里見の謎
テンプレート:参照方法 テンプレート:独自研究 テンプレート:しんにょうテンプレート:Infobox 『里見の謎』(さとみのなぞ)は、サンテックジャパンよりプレイステーション用ソフトとして発売されたコンピュータRPGである。
製作総指揮は小澤夢生、監督・脚本は堀ちえみや岡田有希子等への楽曲提供や、光栄の『水滸伝・天命の誓い』の作曲などを担当した三井一正である。なお、当ゲームシステムの統括は、秋篠雅弘が率いたJフォースで『あらいぐまラスカル』や『熱血大陸バーニングヒーローズ』を製作し、サンテックジャパンのアダルトゲームまで深く関わった横塚英一郎(イアラ・ラセ)である。横塚英一郎は、後述する「じどう」の名づけシステム、各種ゲームシステムの提案、また本作品のパッケージに貼り付けられた「オススメRPG」のシールを提案した人物である。
目次
概要
本作はサンテックジャパンのテレビゲーム初参入ソフトである。それまでは業務用カラオケなどの音源製作をメインに行う会社だった。「里見の謎」の「里見」や「タテヤマーナ」の町は、会社の所在地が千葉県館山市にあり、この地が南総里見八犬伝の所縁の地であることが由来となっている。ただし、ゲーム本編の内容には南総里見八犬伝は全く関係しない。
本作品は音楽関係者中心で作ることをモットーとして製作された経緯がある。そのため監督と脚本に本来の脚本家を使わずミュージシャンに一任したために、異様なシナリオやゲームシステムができ上がった。また、本作品のパッケージ裏面には「極上の音質と音楽表現!」と記載されている。
オープニングおよびエンディングのナレーション、挿入歌・ラストボス戦に流れる曲の歌唱は島紘子が担当している。ちなみに、本作品で他にキャラボイスが充てられているのは主人公の犬だけである。CD-ROMのトラック2には警告メッセージが収録されている。後半は島紘子の自己紹介をしており、芸能学校の宣伝や、ゲームの挿入歌2曲で9分弱ある。警告メッセージはプログラムの半分のサイズを使用している。プログラムと警告メッセージをあわせてもCD-ROMの容量の半分にも満たない。
上記の経緯に加え、パッケージにはメーカーが自分で「オススメRPG」というシールを貼っていたこともあり、結果としてプレイステーション用ソフトの中で、屈指のバカゲーもしくはクソゲーとの評価がある。オススメシールは販売店が貼ったと勘違いして購入した者も多かった。このシールは発売後にソニー側より不当表示のクレームを受けたため、後期出荷分には付いていない。販売数が少なかったことから中古市場でもあまり目にすることはなく、また中古価格も高めで、特に「オススメRPG」シール付きの初期出荷品には高額なプレミアがついている。
本作のエンディングの末尾には「TO BE CONTINUED...」というメッセージが表示されるが、サンテックジャパンが倒産したため続編は出ていない。また、サンテックジャパンのアダルトゲーム部門であるknightが発売した『さよならの微笑み』というゲームでは、登場人物が『里見の謎』というクソゲーをプレイしようとするセルフパロディがある。
ゲームシステム
じどう
操作するキャラクターの名前入力画面において、自動で名前を決定してもらうシステムである。「じどう」を使用すると、文字を完全にランダムで並べただけの名前が生成される。その結果、時には「たゅー」「ょぬっっと」「ゅーじぉと」など、発音困難な名前が生成されることもある。
PMLS(プログレッシヴ・マップ・リンク・システム)
基本的に全てのマップが縦方向に連結されており、場面ごとの画面切り替えは現在いるマップの上端か下端で発生する。このため本作は縦スクロールRPGであり、常に上方向が「先に進む」となるため、次にどこへ向かえばよいか、迷いにくいようになっている。また、スクロール自体は通常のRPGと同様に上下左右に自由に動き、マップの右上と左上から別の場所に進むなど分岐も多い。画面切り替えポイントが左右にないというだけで、個々のマップには横に長いものもある。なお、横方向の画面切り替えも、ゲーム全編を通して1か所のみ存在する。
DCBS(ダイレクト・コマンド・バトル・システム)
