A-6 (航空機)

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テンプレート:Infobox 航空機 A-6 (愛称 Intruder イントルーダー) はアメリカ海軍海兵隊1963年から1997年までの34年間運用した艦上攻撃機である。ベトナム戦争湾岸戦争をはじめとする、就役期間中に発生したアメリカ海軍の艦上機が何らかの形で関わったほとんどの戦争紛争に参加した。

派生型のEA-6B プラウラー電子戦機は2010年現在も運用中である。

概要

爆弾などの対地攻撃兵器を大量に搭載し、全天候下で精密攻撃を行う攻撃機として開発された。大型のレドームに合わせ並列複座としたために機体前部が丸く大きくなっている。

主翼は中翼配置で折り畳み機構を備える。2基のターボジェットエンジンを胴体下部に搭載している。

開発経緯

アメリカ海軍は1957年3月にアメリカ国内の航空機メーカーに対して、朝鮮戦争における艦上機の運用実績評価から構想した、全天候下での低空侵攻能力と精密攻撃能力を持つ機体の開発提案依頼を行った。

1958年5月に提案の中からグラマン社(現ノースロップ・グラマン社)が提案したG-128案を採用しA2F-1の名称で開発契約を締結した。その後1959年3月に8機の試作機製造契約を結び、1960年4月19日に試作初号機が初飛行している。

なお、開発段階においては優れたSTOL性能を求めて排気ノズルを23度下向きにできる機構の搭載も予定されていたが、運用試験において廃止されているため量産型はノズル偏向はできない。

運用

1963年2月より初期型のA-6Aを実戦部隊で配備した。1965年3月よりベトナム戦争に参加している。本機は全天候運用・精密攻撃のために複雑な電子機器を搭載していたが、実戦環境での搭載機器の稼働率が低く、また夜間に移動する車輌を捕捉するまでの索敵能力には至っていなかった。

しかし1966年の年末の気象条件の問題の中、唯一作戦行動可能な艦上機であったことを海軍は評価してA-6Eまで改良が進められた。

1996年に行われた環太平洋合同演習に参加していた厚木基地に展開中の第115攻撃飛行隊 (VA-115)[1]所属のNF500 (CAG) が標的曳航中に海上自衛隊あさぎり型護衛艦ゆうぎり」の高性能20mm機関砲によって撃墜される事故が起こった。

1997年に退役。

バリエーション

テンプレート:Multiple image

A-6A (A2F)
初期生産型。
A-6B
A-6Aを改修した防空制圧 (Iron Hand) 型。対レーダーミサイルを搭載可能。1967年より部隊配備。A-6Aより19機改造。
A-6C
A-6Aを改修し赤外線センサーと光学式カメラを搭載した型。1970年より部隊配備。ホーチミン・ルートへの攻撃に投入されたが大きな戦果を挙げることはなかった。1972年に一部の機体が誘導爆弾用のレーザー照射機に改修された。A-6Aより12機改造。
A-6E
A-6Aの改良型。電子装置を更新している。新造機と在来型の改修機が存在する。新造機生産途中から機首下部にTRAMと呼ばれる目標探知攻撃複合センサーが装備された。
A-6E SWIP
A-6Eの近代化改修型。AGM-65及びAGM-84AGM-88の運用能力を追加した。
A-6E SWIP/コンポジット
上記改修と平行してボーイング社で製造した複合材料製の主翼に交換した機体。
A-6E SWIP ブロック1A
上記改修に加え航法機器を新型に換装。
A-6F
A-6Eの改良型。電子機器の更新とF404-GE-400Dエンジンへの換装を行い1987年8月26日に初号機が初飛行。A-6の更新用に開発されていたA-12アベンジャーIIと同様に調達予算を組めずに開発を中止された。
A-6G
A-6Eの改良型。電子機器のみの更新だが計画だけで終わった。
KA-6D
A-6Aを改修した空中給油機。電子装置を降ろしてタンク容量を拡大しており攻撃能力はない。1968年開発開始、1970年初飛行。
EA-6A (A2F-1Q)
A-6Aを改修した電子戦機
EA-6Bプラウラー
EA-6Aのコクピットを大型化して乗員数を増やした電子戦機。
機体の耐用年限を迎えるために2009年時点で海軍保有の機体の更改はEA-18G グラウラー(複座のF/A-18F スーパーホーネットベースの電子戦機)、海兵隊の保有機体はF-35C ライトニング IIの電子戦型、海軍、海兵隊、空軍の三軍統合運用部隊の運用機体はB-52の改修型を予定している。

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仕様 (A-6E)

テンプレート:航空機スペック

武装

  • 武装:5箇所のハードポイントへ均一に8,170 kg (18,000 lb)

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A-6が登場する作品

小説
ベトナム戦争を舞台とした、A-6のパイロットたちの戦闘と友情を描いた小説。著者は、ベトナム戦争時に実際にA-6の搭乗員であったスティーブン・クーンツ
映画
原子力空母ニミッツ」が1941年にタイムスリップするという設定の映画。当時現役で使用されていた攻撃機として登場。KA-6Dの発艦・F-14への空中給油等貴重なシーンがある。
上記『デビル500応答せず』の映画化作品。監督: ジョン・ミリアス
なお、上記の2作品の原題は、いずれも "Flight of The Intruder" である。
世界的に有名な戦闘機映画。トム・クルーズの出世作。映画内での判別はやや難しいが、給油用のノズルによってその判別ができる。
漫画
後半部に登場。
両津勘吉率いるアマチュアサッカーチームと、ジョディー率いるアマチュアサッカーチームが、お互いに優勝カップとこの攻撃機を賭けて試合をする。
ゲーム
日本を占拠したアメリカ海軍の機体として登場。プレイヤーも購入して使用できる。
バンダイナムコゲームズのフライトシューティングゲーム。プレイヤーの搭乗機として選択可能。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. その後VA-115は本国へ帰還し他のA-6を運用していた飛行隊同様に攻撃飛行隊 (VA) から戦闘攻撃飛行隊 (VFA) となりF/A-18Cへ機種転換、現在テンプレート:いつではF/A-18Eを運用している。

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:アメリカ海軍の爆撃機 テンプレート:アメリカ軍の固定翼機 (呼称統一以降)