コードネーム
コードネーム (code name) は、元来の意味は、ある事物や人物などを指す際に、限定された範囲でのみ判るようしたに別名のこと。暗号名(あんごうめい)、秘匿名(ひとくめい)とも。
現代では、(特にIT業界において)開発中の製品などに対して、バージョン名や型番に頼らずに分かりやすく区別するためにつける別名・愛称も指すようになっている。かつては大々的にアピールすることはなく、社内・部内およびその事情に詳しいマニアのような限られた範囲でのみ用いられることが多かった。しかし近年では、コードネームを一般に向けて広く名前を公表するケースが多く、製品の愛称としての意味合いを強めている。特にMac OS XやAndroidに付けられたコードネームは、製品名としてそのまま用いられるほどであり、メーカーもコードネームを用いて大々的に広告している。
開発中の製品のコードネーム
CPU
インテル
同一ブランド間のマイナーチェンジを区別するためにユーザー側でも積極的に使用される一例でもある。
- Pentium - P5, P54C, P54CS, P55C 等
- Pentium II - Klamath, Deschutes 等
- Pentium III - Katmai, Coppermine, Tualatin 等
- Pentium 4 - Willamette, Northwood, Prescott 等
- Pentium M - Banias, Dothan 等
- Core, Core 2 - Yonah, Merom, Conroe, KentsField 等
AMD
- Duron - Spitfire
- Athlon XP - Thoroughbred(2002年後半に出荷したものは「Barton」)
- Athlon 64 - ClawHammer
- Athlonプロセッサ(高性能フルスピードキャッシュ内蔵) - Thunderbird
NVIDIA
Tegra 3以降は、アメリカン・コミックスのキャラクターから取られている。
- Tegra 3 - Kal-El[1] スーパーマンの本名より。
- Tegra 4 - Wayne バットマンの本名「ブルース・ウェイン」より。
- Tegra 4i - Gray X-MENの「ジーン・グレイ」より。
OS
Microsoft Windows
16ビットのWindows
- Windows 1.0 - Windows
- Windows 2.0 - Windows 286
- Windows/386 - Windows 386
- Windows 3.0 - Windows 3.0
- Windows 3.1 - Janus
- Windows for Workgroups 3.1 - Kato, Sparta
- Windows for Workgroups 3.11 - Snowball
Windows 9x系
- Windows 95 - Chicago
- Windows 95 OSR2 - Detroit
- (Windows 96) - Nashville → Internet Explorer 4.0 へ
- Windows 98 - Memphis
- Windows Me - Georgia, Millennium
- (Windows Meになるはずだった)- Neptune → Whistler へ
Windows NT
- Windows NT 3.1 - (OS/2 3.0), WNT (Windows NT)
- Windows NT 3.5 - Daytona
- Windows NT 3.51の次の次のバージョンとして開発されていたOS - Cairo
- Windows NT 4.0 - (Cairo), SUR (Shell Update Release)
- (Windows NT 5.0) - Cairo → Windows 2000 へ
Windows NT 5.x以降
- Windows 2000 - (Cairo, NT 5.0)
- Windows 2000 Service Pack 1 - Asteroid
- (Windows 2000 の後継) - Odyssey → Whistler へ
- Windows XP - Whistler
- Windows XP Tablet PC Edition - Lone Star
- Windows XP Media Center Edition - eHome
- Windows XP Media Center Edition 2003 - Freestyle
- Windows XP Media Center Edition 2004 - Harmony
- Windows XP Media Center Edition 2005 - Symphony
- Windows XP Media Center Edition 2005 Update Rollup 2 - Emerald
- Windows XP Service Pack 1 - Trainyard
- Windows XP Service Pack 2 - Springboard
- Windows Fundamentals for Legacy PCs - Eiger
- Windows Server 2003 - Whistler Server
- Windows Home Server - Quattro
- Windows Vista - Longhorn
- Windows Server 2008 - Windows Server Longhorn
- Windows Vista Service Pack 1 - Fiji
- Microsoft Windows 7 - (7), Vienna, Blackcomb
- Windows8-8
Mac OS X
ネコ科の動物の名前で統一されている。v10.2以降(日本では v10.3以降)では、コードネームがそのまま製品名の一部としても用いられ、v10.7以降は「Mac」とバージョンナンバーが排除されて「OS X "コードネーム"」で呼ばれている。10.7では正式名称では存続、10.8では正式名称からも「Mac」が削除された。ただしバージョンそのものは名称からは排除されたものの、バージョン確認等の技術的な事情もあり内部的には存続している。 ネコ科の動物名は、10.8のMountain Lionで終了となり、10.9からはカリフォルニアに関係するものが採用されることになった。
- Ver.10.0 - Cheetah
- Ver.10.1 - Puma
- Ver.10.2 - Jaguar
- Ver.10.3 - Panther
- Ver.10.4 - Tiger
- Ver.10.5 - Leopard
- Ver.10.6 - SnowLeopard
- OS X Lion(Ver.10.7) - Lion
- OS X Mountain Lion(Ver.10.8) - Mountain Lion