戦闘時画面に出てくる3体の敵に対して左から「□・△・○」のマークが割り振られており、コントローラーの該当ボタンを押すだけで敵にダメージを与えることができる。魔法や道具、味方への回復なども他のボタンを併用して□・△・○で決定することで同様に行なえる。単体攻撃のほか、同時押しで威力を分散した全体攻撃も可能である。キャラクター単位で、個々に設定された速さを基準に行動権を取得し、個々にコマンド入力のうえ、そのコマンドを即座に実行というパターンを繰り返すことで戦闘は進行する。いわゆる従来のRPGのようなターン制の概念がない。また、一般的なRPGの戦闘と異なり、敵に与えた、または敵から受けたダメージが数値で表記されない、動作を表すアニメーションがないか極端に短いなどの特徴がある。非常にスピーディーな戦闘が可能となる一方で、敵に与えたダメージ量が見えなかったり、敵味方ともに行動が一瞬で終了してしまうため、戦闘中の現状把握が難しいという問題もある。
FECS(フラッシュ・エンカウント・コントロール・システム)
フィールドやダンジョンで敵と遭遇した際に、即座に戦闘に移行するシステムである。本作ではエンカウント時のソフト読み込み時間がほとんど発生せず、戦闘画面そのものが簡略であることも相まって、比較的早いタイミングで戦闘画面へ移行することができる。本作品発売の約4年後に『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』が同様のフラッシュエンカウントシステムを採用し話題となっているが、『ドラクエVII』がフラッシュエンカウントの導入によりフリーズが多発したのとは対照的に、本作では目立った弊害は起こっていない。
あらすじ
ある日、近所の海岸で釣りをしていた少年・ゆめわかは、謎の壷を手に入れる。家に戻り、ゆめわかの母にその壷を見せたところ、母は明らかに何かを知っているような反応を示し、ゆめわかに今日はもう寝なさいと促した。翌日、ゆめわかの母は手紙を残して失踪していた。手紙の内容に従い、ゆめわかは愛犬ラブリーと共にヘッケル博士を訪ねるため、タテヤマーナの町へ向かうのだった。
登場人物
- ゆめわか
- 主人公の少年。全編を通して口調に一貫性がなく、情緒不安定。
- ようすけ
- 主人公の友達。ゲーム開始時に名前を入力するキャラであるにもかかわらず、中盤でパーティから抜ける。
- ラブリー
- 主人公の飼い犬。キャラボイス付き。最初から最後までパーティにいる。
- 母
- 主人公の母。序盤から謎の失踪をする。最後まで帰ってこない。
- ヘッケルはかせ
- 隣町に住んでいる博士。最終決戦前に仲間になり、非常に強い。
- イズミ
- ヒロイン候補。非常に気が強い少女。序盤でいきなり喧嘩を売られ、戦うことになる。途中でパーティを抜けるが、選択によっては最終決戦時に再び加わる。
- 千夜
- ヒロイン候補。「さや」と読む。神秘的な雰囲気を持つ少女。イズミよりもパーティにいる期間が長い。ヒロインはイズミか千夜から選ぶことになるが、違いは最終決戦の加入メンバーとエンディングのナレーションくらいである。また、ゲーム開始時にどちらかを選択するが、影響するのはオープニングのナレーションのみである。
- ジュウベー
- 忍者。一時仲間になるが、忍者なのに「たかいところがにがて」という理由からパーティーを抜ける。
オリジナルサウンドトラック
テンプレート:Infobox 発売から5年後の2001年サンテックジャパンのインディーズレーベル部門『サンテックレコード』のWebサイトでサウンドトラックがCD-Rにより200枚限定で通販で販売された(品番STCX-0004 定価2800円)。秋葉原のPCショップにも何枚か卸されて販売されたという。特典として里見カードというトレーディングカードが4枚封入されていた(全100種)。ゲーム内で使用されたBGMとジングル集に島紘子の楽曲、さらに島紘子のファンへの新録音メッセージも収録され、「私もまた歌いたくなってきた」という発言をしている。
曲目
- メインフィールド
- 森のダンジョン
- 労働
- バトル開始
- フィールド2
- 昔の村
- 千夜姫のお城
- 祭りだ祭りだ!
- 酔いどれ仙人の洞窟
- バトル2
- 幽霊ちゃんのいる峠越え
- 夢を載せ我が船は行く
- 村
- 神秘の泉
- アオキンドのカラクリ洞窟
- 地の底
- 新たなる大地へ
- ボスキャラ戦闘
- 流星のティアラ
- 時空を越えた恋人たち
- STJのテーマ
- しまひろこメッセージ
- ジングル集
参考文献
- ユーズドゲームズ編集部編 『美食倶楽部バカゲー専科』 キルタイムコミュニケーション、1998年、ISBN 978-4906650316。
- 多根清史 『超クソゲーremix』 太田出版、2003年、ISBN 978-4872337587。
- がっぷ獅子丸 『悪趣味ゲーム紀行』 マイクロデザイン出版局、1998年、ISBN 978-4944000814。