鹿島郡 (茨城県)
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鹿島郡(かしまぐん)は、茨城県(常陸国)にあった郡。行方郡とあわせて鹿行(ろっこう)と総称された。
郡域
1878年(明治11年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。
歴史
大化5年(649年)に下海上国造の領域の一里と仲国造の領域の五里を割いて、鹿島神宮の神郡として建郡されたとされる。
近代以降の沿革
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。●は村内に寺社領が、○は寺社除地[1]が存在。幕府領は小川達太郎支配所・安藤伝蔵支配所・大竹左馬太郎支配所・林金五郎支配所が管轄。(127村)
知行 | 村数 | 村名 | |
---|---|---|---|
幕府領 | 幕府領(小川) | 9村 | 荒地村、田谷沼新田、爪木村、深芝村、柳川新田、須田新田、知手村、竪内新田、奥野谷村 |
幕府領(安藤) | 8村 | 鹿田村、田崎村、造谷村、●○上釜村、沢尻村、○下太田村、○網掛村、上太田村 | |
幕府領(安藤・大竹) | 1村 | ●宮ヶ崎村 | |
幕府領(小川)・旗本領 | 4村 | 徳宿村、二重作村、山野上村、沼尾村 | |
幕府領(林)・旗本領 | 1村 | 須賀村 | |
旗本領 | 77村 | 安房村、玉田村、鳥栖村、秋山村、子生村、勝下新田村、大戸村、駒木根村、飯名村、鉾田村、烟田村、柏熊新田、滝浜村、柏熊村、勝下村、塔ヶ崎村、籾山村、当間村、下富田村、上富田村、大和田村、江川村、中居村、上幡木村、志崎村、武井釜村、大小志崎村、飯島村、上沢村、汲上村、台濁沢村、梶山村、阿玉村、札村、大蔵村、浜津賀村、荒井村、角折村、明石村、田谷村、猿田村、田野辺村、林村、奈良毛村、中村、棚木村、塙村、春秋村、小見村、立原村、武井村、大船津村、下塙村、谷原村、佐田村、鉢形村、粟生村、木滝村、長栖村、平泉村、下幡木村、筒井村、賀村、息栖村、高浜村、石神村、田畑村、木崎村、下津村、小宮作村、矢田部村、東下村、太田新田、日川村、萩原村、芝崎村、溝口村 | |
藩領 | 常陸水戸藩 | 6村 | 海老沢村、駒場村、○小堤村、○紅葉村、○磯浜村、大貫村 |
陸奥守山藩 | 7村 | ●○成田村、●○神宿村、城之内村、●○神山村、○大竹村、荒野村、○神向寺村 | |
幕府領・藩領 | 旗本領・守山藩 | 12村 | 白塚村、菅野谷村、青山村、安塚村、青塚村、小山村、清水村、津賀村、平井村、国末村、泉川村、居切村 |
その他 | 寺社領 | 2村 | 宮中村、根三田村 |
- 慶応4年
- 明治初年 - 竪内新田が溝口村に合併。(126村)
- 明治2年2月9日(1869年3月21日)
- 明治3年12月24日(1871年2月13日) - 陸奥守山藩が藩庁を移転して常陸松川藩となる。
- 明治4年
- 1875年(明治8年)
- 1878年(明治11年)12月2日
- 1884年(明治17年) - 鉾田川上流に舟木村が起立。(122村)
町村制以降の沿革
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、下記の町村が発足[2]。(2町20村)
- 夏海村 ← 成田村(現・鉾田市、東茨城郡大洗町)、上釜村、沢尻村、荒地村(現・鉾田市)、神山村(現・東茨城郡大洗町)
- 大谷村 ← 上太田村、下太田村、造谷村、鹿田村、玉田村、田崎村、子生村(現・鉾田市)
- 沼前村 ← 海老沢村、宮ヶ崎村、城之内村、網掛村、小堤村、駒場村、神宿村(現・東茨城郡茨城町)
- 巴村 ← 上富田村、紅葉村、菅野谷村、大和田村、下富田村、鳥栖村、当間村(現・鉾田市)
- 徳宿村 ← 徳宿村、飯名村、大戸村、駒木根村、秋山村、舟木村(現・鉾田市)
- 諏訪村 ← 籾山村、滝浜村、勝下村、勝下新田村、柏熊新田、安房村、柏熊村(現・鉾田市)
- 鉾田町 ← 鉾田村、塔ヶ崎村(現・鉾田市)
- 新宮村 ← 烟田村、安塚村、白塚村、大竹村(現・鉾田市)
- 上島村 ← 梶山村、汲上村、二重作村、青山村、台濁沢村(現・鉾田市)
- 白鳥村 ← 札村、江川村、中居村、飯島村、上幡木村、上沢村、大蔵村、阿玉村(現・鉾田市)
