PowerBook 2400c
PowerBook 2400cとは、かつてアップルコンピュータが販売していたPowerBookシリーズの一種である。
概要
PowerBook 2400cはPowerBook 100以来のサブノート型ノートパソコンで、アップル初の日本向けにモデルである[1]。初代モデルのPowerBook 2400c/180(開発コードネームは百武彗星にちなんだComet)は、1997年5月30日に438,000円で発売された[2]。また、翌1998年4月には、スペックのアップグレードや熱対策やネジの脱落防止策が施されたPowerBook 2400c/240(開発コードネームはMighty Cat)が登場している[3]。
フロッピーディスクドライブは外付けの付属品であり、光学ドライブは付属していないが、再インストール用のMacOS(システムディスク)は、CD-ROMで同梱されていた。
評価
PowerBook 2400cは、当時のPowerBookシリーズの最上位機種であったPowerBook 3400の性能を詰め込んだスペックであり[1]、携帯性とコストパフォーマンスに優れたマシンであると評価された[4]。
日本市場をターゲットとしていただけに、日本においてはかなりの人気モデルとなった[5]が、アメリカでの売り上げは僅か5千台程度(PowerBook 2400c/180のみで、後継の2400c/240は販売されていない)に留まり、全シリーズの累計出荷台数は7万台程度となった。クリックボタンの不良やCPUが熱で破損する等の不具合も多く発生したこともあり、PowerBook 2400cは失敗と見なされている。二度とターゲットを地域限定としたモデルが開発されることはないと言われているテンプレート:誰2。
開発・設計
PowerBook 2400cのプロジェクトを進めたのは、1996年2月から翌年7月までアップルの最高経営責任者であったギル・アメリオ自身で[6]、アメリオが日本に派遣した技術者チームが東京の満員電車を体験して小型軽量マシンのきっかけを掴んだとされる[7]。
当時の日本IBM(日本IBM大和事業所)と共同で開発され、当時ThinkPad 535を製造していた日本IBM藤沢事業所でPowerBook 2400cも製造された[1]。小さな筐体にPowerBook 3400相当のスペックを詰め込むため、ThinkPad 535と同様にロジックボード(マザーボード)を3段構造としている[4]。また、液晶パネルをThinkPad 535と同じ東芝製にしたり、IBM製ハードディスクドライブを採用するなどして、ThinkPadとの共通化でコストダウンも図られた[1]。なお、ThinkPad 535はPowerBook 2400cとの比較対象とされることも多い[1][4]。
外観はアップル本社のデザイナーチームによりデザインされているが、当時のアップル日本法人の意見が汲まれている[4]。
また当時PowerPC G3へのアップグレードカードが販売されていたが、現在では製造していたメーカーは2社ともに倒産し、新品でのアップグレードは極めて困難になっている。
スペック
PowerBook 2400c/180 | PowerBook 2400c/240 | |
---|---|---|
発売日 | 1997年5月 | 1998年4月 |
CPU | PowerPC 603e 180MHz | PowerPC 603e 240MHz |
2次キャッシュメモリ | 256KB | |
メモリ | EDOメモリ オンボード16MB 拡張スロット×1(公称で最大80MBまで増設可能。非公式には96MBを追加して最大112MB[8]) | |
内蔵ストレージ | 1.3GB 2.5インチIDE HDD | 2.0GB 2.5インチIDE HDD |
ディスクドライブ | 外付け3.5インチフロッピーディスクドライブ(Apple SuperDrive)付属 外部フロッピーディスクドライブポート×1 | |
ディスプレイ | 10.4インチTFTノングレアクリーン液晶(最大解像度800×600ピクセル、最大表示色32,768色) | |
グラフィックコントローラ | チップス・アンド・テクノロジーズ CT65550(VRAM容量 1MB) | |
PCカードスロット | Type I・Type IIのPCカードなら2枚、Type III ×1のPCカードなら1枚を装着可 | |
入出力ポート | Apple Desktop Busポート×1、シリアルポート(LocalTalk/モデム、RS-422準拠)×1、SCSIポート(HDI-30)×1 赤外線通信ポート×1(IRTalk 230KbpsおよびIrDA規格1Mbpsに準拠)、外部モニタポート | |
オーディオ | 16ビットステレオサウンド入出力用ポート×各1、内蔵スピーカー、マイクロフォン | |
ポインティングデバイス | トラックパッド | |
プリインストールOS | Mac OS 7.6 | Mac OS 8.1 |
本体サイズ | 高さ:4.7cm、幅:26.6cm、奥行き:21.3cm | |
本体重量 | 1.98kg | 2.00kg |
関連項目
- MacBook Air - 有線LAN端子及び光学ドライブを搭載しない軽量・小型(薄型)ノートパソコンとしてPowerBook 2400cとの類似性が指摘される[5]。
脚注
外部リンク
テンプレート:1997年以前のアップル社製ハードウェア- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 アップル、IBM製のサブノート機「PowerBook 2400c/180」を発表 - PC Watch 1997年5月8日(インプレス)
- ↑ PowerBook 2400c/180は30日販売開始。実売438,000円前後 - PC Watch 1997年5月23日(インプレス)
- ↑ アップル、PowerBook 2400cに603e 240MHz搭載モデル - PC Watch 1998年4月7日(インプレス)
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 MACPOWER 1997年6月号(アスキー)
- ↑ 5.0 5.1 漢字Talk、PowerBook、ピピン――ジョブズ復帰前のAppleは混沌だった - 週アスPLUS 2013年01月25日(アスキー・メディアワークス)
- ↑ ギルバート・アメリオ - ASCII.jpデジタル用語辞典
- ↑ 今も日本のマックファンを虜にする『パワーブック2400c』 - WIRED 2002年3月27日
- ↑ PowerBook 2400のメモリーの秘密! - マックメム