附属学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2013年12月30日 (月) 23:02時点におけるRedaktoro (トーク)による版 (国立大学の附属学校)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

附属学校(ふぞくがっこう)とは、上級教育機関に附属する就学前教育初等教育中等教育を行う学校のことである。日常的には略して「附属校」とも呼ばれる。多くの場合、大学を頂点として、それ以外の下級教育機関を附属学校としているが、なかには高等学校を頂点とし、中学校などを附属学校としているケースも存在する。また、ごくまれに学校法人の組織形態が高等学校を頂点として扱い、大学をその附属であるかのようにしているケースも存在する。

「附属」と「付属」の違い

国の指針により、法令及び公用文での表記に関して、「附属・寄附・附則・附帯・附置」の5語については「」を用い、これ以外のものは原則として「」を用いることとなっている[1]

これに従い、国立大学の附属学校では例外なく「属」が使用されている。一方、公私立大学の附属学校に関しては、正式名称として「属」を用いている所も多く見られる。

また、「附」「付」はどちらも常用漢字に含まれているが、新聞記事などにおいては、日本新聞協会の用語懇談会が「附」の不使用を決めているため、固有名詞であるにもかかわらず「○○大属」が「○○大属」と表記されることが多い[2][3]

大学を頂点とするケース

国立大学の附属学校

国立大学の場合、学部の教育研究活動の一環として設置され、先進的な教育の在り方を模索する実験校としての使命を持つ。大学本体や教育学部が母体となっている場合が多いが、工学部農学部音楽学部を母体として設置しているところもある。

国立附属学校の中には、中高一貫教育が行われ、高校入試にわずらわされることがないケースもあるほか、集まる児童生徒や教育内容のレベルの高さ、ユニークな取り組みなどから、特に大都市圏においてブランド校化・進学校化する傾向が強い。

また、全国に約170校ある国立の附属小中高校のうち、戦後の学制改革後に設置されたものが大部分を占める中、以下の表に示す各附属学校は、旧制の高等師範学校および女子高等師範学校の附属校として設立されて以来、明治時代から存続しており、特に伝統校とされる[4][5]

特に伝統校とされる国立附属学校
母体となった
旧制教育機関
現在の母体大学 附属学校
小学校 中学校・高等学校
東京高等師範学校 東京教育大学
を経た筑波大学
筑波大学附属小学校 筑波大学附属中学校・高等学校
広島高等師範学校 広島大学 広島大学附属小学校 広島大学附属中学校・高等学校
東京女子高等師範学校 お茶の水女子大学 お茶の水女子大学附属小学校 お茶の水女子大学附属中学校
お茶の水女子大学附属高等学校
奈良女子高等師範学校 奈良女子大学 奈良女子大学附属小学校 奈良女子大学附属中等教育学校

国立の附属学校には、原則として母体大学への進学特典は存在しない。ただし、附属学校対象の特別入試を実施している高校もある。(2005年度より東京工業大学への特別選抜が実施されている東京工業大学附属科学技術高等学校2005年度より愛知教育大学への高大連携選抜が実施されている愛知教育大学附属高等学校

国立大学附属学校の一覧」も参照

公立大学の附属学校

公立大学の場合、少数ながら教育研究活動の一環として附属学校を併設しているところもある。ただ、多くの場合、普通の公立高等学校と同じ学区割りや入試が行われ、実験校としての役割が強い。

公立大学附属学校の一覧」も参照

私立大学の附属学校

私立大学の場合、大学までの一貫教育、早期教育を目的に設立され、母体となる大学ないし学校法人の校風を早い段階で身につけることを期待して設置されることが多い。また、学校法人の成り立ち経緯などから正式には「附属学校」ではない事例もある。附属学校のほかに大学の系属学校や併設学校があり、これらは附属学校とは設置の成り立ち、趣旨が異なるものである。したがって、附属学校と混同して取り扱われるべきではない。

附属学校から大学への入学に関しては試験の免除や優先的な取り扱いがなされる場合が多い。一方で、一切の進学優先事項がない学校と、優先進学はあるものの、卒業生の多くが他の大学へ進学する学校がある。特に、有名私大の附属学校はブランド校や最難関高校と呼ばれ、毎年多くの志願者を集めている。

私立大学附属学校の一覧」も参照

高等学校を頂点とするケース

学校法人内に大学がなく、もっとも上級の教育機関が高等学校である場合にこの形態がとられることが多い。また、公立高等学校と近在の公立中学校を連結し、6カ年一貫教育を実施する場合には中学校を高等学校の附属学校とすることが多い。

脚注

  1. 「文部省 用字用語例」(昭和56年12月文部省
  2. 「記者ハンドブック 新聞用字用語集」(共同通信社)においても「ふぞく(附属)→付属」と書かれている。
  3. 教育出版 - Q02 「附属」か「付属」か?
  4. 高師および女高師は合計7校存在したが、明治期に設立され、正規の附属学校を持ったのは表中の4校のみである。
  5. ただし、表中4校以外の国立大学附属小学校は明治期に設立された各師範学校に附属しており、長い歴史を有する点においては伝統校である。

関連項目

テンプレート:Navbox