- 大同村 ← 津賀村、志崎村、大小志崎村、武井村、武井釜村、浜津賀村、和村、棚木村、荒井村、青塚村、角折村(現・鹿嶋市)
- 中野村 ← 中村、荒野村、奈良毛村、林村、小山村(現・鹿嶋市)
- 波野村 ← 神向寺村、清水村、明石村、小宮作村、下津村(現・鹿嶋市)
- 豊郷村 ← 須賀村、田谷村、猿田村、田谷沼新田、田野辺村、沼尾村、山野上村(現・鹿嶋市)
- 豊津村 ← 大船津村、爪木村(現・鹿嶋市)
- 鹿島町 ← 宮中村、根三田村(現・鹿嶋市)
- 高松村 ← 木滝村、佐田村、下塙村、谷原村、長栖村、国末村、粟生村、鉢形村、平井村、泉川村(現・鹿嶋市)
- 中島村 ← 平泉村、息栖村、居切村、深芝村、下幡木村、筒井村、賀村(現・神栖市)
- 軽野村 ← 知手村、木崎村、高浜村、石神村、田畑村、溝口村、芝崎村、萩原村、奥野谷村、日川村(現・神栖市)
- 若松村 ← 柳川新田、須田新田、太田新田(現・神栖市)
- 矢田部村(単独村制。現・神栖市)
- 東下村(単独村制。現・神栖市)
- 1896年(明治29年)7月1日 - 郡制を施行。
- 1923年(大正12年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 1925年(大正14年)1月1日 - 中島村が改称して息栖村となる。
- 1926年(大正15年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
- 1928年(昭和3年)1月1日 - 東下村が町制施行・改称して波崎町となる。(3町19村)
- 1954年(昭和29年)9月15日 - 高松村・豊津村・豊郷村・波野村が鹿島町に編入。(3町15村)
- 1955年(昭和30年)
- 1956年(昭和31年)2月15日 - 若松村が分割し、一部(太田新田の一部)が神栖村に、残部(柳川新田・須田新田および太田新田の残部)が波崎町に編入。(3町4村)
- 1970年(昭和45年)1月1日 - 神栖村が町制施行して神栖町となる。(4町3村)
- 1995年(平成7年)9月1日 - 鹿島町が大野村を編入のうえ即日市制施行・改称して鹿嶋市となり、郡より離脱。(3町2村)
- 2005年(平成17年)
変遷表
明治22年4月1日 | 明治22年 - 昭和29年 | 昭和30年 | 昭和31年 - 昭和63年 | 平成1年 - 現在 | 現在 | |
---|---|---|---|---|---|---|
鉾田町 | 鉾田町 | 昭和30年3月15日 鉾田町 |
鉾田町 | 平成17年10月11日 鉾田市 |
鉾田市 | |
巴村 | 巴村 | |||||
徳宿村 | 徳宿村 | |||||
新宮村 | 新宮村 | |||||
行方郡 秋津村 |
行方郡 秋津村 | |||||
大谷村 | 大谷村 | 昭和30年3月3日 旭村 |
旭村 | |||
夏海村 | 夏海村 | |||||
諏訪村 | 諏訪村 | |||||
白鳥村 | 白鳥村 | 昭和30年3月3日 大洋村 |
大洋村 | |||
上島村 | 上島村 | |||||
鹿島町 | 鹿島町 | 鹿島町 | 鹿島町 | 平成7年9月1日 改称市制 鹿嶋市 |
鹿嶋市 | |
高松村 | 昭和29年9月15日 鹿島町に編入 | |||||
豊津村 | ||||||
豊郷村 | ||||||
波野村 | ||||||
大同村 | 大同村 | 昭和30年3月3日 大野村 |
大野村 | 平成7年9月1日 鹿島町に編入 | ||
中野村 | 中野村 | |||||
中島村 | 大正14年1月1日 改称 息栖村 |
昭和30年3月1日 神栖村 |
神栖村 | 昭和45年1月1日 町制 |
平成17年8月1日 市制 |
神栖市 |
軽野村 | 軽野村 | |||||
若松村 | 若松村 | 若松村 | 昭和31年2月15日 神栖村に編入 | |||
昭和31年2月15日 波崎町に編入 |
波崎町 | 平成17年8月1日 神栖町に編入 | ||||
東下村 | 昭和3年1月1日 町制施行 波崎町 |
波崎町 | 波崎町 | |||
矢田部村 | 矢田部村 | 昭和30年2月15日 波崎町に編入 | ||||
沼前村 | 沼前村 | 昭和30年2月15日 東茨城郡茨城町の一部 |
東茨城郡 茨城町 |
東茨城郡 茨城町 |
東茨城郡 茨城町 |
脚注
参考文献
- 角川日本地名大辞典 8 茨城県
- 旧高旧領取調帳データベース