTグランプリ |
2010 | パストール・マルドナド | テンプレート:Flagicon ベネズエラ | ラパックス |
2011 | ロマン・グロージャン | テンプレート:Flagicon フランス | DAMS |
2012 | ダヴィデ・ヴァルセッチ | テンプレート:Flagicon イタリア | DAMS |
2013 | ファビオ・ライマー | テンプレート:Flagicon スイス | レーシング・エンジニアリング |
年 | シリーズチャンピオン | 国籍 |
---|---|---|
2005 | ARTグランプリ | テンプレート:Flagicon フランス |
2006 | ARTグランプリ | テンプレート:Flagicon フランス |
2007 | iスポーツ・インターナショナル | テンプレート:UK |
2008 | バルワ・インターナショナル・カンポスチーム | テンプレート:SPA |
2009 | ARTグランプリ | テンプレート:Flagicon フランス |
2010 | ラパックス | テンプレート:Flagicon イタリア |
2011 | バルワ・アダックスチーム | テンプレート:SPA |
2012 | DAMS | テンプレート:Flagicon フランス |
2013 | ロシアン・タイム | テンプレート:Flagicon ロシア |
主なシリーズ参戦ドライバー
ドライバー | 参戦年 | 主な成績 | F1参戦歴 |
---|---|---|---|
ニコ・ロズベルグ | 2005 | 2005年シリーズチャンピオン | 2006- |
スコット・スピード | 2005 | 2005年シリーズ3位 | 2006-2007 |
ヘイキ・コバライネン | 2005 | 2005年シリーズ2位 | 2007- |
ルイス・ハミルトン | 2006 | 2006年シリーズチャンピオン | 2007- |
ティモ・グロック | 2006-2007 | 2006年シリーズ4位、2007年チャンピオン | 2004,2008- |
ジョルジオ・パンターノ | 2005-2008 | 2005年シリーズ6位、2006年5位、2007年3位、2008年チャンピオン | 2004 |
ジャンマリア・ブルーニ | 2005-2006 | 2005年シリーズ10位、2006年7位 | 2004 |
アントニオ・ピッツォニア | 2007 | 2007年シリーズ26位 | 2003-2005 |
ニール・ジャニ | 2005-2006 | 2005年シリーズ7位、2006年25位 | (2006 レッドブルテストドライバー) |
ネルソン・ピケJr. | 2005-2006 | 2005年シリーズ8位、2006年2位 | 2008-2009 |
E.J.ヴィソ | 2005-2007 | 2005年シリーズ11位、2006年6位、2007年29位 | (2006 ミッドランドテストドライバー) |
ミハエル・アメルミューラー | 2006-2007 | 2006年シリーズ11位、2007年27位 | (2006-2007 レッドブルテストドライバー) |
中嶋一貴 | 2007 | 2007年シリーズ5位 | 2007-2009 |
セバスチャン・ブエミ | 2007-2008 | 2007年シリーズ21位、2008年6位 | 2009- |
ロマン・グロージャン | 2008-2011 | 2008年シリーズ4位、2009年4位(12レースのみ参戦)、2010年14位(8レースのみ参戦)、2011年チャンピオン | 2009, 2012- |
小林可夢偉 | 2008-2009 | 2008年シリーズ16位、2009年16位 | 2009- |
山本左近 | 2007-2008 | 2007年シリーズ30位、2008年23位 | 2006-2007,2010 |
ニコ・ヒュルケンベルグ | 2009 | 2009年シリーズチャンピオン | 2010, 2012- |
ヴィタリー・ペトロフ | 2006-2009 | 2006年シリーズ29位、2007年13位、2008年7位、2009年2位 | 2010- |
ブルーノ・セナ | 2007-2008 | 2007年シリーズ8位、2008年2位 | 2010- |
ルーカス・ディ・グラッシ | 2006-2009 | 2006年シリーズ17位、2007年2位、2008年3位、2009年3位 | 2010 |
カルン・チャンドック | 2007-2009 | 2007年シリーズ15位、2008年10位、2009年15位 | 2010- |
ファイルーズ・ファウジー | 2005-2006 | 2005年シリーズ24位、2006年24位 | (2010 ロータステストドライバー) |
アンディ・ソウセック | 2007-2008 | 2007年シリーズ16位、2008年14位 | (2010 ヴァージンテストドライバー) |
ルイス・ラジア | 2009- | 2009年シリーズ19位 | (2010 ヴァージンテストドライバー) |
主なシリーズ参戦日本人ドライバー
ドライバー | 参戦年 | 所属チーム | 主な成績 |
---|---|---|---|
吉本大樹 | 2005-2006、2008(アジアシリーズのみ) 2008-2009アジアシリーズ |
BCNコンペティション、Qi-メリタスマハラ | 2005年シリーズ16位(最高位2位) 2006年シリーズ15位(最高位3位) 2008年アジアシリーズ10位(最上位4位) |
中嶋一貴 | 2007 | DAMS | シリーズ5位(最上位2位) |
平手晃平 | 2007 | トライデント・レーシング | シリーズ19位(最上位2位) |
山本左近 | 2007-2008 | BCNコンペティション、ARTグランプリ | 2008年シリーズ23位 |
小林可夢偉 | 2008-2009 | DAMS | 2008-2009年アジアシリーズチャンピオン、第1戦スペイン・レース2優勝 |
関口雄飛 | 2008-2009アジアシリーズ | DPR | アジアシリーズ20位(最上位12位) |
日本におけるテレビ放送
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:モータースポーツ- ↑ テンプレート:Citenews
- ↑ The car and engine - GP2
- ↑ GP2、コスト削減のために新シャシー導入を断念 - F1-gate.com・2013年6月18日