赤城毅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

赤城 毅(あかぎ つよし、1961年 - )は日本小説家、軍事史研究者。本名は大木 毅(おおき たけし)。

経歴・人物

東京都出身。立教大学文学部史学科卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻はドイツ近代史。ドイツ学術交流会奨学生として、ドイツボン大学留学。その後、日本学術振興会特別研究員千葉大学横浜市立大学などの非常勤講師などを経て、1998年京極夏彦の絶賛を受けて『魔大陸の鷹』で単行本デビュー。

現在は作家として活動する傍ら、研究を続けている。研究者としてはナチス・ドイツの政治外交史を研究している。

大学院生時代には翔企画鈴木銀一郎が発行していたボード・シミュレーション・ゲーム専門誌『シミュレイター』にて『鉄十字の足跡』を執筆していたこともある(大木毅名義。イラストは小林源文)。ちなみに同誌で活動していた作家としては、他に佐藤大輔がいる。『鉄十字の足跡』は連載を中断したまま(「大木先生はドイツ留学中」という編集者の説明あり)、『シミュレイター』誌は消滅した。

1990年代半ばには荒巻義雄の架空戦記『旭日の艦隊』で本編前史にあたる時期のヨーロッパ情勢を扱った外伝アンソロジー『旭日の艦隊 後世欧州戦史』シリーズ(全6巻)に「赤城毅」名義で参加、シリーズ後半ではほぼ一冊の執筆を赤城個人が担当している。

代表作に『帝都探偵物語』『ノルマルク戦史』『紳士遊戯』などがある。作風としては軽妙な言い回しが特徴的で、様々なジャンルの作品を発表している。

有限会社らいとすたっふ所属。

作品リスト

シリーズ作品

  • 魔大陸の鷹(中央公論社、イラスト:ひろき真冬
    1. 吼える海流
    2. 凍れる密林
    3. 帝都最終決戦
  • 帝都探偵物語(中央公論社〈3以降は中央公論新社〉、イラスト:鈴木雅久
    1. 人造生命の秘密
    2. 闇を呼ぶ人狼
    3. 深紅の挑戦
    4. さらば美しき魔女
    5. 霧笛に哭くロロ
    6. 夏薔薇が静かに散るとき
    7. 帝都少年探偵団(外伝)
    8. 水妖の青き唄を聴け
    9. パノラマ座の惨劇
    10. 私が愛した木乃伊
    11. 青鱗館の恐怖
    12. 虎落笛鳴りやまず
    13. 黄泉に舞う蝶
  • 有翼騎士団(中央公論新社、イラスト:小林立
    1. 風に立つ緑の姫君
    2. 夜を紡ぐ銀の侯爵
    3. 光呼べ青嵐の騎士
  • ノルマルク戦史(中央公論新社、イラスト:とりそかべ馨
    1. 滅びの星の皇子
    2. 異端者達の軍旗
    3. 罪と罰の迷宮
    4. 寂寞たる栄光
    5. 愛と哀しみの戦野
  • 遊戯シリーズ(光文社、イラスト:村田蓮爾
    1. 紳士遊戯
    2. 贋作遊戯
  • 時の剣(イラスト:丹野忍
    • 隻眼の狼王
  • 猫子爵冒険譚(イラスト:有賀ヒトシ
    • 血文字GJ
    • 復讐する化石
  • 魔大陸の鷹(祥伝社版)(イラスト:星野之宣
    • 魔大陸の鷹 完全版(『吼える海流』『凍れる密林』『帝都最終決戦』の合本完全版)
    • 熱沙奇厳城
    • 氷海の狼火
    • 燃える地平線
  • ノルマルク戦記(イラスト:小河原亮、『ノルマルク戦史』を加筆修正し、残り2巻を書き下ろしたもの)
    • 滅びの星の皇子
    • 異端者達の軍旗
    • 罪と罰の迷宮
    • 寂寞たる栄光
    • 愛と哀しみの戦野
    • 挽歌の彼方へ
    • 滅びの星輝くとき
  • オフィス・ファントム(イラスト:鷹氏隆之
    • 史上最大の誘拐
    • 史上最悪の奪還
    • 史上最強の要塞
  • 書物狩人シリーズ(本文イラスト:ウスダヒロ
    • 書物狩人
    • 書物迷宮
    • 書物法廷
    • 書物輪舞

単巻作品

  • 虹のつばさ(イラスト:宮尾岳
  • 麝香姫の恋文(イラスト:波津彬子
  • 薔薇とサーベル ナポレオン戦争秘史(イラスト:滝沢聖峰

ノンフィクション

  • 『亡国の本質 日本はなぜ敗戦必至の戦争に突入したのか』(PHP研究所、2010年)

対談

  • 中欧怪奇紀行【共著:田中芳樹】(2000年11月、中央公論新社 / 2003年12月、講談社文庫)

大木毅名義

  • 『コンピューターシミュレーション・ゲーム入門』 (上田暁共と共著, 原書房, 1983年)
  • 『鉄十字の軌跡』(鹿内靖との共著、国際通信社、2010年)

論文

  • 「ドイツの対米開戦――その研究史」『史苑』49巻1号(1989年)
  • 「ドイツの対米開戦(1941年)――その政治過程を中心に」『国際政治』91号(1989年)
  • 「ドイツと『関特演』」『軍事史学』25巻3・4合併号(1990年)
  • 「独ソ戦の性格をめぐって――もうひとつの歴史家論争」『西洋史学』169号(1993年)
  • 「フリードリヒ・ハックと日本海軍」『国際政治』第109号(1995年)
  • 「『藤村工作』の起源に関する若干の考察」『軍事史学』31巻1・2合併号(1995年)
  • 「独ソ和平工作をめぐる群像」近代日本研究会編『年報・近代日本研究17 政府と民間』(山川出版社, 1995年)
  • 「独ソ和平問題と日本」細谷千博後藤乾一入江昭波多野澄雄編『太平洋戦争の終結――アジア・太平洋の戦後形成』(柏書房, 1997年)

訳書

  • ジョン・キーガン編『タイムズ・アトラス 第2次世界大戦歴史地図』(原書房, 1994年)
  • カール・ハインツ・フリーザー『電撃戦という幻(上・下)』(中央公論新社, 2003年)
  • ジョン・キーガン,ジョン・ガウ,リチャード・ホームズ『戦いの世界史: 一万年の軍人たち』(原書房, 2014年)

監修