般若経
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(般若経典から転送)
『般若経』(はんにゃきょう)、正式名称『般若波羅蜜多経』(はんにゃはらみったきょう、テンプレート:Lang-sa-short, プラジュニャーパーラミター・スートラ)は、大乗仏教において、般若波羅蜜(般若波羅蜜多、智慧の完成)を説く多数の経典を総称した呼称。
紀元前後から作成・編纂が始まった、大乗仏教経典の中では最も早く作成・編纂が始まった経典群だが、下述するようにその後数百年に渡り、大幅な増広が繰り返されてきた。
一般に空を説く経典とされているが、同時に呪術的な面も色濃く持っており、密教経典群への橋渡しとしての役割を無視することはできない。
般若経典一覧
- 『八千頌般若経』(はっせんじゅはんにゃきょう、八千頌般若波羅蜜多経、テンプレート:Lang-sa-short, アスタサーハスリカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ)
- 『二万五千頌般若経』(にまんごせんじゅはんにゃきょう、二万五千頌般若波羅蜜多経、テンプレート:Lang-sa-short, パンチャヴィムシャティサーハスリカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ)
- 『十万頌般若経』(じゅうまんじゅはんにゃきょう、十万頌般若波羅蜜多経、テンプレート:Lang-sa-short, シャタサーハスリカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ)
- 『大般若波羅蜜多経』(だいはんにゃはらみったきょう、大般若経、テンプレート:Lang-sa-short, マハー・プラジュニャーパーラミター・スートラ)
- 唐の玄奘が西域から関連経典を持ち帰って漢訳し、集大成したとされる。全16部(会)600巻。
- 『第二会』(第401巻-第478巻)は、上述した『二万五千頌般若経』(大品般若経、摩訶般若波羅蜜経)に相当する。
- 『第四会』(第538巻-第555巻)及び『第五会』(第556巻-第565巻)は、上述した『八千頌般若経』(小品般若経)に相当する。
- 『第九会 能断金剛分』(第577巻)は、下述する『金剛般若経』に相当する。
- 『第十会 般若理趣分』(第578巻)は、真言宗で重用する『理趣経』即ち『大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品』不空訳(720年 - 774年)と比較的近いサンスクリット本の翻訳とされている。
- 『第十六会 般若波羅蜜多分』(第593巻-第600巻)は、登場する菩薩の名に因んで『善勇猛般若経』(ぜんゆうみょうはんにゃきょう)として知られる。
- 日本の各宗派で儀礼的な「転読」が行われる経典として有名。
短編経典
- 『金剛般若経』(こんごうはんにゃきょう、金剛般若波羅蜜多経、テンプレート:Lang-sa-short, ヴァジュラッチェーディカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ)
- 『般若心経』(はんにゃしんぎょう、(仏説・摩訶)般若波羅蜜多心経、テンプレート:Lang-sa-short, プラジュニャーパーラミター・フリダヤ)
日本語訳
大般若経全訳
- 『国訳一切経』「般若部1-6巻」 大東出版社
個別経典
- 梶山雄一、丹治昭義訳注 『八千頌般若経』 <大乗仏典 般若部経典2.3>(同上)
- 長尾雅人、戸崎宏正訳注 『金剛般若経/善勇猛般若経』 <大乗仏典 般若部経典1> (中央公論社、新版中公文庫)
- 中村元、紀野一義訳注 『般若心経/金剛般若経』(岩波文庫 のちワイド版)
- 中村元訳・解説 『現代語訳大乗仏典1 般若経典』 (東京書籍 新版2003年)
- 平井俊栄訳注 『般若経 般若心経 金剛般若経 大品般若経(5品のみ)』
ちくま学芸文庫(2009年/元版<仏教経典選>筑摩書房、1986年)-大正蔵からの訳注文献
脚注・出典
関連項目
テンプレート:仏教典籍- ↑ CiNii 論文 - 金光明経の教学史的展開について14頁
- ↑ 『大乗仏典1』 長尾雅人・戸崎宏正訳 中公文庫 p326
- ↑ 「世界大百科事典 第2版」2006年 平凡社
- ↑ チベット語訳 『金剛般若経』 と 『法華経』 について 庄司 史生 p38