黒茶
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黒茶(こくちゃ、くろちゃ)は、中国茶のうち、麹菌により数ヶ月以上発酵させる後発酵製法により作られる茶をいう。
概要
一般に茶(中国茶)は製法の違いにより青茶・緑茶・白茶・黄茶・黒茶・紅茶の6種類に分類される[1]。この内、黒茶と紅茶が発酵茶であるが、紅茶とは発酵方法が異なる。
普洱茶(雲南省)が黒茶の中でも有名。他に、六堡茶(広西省)、唐磚茶(四川省)、茯茶(湖南省)などがある。
タイ、ミャンマーでは同様の製造方法を経た茶をラペソーと称し[2]、食用にしている。
なお、日本でもわずかではあるが黒茶は製造されており、四国が主な生産地である。高知県では「碁石茶」と呼ばれる物が作られており[2]、これは文字通りに碁石状の形をしている。ただし、地元ではほとんど飲まれず、瀬戸内海の島々で作られる茶粥の材料として出荷される。希少品であり、予約生産にほぼ限られている。これは、18世紀から土佐藩の参勤交代の道が北山道に変更されたことで、土佐の大名行列が伊予の国を通ることになり、それによって碁石茶を知った伊予仁尾の商人が販売権を買って、瀬戸内海辺りに仁尾茶の名前で売りだしたことによる[3]。
製造工程
黒茶は、次の製造工程を踏まえ生産される。
- 殺青 茶葉を加熱する。茶葉に含まれる酵素の働きを止め、酸化を抑制する。
- 初揉 揉捻。茶葉を揉む。茶葉の組織細胞を壊し、茶の成分浸出を良くする。
- 堆積 茶葉を積み重ね、発酵させる。黒茶の風味を引き出す。
- 復揉 揉捻。茶葉を再び揉む。
- 乾燥 乾燥させる。保存性を高め、香りを良くする。
消費地
産地周辺で消費される以外に、雲南省のプーアル茶は香港やマカオで好まれ、以前から出荷されているほか、近年は韓国などの外国でも近年消費が伸びている。湖南省の茯茶は、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、甘粛省などの少数民族がビタミン補給のための生活必需品として消費されているが、近年は日本にも輸入されるようになっている。
茶葉の形状
テンプレート:Main 大きく分けて、茶葉そのままの形状である散茶と、茶葉を発酵させる前に圧縮して固めてある緊圧茶の2種類がある。
脚注
参考文献
関連項目
テンプレート:茶en:Fermented tea- ↑ 小柳, 田村 (2007) p.291
- ↑ 2.0 2.1 加藤 (1996) p.45
- ↑ 参勤交代と日本の文化コンスタンティン・ノミコス・ヴァポリス(メリーランド大学準教授)日文研フォーラム、第169回pp.1 - 29 , 2004-10 , 国際日本文化研究センター