行政審判
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テンプレート:混同 行政審判(ぎょうせいしんぱん)とは、行政機関による争訟の審理・裁定などの手続のうち、公開の口頭審理など訴訟に準じた手続構造(準司法的手続)を採用するものをいう。
行政審判を行う行政機関は合議制とされ、他の行政機関から独立した職権行使を認められているのが通例である。なお、行政審判を行う機関を「○○審判所」と称することがある(海難審判所・国税不服審判所など)。
行政審判を経てなされた決定に対しては、一般に、不服申立てについて、行政上の不服申立て(行政不服審査法)が禁止されていたり、司法審査について東京高等裁判所が第一審裁判所とされている(独占禁止法85条1項)などの特別規定が置かれていたり、実質的証拠の法則(同法80条)が採用されることがあるなど、特別の取扱がなされている。
行政審判
不服審査型
- 国税通則法に基づく国税不服審判所による国税処分の不服申立の審判
- 独占禁止法49条以下に基づく公正取引委員会による排除措置命令、課徴金納付命令に対する審判
- 特許法に基づく特許庁の審判、審決
- 土地収用法に基づく収用委員会の審理、裁決
- 労働組合法に基づく労働委員会の審問、命令
- 電波法に基づく電波監理審議会による免許取消等不服申立の審判
- 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(土地利用調整手続法)に基づく公害等調整委員会による鉱物採掘等許認可の不服申立の裁定
事前審査型
実質的証拠法則
行政審判の裁決は、一定の場合に裁判所を拘束することを言う。現在では公正取引委員会の審決(上記)と電波監理審議会が適法に認定した事実(電波法99条)等に対して設けられている。
なお、特許法に基づく特許庁の審決には上に挙げた二法と異なり明文の規定がないため実質的証拠法則は採用されていないというのが通説的立場であるが(中山信弘 特許法276p他)、審決取消訴訟においては新たな無効理由の主張について制限される(外部リンク参照)。この場合、その無効理由について新たな特許無効審判を別途請求すべきである。