鳳梨酥
鳳梨酥(台湾語: オンライソー; 中国語: フォンリースー)はパイナップル(台湾語:オンライ)、小麦粉、鶏卵などを原料に使った焼き菓子。「太陽餅」などと並び台湾を代表する銘菓のひとつに数えられる。
概要
鳳梨酥はパイナップルジャムとバターで作った餡をクッキー生地の皮で包んで焼いたもので、日本では一般にパイナップルケーキとも呼ばれている。
形状は5cm角程度の直方体をしており、重量は約40~50g、一口から二口で食べられる大きさになっている。主な原料は小麦粉、バター、砂糖、卵、牛乳、パイナップルジャムなど。パサパサした皮の中に、しっとりとしてやや歯ごたえのある餡が入っており、食べたときにパイナップルのほのかな甘みと酸味が口の中に広がる。安価なものでは、パイナップルジャムを、トウガンやダイコンで作った餡で増量しているものもあり、原料表示をよく見ると分かる。
なお、「酥」(スー)は、本来バターを指すが、現代では「小麦粉に脂肪や砂糖を混ぜて作った柔らかい菓子」(蔡治平主編『永大簡明中日辭典』(永大書局)から引用)のことをいい、鳳梨酥の他に「杏仁酥(杏の種の中身を使った焼き菓子)」、「核桃酥(くるみの焼き菓子)」などがよく知られている。ただし、これらの中華菓子はラードを使う場合が多く、実際には柔らかめのクッキーの様な菓子である。
バリエーション
食感を加えるためにナタデココを加えるものや、甘さを抑えて別の風味を加えるために、塩漬け、加熱した卵黄を入れたものもある。卵黄が入ったものは「鳳黄酥」(フォンホヮンスー)などと呼ばれるが、これは発音が同じで縁起のよい「鳳凰」をもじった命名である。
また、昨今では、パイナップルのほかに、中のジャムをマンゴー(芒果酥)、メロン(香瓜酥)、ブドウ(葡萄酥)、ブルーベリー(藍莓酥)などに替えたバリエーションも登場している。
歴史
テンプレート:Sister 鳳梨酥は台湾では昔からポピュラーな菓子として知られており、基隆(李鵠)、台北(郭元益)、(佳德)、南投(微熱山丘)、高雄(舊振南)などいろいろな地方でも売られている。「太陽餅」が台中特産で、元祖(太陽堂)が特定されているのと異なり、鳳梨酥の方は元祖が特定できない。地元では主にお茶うけとして使われており、また観光客にとってはポピュラーな台湾土産のひとつとして知られている。一般に、町の土産物店、菓子店やデパートの菓子売り場などのほか、国際空港の免税店などでも買い求めることができる。また中華航空の機内食ではデザートの定番でもある。
土産用として売られているものは、暑い国の菓子ということもあり、日持ちがするように作られ、密閉包装されている。製品によってばらつきはあるが、大抵製造から1~3か月程度の賞味期間を表示している。
他方、ベーカリーや洋菓子店が焼いて直売しているものもあり、こちらは賞味期限が十日程度と短いが、よりしっとりとした食感である。一般的にベーカリーや洋菓子店で売られる鳳梨酥は土産物店のものより高級品とされており、値段も高めである。1つずつばら売りもしているので、まとめ買いをする前に1つ買って味見をし、納得してから購入することも出来る。
台湾発祥の食品であるが、現在は中国のスーパーマーケットなどでも、現地産のものが売られている。香港には、台湾製のものを輸入して、自社ブランドで販売する菓子チェーン店もある。