蓄光
テンプレート:未検証 テンプレート:独自研究 蓄光 (ちっこう) とは、光を蓄えて発光する物質の性状をいう。 なお、蓄光性を持つ物質が暗所で発光する際の光を「燐光(りんこう)」という。この発光の明るさを燐光輝度 (単位: cd/m2) で示す。
概要
硫化亜鉛 (ZnS系) やアルミン酸ストロンチウム (SrAl2O4系) が知られる。
1900年代初頭、時計の文字盤や計器盤等の夜間視認を可能にする夜光塗料が発明された。夜光塗料の材料には、初期には自発光物質であるラジウム化合物やプロメチウム化合物が使用され、その後に硫化亜鉛系やアルミン酸ストロンチウム系の蓄光(燐光)物質が開発された。
自発光物質とは、放射性物質を応用し、放射線により持続的に蛍光物質を光らせるものである。
1910~20年代にかけて、アメリカで自発光物質の塗料を塗る作業をしていた従業員にがんの発生が認められた。 当時は放射性物質の危険性が明らかになっておらず、唇に挟んで拭うことで筆先を整えていたためにラジウムを含んだ塗料を体内に摂取してしまっていた[1][2]。
地球環境の保全が叫ばれ始めたことをきっかけとして1990年代に時計業界では自発光物質を使った塗料の使用が世界中で中止された。以後の時計のダイヤルには蓄光物質を使った夜光塗料や、自発光物質を小型ガラスチューブに封入したものが使用されている。
用途
時計の文字盤や計器盤等に使用されるほか、近年ではキーホルダー、アクセサリー、マニキュア等のファッションに使用される。
また、ニューヨークでの9・11テロ等において、避難経路を示すことの重要性が高まったことからも、電源や配線配管を必要としない「蓄光」が注目を集めている。
日本国内では、いち早く横浜市交通局が地下鉄のプラットホームやコンコースで蓄光式の避難誘導板を設置し、その後、東京都が火災予防条例で地下駅を保有する全ての鉄道事業者に蓄光性を持った明示物を設置することを定めた。
地震や台風等の災害時に発生する停電によるブラックアウトに際し、電源を必要とせずに発光する「蓄光」は非常に有効な手段であると考えられ、広域避難場所や津波避難場所等の表示に蓄光を採用する動きが多くなってきている。
過去の蓄光顔料には耐水性が無く、屋外の使用が難しいとされてきたが、現在では蓄光顔料の粒子をガラスや高分子樹脂の被膜でコーティングする技術が開発され、屋内のみならず屋外でも使用される例も増えてきている。
世界シェアは日本の根本特殊化学1社が実質的に独占している (ライセンス生産を含む)。
高輝度蓄光式避難誘導標識
総務省消防庁では2006年3月に告示の改正を行い、高輝度蓄光式避難誘導標識の定義を定めた。経済産業省が主催する平成18年度省エネ大賞省エネルギーセンター会長賞でも蓄光製品が取り上げられており、同省の2007年度指針や資源エネルギー庁等の資料でも蓄光が省エネ CO2 対策の有効な手段であることが示されており、社会的認知が進んでいる。