- OS X Mavericks(Ver.10.9) - Mavericks
- OS X Yosemite(Ver.10.10) - Yosemite
Android
菓子から取られている。また、頭文字がアルファベット順になっている。
- Android 1.5 - Cupcake
- Android 1.6 - Donut
- Android 2.0/2.1 - Eclair
- Android 2.2 - Froyo
- Android 2.3/2.4 - Gingerbread
- Android 3.0/3.1/3.2 - Honeycomb
- Android 4.0 - Ice Cream Sandwich
- Android 4.1/4.2/4.3 - Jelly Bean
- Android 4.4 - KitKat
その他OS
- OS/2(コードネームがそのまま製品名に使用された)
パソコン
アップルのパソコンは、iMacやMacBookなど、同じ名前だが世代の異なるMacintoshを区別するため、コードネームで呼ばれることがしばしばある。
- IBM PC - Project Chess
- Amiga - Lorraine
- Macintosh 128K - Macintosh(コードネームがそのまま製品名に)
- Macintosh II - Ikki、Reno、Little Big Mac
- PowerBook 100 - Asahi
- PowerBook 2400c/180 - Comet
- 20周年記念Macintosh - Spartacus
- iMac(初代)- Columbus、Tailgate、C1
- iMac(Late 1999)- Kihei
- PowerBook G3(FireWire)- Pismo
ゲーム機
任天堂系
任天堂では製品型番のアルファベット部分が開発コードネームに由来している。
- ファミリーコンピュータ - HVC(Home Video Computer)
- スーパーファミコン - SHVC(Super HVC)
- NINTENDO64 - NUS(Nintendo Ultra Sixtyfour)、プロジェクト・リアリティ、ウルトラ64、ウルトラファミコン
- バーチャルボーイ - VUE(Virtual Utopia Experience)
- ニンテンドーゲームキューブ - DOL(Dolphin、ドルフィン)
- Wii - RVL(Revolution、レボリューション)
- ゲームボーイミクロ - OXY(OXYGEN、オキシゲン)
- ニンテンドーDS - NTR(NITRO、ニトロ)、DS自体も本来はコードネームであった。
- ニンテンドーDS Lite- USG(不明)
- ニンテンドーDSi - TWL(不明)
- ゲームボーイアドバンスの次世代機として検討されていたハード - アイリス[2](英語表記は不明)
ソニー・SCE系
- PlayStation - PS-X(後にPlayStation 2をもとに開発されたレコーダーがPSXという名でソニーから販売されたが、直接の関係はない)
- スーパーファミコン互換CD-ROM機(発売されず) - プレイステーション
- PlayStation Vita - NGP(Next Generation Portable)
その他のメーカー
- Xbox - Midway(PCとゲーム専用機の中間の道を行くと言う意味と太平洋戦争の転換点となったミッドウェー海戦の意味、公表時にゲーム機名称未定としてXboxとリリースしたものが最終製品名となった)
- ドリームキャスト - KATANA(「刀」ではなく、関西弁の「勝たな」が由来)
注釈
- ↑ Nvidia Kal-El quad-core phone chip is faster than a speeding bullet in video
- ↑ 『社長が訊く メイドイン俺』:5年半前から構想
家電製品
- RD-Style - RD-Style#コードネームを参照。
自動車
自動車メーカー各社は、正式な車名・型式が決定するまでの間、便宜的に社内呼称を用いる。
日本ではマツダ・RX-7が有名である。海外ではポルシェ・911が第何世代目であるかを示すために開発時のコードネームが通称として通用している。メルセデス・ベンツ各車(セダン型はWで始まることが多い)やBMW各車(E、Fで始まることが多い)、ヒュンダイ・ソナタ(NF、YF・・・etc.)なども基本的にこの流れに沿って呼称されることが多い。
コードネームがそのまま市販車名になった例には、トヨタ・SAI、トヨタ・86(FT-86→86)、ヒュンダイ・JM(本国名:ツーソン)、ヒュンダイ・TB(本国名:クリック、海外名:ゲッツ。「ゲッツ」が日本ではトヨタ・ヴィッツに似てしまうため)等がある。
作品タイトル
軍事でのコードネーム
作戦
作戦等の著名なコードネームには次のようなものがある。
- アシカ作戦 - 第二次世界大戦でのドイツ軍のイギリス侵攻作戦(未成)
- バルバロッサ作戦 - 第二次世界大戦でのドイツ軍のソ連侵攻作戦
- オーバーロード作戦 - 第二次世界大戦での連合国軍のノルマンディー上陸作戦
- ダウンフォール作戦 - 第二次世界大戦での連合国軍の日本上陸作戦(未成)
- マンハッタン計画 - 第二次世界大戦でのアメリカ軍の原子爆弾開発計画
- 捷一号作戦 - 第二次世界大戦での日本軍のフィリピン防衛作戦
- 決号作戦 - 第二次世界大戦での日本軍の本土防衛作戦(未成)
部隊
作戦中の部隊やユニットには、秘匿および交信の円滑化のためにコードネームが付けられる。世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワのコードネーム「チャイカ(カモメ)」などが有名である。
敵の兵器
テンプレート:Seealso 敵国や仮想敵国に対しては、兵器の正式名称などを秘匿することがある。また公開されていても、馴染みのない外国語での名称は情報交換において支障となることもある。こうした理由で、兵器には敵によるコードネームが付けられることがある。
情報が不足しているため、兵器種の同定には誤りがあることも少なくない。
太平洋戦争でのアメリカ軍による日本軍航空機に対するコードネーム、冷戦でのNATOによるソ連軍の兵器全般に対するコードネームが有名である。
短期間使われるコードネーム
戦時や準戦時には、作戦、地名、部隊、要人などあらゆるものにコードネームが付けられる。それらは短期間つかわれたのち破棄され、別のものに交換される。
近代になって使いやすい換字式暗号が発展してからも、コードネームは暗号と併用されることが多い。
第二次世界大戦の連合軍のコードネームは、イギリスGC&CS(のちのGCHQ)の作ったランダムな単語リストを元に、陸軍省のISSB (The Inter-Services Security Board) が決定した。なお、日本軍航空機へのコードネームはこれとは別システムである。