ヒバリ

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ヒバリ(雲雀[1]Alauda arvensis)は、スズメ目ヒバリ科ヒバリ属に分類される鳥類。春を告げる鳥として古来より洋の東西を問わず親しまれている。別名、告天子(こうてんし、こくてんし、ひばり)[2][脚注 1]

分布

アフリカ大陸北部、ユーラシア大陸イギリス日本[a 1]

日本では亜種ヒバリが周年生息(留鳥)し、亜種カラフトチュウヒバリや亜種オオヒバリが冬季に越冬のため本州以南へ飛来(冬鳥)する[3][4][5]

A. a. japonica ヒバリ
日本[a 2]
北部個体群や積雪地帯に分布する個体群は冬季になると南下する[6][7][8]


形態

全長17センチメートル[1][6][7][8][4][5]翼開長32センチメートル[6][9]。後頭の羽毛は伸長(冠羽)する[6][3][4]。上面の羽衣は褐色で、羽軸に黒褐色の斑紋(軸斑)が入る[6][4]。下面の羽衣は白く、側頸から胸部にかけて黒褐色の縦縞が入る[6][4]。胸部から体側面にかけての羽衣は褐色[4]。外側尾羽の色彩は白い[8][4]。初列風切は長く突出する[6]。次列風切後端が白い[7][8][4]

嘴は黄褐色で、先端が黒い[4]。後肢はピンクがかった褐色[6][4]

卵の殻は灰白色で、灰色や暗褐色の斑点が入る[7]。オスは頭部の冠羽をよく立てるが、メスはオスほどは立てない[10]

生態

草原や河原、農耕地などに生息する[6][7][3][5]。種小名arvensisは「野原の、農耕地の」の意[1]。しかしながら近年大雪山標高2,000メートル付近の高山帯をはじめ、北海道本州山岳地帯でも生息が確認されている[11]

食性は植物食傾向の強い雑食で、主に種子を食べるが昆虫クモなども食べる[7][3][5]。地表を徘徊しながら採食を行う[7]

繁殖形態は卵生。上空を長時間停空飛翔したり[9]、草や石の上などに止まりながら囀る[5]。繁殖期が始まるとオスが囀りながら高く上がって行く「揚げ雲雀」と呼ばれる縄張り宣言の行動は古くから親しまれている[12]。和名は晴れた日(日晴り)に囀ることに由来する説や、囀りの音に由来する説もある[1]。地表(主に草の根元)に窪みを掘り植物の葉や根を組み合わせたお椀状の巣をメスが作り[3]、1回に3-5個の卵を産む[7]。抱卵期間は11-12日[7]。雛は孵化してから9-10日で巣立つ[7]。繁殖期にはつがいで生活し、非繁殖期には小さな群れで生活する[10]

分類

ファイル:Alauda arvensis mouth.JPG
冠羽を立てた日本の広範囲で見られる亜種ヒバリ A. a. japonica

亜種ヒバリを独立種とする説もある[4][a 2]

  • Alauda arvensis arvensis Linnaeus, 1758
  • Alauda arvensis japonica Temminck & Schlegel, 1848 ヒバリ
  • Alauda arvensis lonnbergi カラフトチュウヒバリ
  • Alauda arvensis pekinensis オオヒバリ

種の保全状況評価

日本の以下の都道府県レッドリストの指定を受けている[13]。ヒバリは愛玩飼養の対象であったが、1979年にその対象から除外された[14]環境省により鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律で、法第二十六条第二項の環境省令で定める鳥獣の対象になっている[15]

人間との関係

大伴家持万葉集で『うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しも独りし思へば』と詠っている。松尾芭蕉(永き日を囀り足らぬひばりかな)や与謝蕪村などの句で、のどかな日本の田園風景の春の風物詩として多数詠われており[12]、春の季語ともなっている。囀りを日本語に置き換えた表現(聞きなし)として「日一分、日一分、利取る、利取る、月二朱、月二朱」というものがあり、この聞きなしと飛翔しながら囀る生態から太陽に金貸しをしているという民話もある[5]。春季に縄張りを主張するために鳴き声を挙げることから春の風物詩とされることもあり、本種をモチーフにした詩(例としてパーシー・ビッシュ・シェリーの「ひばりに寄せて」)などもある[3]イギリスレイフ・ヴォーン・ウィリアムズが作曲したヴァイオリンによるヒバリのさえずりを模擬した『揚げひばり』の楽曲がある[9]。またハイドン弦楽四重奏曲第67番は、第1楽章冒頭の旋律がヒバリのさえずりに似て聞こえるため『ひばり』の名で呼ばれるようになった[19]。日本では飼い慣らしたヒバリを放ち、そのさえずりと高さを競わせる「揚げ雲雀」と呼ばれる遊びがあった。現在は鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律によりヒバリの愛玩目的の飼育は認められていない。

近年、世界的に減少傾向にあり[11]、ヨーロッパでは春播き小麦から秋播き小麦への転換で草丈が高くなることによる生息適地の減少や年間繁殖回数の減少、また農耕の大規模化にともなう環境の均質化が原因として考えられている[20]。日本の東京では、畑地面積が大きく減少しており、畑地の小面積化も進んでいる。作付け作物もヒバリにとっての生息適地となる麦から野菜へと変化しており、このような畑地の減少と質的な変化がヒバリの減少に大きく影響していると考えられている[20]

ヒバリをシンボルとする自治体

日本の以下の自治体の指定の鳥である。

都道府県

脚注

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出典・参考文献

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  • 高野伸二他 山溪カラー名鑑『日本の野鳥』、山と溪谷社 、1985年
  • 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社1986年、152頁。

関連項目

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外部リンク

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  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社2008年、274頁。
  2. テンプレート:Cite web
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社1984年、46、48、218頁。
  4. 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社2000年、403頁。
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館2002年、83頁。
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、文一総合出版2004年、129頁。
  7. 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 7.6 7.7 7.8 7.9 環境庁 『日本産鳥類の繁殖分布』、大蔵省印刷局1981年
  8. 8.0 8.1 8.2 8.3 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会2007年、216-217頁。
  9. 9.0 9.1 9.2 テンプレート:Cite book
  10. 10.0 10.1 テンプレート:Cite book
  11. 11.0 11.1 テンプレート:Cite journal
  12. 12.0 12.1 テンプレート:Cite book
  13. テンプレート:Cite web - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  14. テンプレート:Cite web
  15. テンプレート:Cite web
  16. テンプレート:Cite web
  17. テンプレート:Cite web
  18. テンプレート:Cite web
  19. テンプレート:Cite web
  20. 20.0 20.1 テンプレート:Cite journal
  21. テンプレート:Cite web


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