風姿花伝
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風姿花伝 (ふうしかでん、風姿華傳) は、世阿弥が記した能の理論書。世阿弥の残した21種の伝書のうち最初の作品。亡父観阿弥の教えを基に、能の修行法・心得・演技論・演出論・歴史・能の美学など世阿弥自身が会得した芸道の視点からの解釈を加えた著述になっている。
成立は15世紀の初め頃。全七編あり、最初の三つが応永7年(1400年)に、残りがその後20年くらいかけて執筆・改訂されたと考えられている。「幽玄」「物真似」「花」といった芸の神髄を語る表現はここにその典拠がある。最古の能楽論の書であり、日本最古の演劇論とも言える。
多くの人に読まれ始めたのは20世紀に入った明治42年に吉田東伍が学会に発表してからで、それまでは一族の「秘伝書」として、その存在すらほとんど知られていなかった。『花伝書』の通称が用いられていた頃もあったが、後の研究の結果現在では誤称とされる。
能の芸道論としても読める一方、日本の美学の古典ともいう。Kadensho、Flowering Spirit</em> などの題名で何度か外国語訳もされ、日本国外でも評価されている。
主な校注
- 野上豊一郎・西尾実校訂 『風姿花伝』 岩波文庫、ワイド版もある。
- 田中裕校注 『世阿弥芸術論集』 「新潮日本古典集成」新潮社、初版1976年
- 小西甚一編訳 『世阿弥能楽論集』 たちばな出版、2004年
- 表章ほか校訂・訳 『風姿花伝ほか』 日本の古典をよむ17・小学館、2009年
- 竹本幹夫編訳 『風姿花伝・三道 現代語訳付』 角川文庫ソフィア、2009年9月
関連項目
- 申楽談儀(世子六十以後申楽談儀)
- 花伝書
- 序破急
- 謡曲
- 金春禅竹
- 大和猿楽
- 能勢朝次 代表作に『世阿弥十六部集評釈』上・下 岩波書店
- 観世寿夫 『心より心に伝ふる花』 角川ソフィア文庫
- 渡辺淳一 『秘すれば花』(現代語での解説・エッセイ)講談社文庫 (同書のオーディオブック/電子書籍版)