高島部屋
高島部屋（たかしまべや）は、かつて日本相撲協会に存在した、立浪一門の相撲部屋。
沿革
高嶋部屋の実質上の初代は、若松部屋を飛び出し独力で部屋を築いた8代高嶋（元幕内・八甲山）である。8代高嶋は関脇・輝昇や小結・巴潟などといった関取を育て、1951年（昭和26年）1月に8代高嶋が死去した時には所属力士の吉葉山は大関に、三根山は関脇に昇進していた。
巴潟は友綱部屋の当時の師匠である8代友綱（元小結・矢筈山）の娘と結婚して、1939年（昭和14年）に高嶋部屋から友綱部屋へ移籍した後、1940年5月場所限りで現役を引退して年寄・14代玉垣を襲名し、1941年1月には友綱部屋から分家独立して玉垣部屋を創設した。1942年5月に14代玉垣は年寄・安治川に名跡変更して初代安治川を襲名し、同時に部屋の名称を安治川部屋と改称したものの、1951年1月に高嶋部屋の師匠である8代高嶋が死去すると、初代安治川は9代高嶋を襲名して安治川部屋と合併する形で高嶋部屋を継承した。その後、吉葉山が横綱へ、三根山が大関へ昇進した。
三根山は1960年1月場所限りで引退し、同時に年寄・10代熊ヶ谷を襲名して内弟子2人を連れて高嶋部屋から分家独立する形で熊ヶ谷部屋を創設した。1961年1月に8代友綱が定年退職を迎えると、同年5月に8代友綱の娘婿である9代高嶋が9代友綱を襲名して、同時に高嶋部屋の名称を友綱部屋と改称したため、熊ヶ谷部屋を率いる10代熊ヶ谷が10代高嶋を襲名して、同時に熊ヶ谷部屋の名称を高嶋部屋と改称した。以降、10代高嶋は大関・大受や関脇・高望山といった関取を育て上げた。1982年9月場所後に10代高嶋は体調を崩したために部屋運営を断念して高嶋部屋を閉鎖し、高望山を含む所属力士2人は熊ヶ谷部屋へ移籍した。
その後、1990年（平成2年）11月場所限りで引退して熊ヶ谷部屋の部屋付き親方となっていた13代高島（元関脇・高望山）が、1993年5月に熊ヶ谷部屋から分家独立して11年ぶりに高島部屋を再興した。2007年1月場所後には同じ一門の伊勢ヶ濱部屋が閉鎖されたことに伴い、所属行司である式守錦之助を引き取った。
しかし、近年は極端に弟子が少ない状況が続き、2009年11月場所（実質的には同年9月場所）から2010年5月場所までは所属力士がモンゴル出身の大天霄（だいてんしょう）1人となっていた。2010年7月場所には新たに入門した男山が初土俵を踏んだものの、同じ場所で大天霄が引退した。2010年9月にはモンゴル人の入門希望者を1人迎え入れたが、2010年11月場所にて男山は序ノ口で全休して翌2011年1月場所における番付外への転落が決定した。この時点で既に男山は実質的に部屋を離れていたものの、所属力士が不在となった部屋は閉鎖されることとなっているため、この時点で男山の引退届は提出されず、形式的には2004年1月場所における錣山部屋以来となる番付外の力士しか所属していない部屋となったが、実質的には所属力士が不在という異例の事態を迎えた。
2011年1月場所において前述のモンゴル人の入門希望者とは別に新たに入門した小森が初土俵を踏み、同時に男山の引退届が提出された。しかし、小森もすぐに部屋を離れてしまい、同年6月17日に小森の引退届が提出され、所属力士が0人となったために高島部屋は消滅した。13代高島など所属する年寄や行司など4人は同じ立浪一門の春日山部屋へ移籍した。なお、前述のモンゴル人の入門希望者は高島部屋の在籍時には新弟子検査を受検しなかったために正式な力士とはなっていなかったが、高島部屋が消滅した直後の2011年7月に新弟子検査を受検して合格し、13代高島の内弟子として春日山部屋から同年7月場所に高春日の四股名で初土俵を踏んでいる。
2010年7月場所で引退した大天霄は「引退届は親方が勝手に出したもの、自分は男山が入るまでの繋ぎとして引き止められており、男山の入門で放り出された」として、2010年9月24日に東京地方裁判所にて自身の地位確認と給与支払いを求める仮処分申請を行った[1]。2011年2月28日に東京地方裁判所は大天霄の訴えを認め、大天霄の引退時の番付である幕下の給与額と同額を支払うよう日本相撲協会に命じた[2]。同年4月1日には大天霄は日本相撲協会を相手に地位保全および慰謝料500万円などを求める民事訴訟を起こしたものの、その後、本人は角界への復帰は諦めて和解を模索し、2012年10月31日に東京地方裁判所で和解が成立した[3]。
最終所在地
師匠
- 7代：高嶋五郎治（たかしま ごろうじ、関脇・谷ノ音、出雲国）
- 8代：高嶋純司（たかしま じゅんじ、前4・八甲山、青森）
- 9代：高嶋誠一（たかしま せいいち、小結・巴潟、北海道）
- 10代：高嶋利匡（たかしま としただ、大関・三根山、東京）
- 13代：高島大造（たかしま だいぞう、関脇・高望山、宮城）
力士
横綱・大関
横綱
- 吉葉山潤之輔（第43代横綱、北海道）8代、9代弟子
大関
幕内
関脇
小結
- 巴潟誠一（北海道）7代、8代弟子
平幕
- 松前山熊義（前1、北海道）8代弟子
- 大浪妙博（前3、秋田）8代弟子
- 八甲山純治（前4、青森）7代、8代弟子
- 神錦國康（前5、青森）8代、9代弟子
- 芳野嶺元志（前8、青森）8代、9代、10代弟子
- 梅錦寅之介（前20、青森）8代、9代弟子
十両
脚注
テンプレート:相撲部屋- ↑ 「無断で引退届を出された」 元幕下力士、仮処分申請 朝日新聞
- ↑ 解雇力士への支払い命令＝相撲協会に仮処分―東京地裁
- ↑ 元大天霄、相撲協会が和解 スポーツ報知 2012年11月2日閲覧
