竹中郁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

竹中 郁(たけなか いく、1904年4月1日 - 1982年3月7日)は、日本の詩人。本名、育三郎。

兵庫県神戸市兵庫区出身。生家は裕福な問屋で、1歳の時紡績用品商の竹中家へ養子に出された。神戸二中関西学院大学文学部英文学科卒。画家小磯良平は二中の同級生で、生涯交友が続いた。小磯の卒業制作作品「彼の休息」は竹中がモデルをつとめている。

中学時代より北原白秋に傾倒し、「近代風景」「詩と音楽」などの白秋主宰の雑誌で詩人としての履歴をスタートした。24年には北川冬彦安西冬衛らの「亜」のグループと交流をもちモダニズムのスタイルの影響をうける。25年第一詩集「黄蜂と花粉」を発表。24-26年ヨーロッパ留学。26年に近藤東らの慫慂により「詩と詩論」に参加。32年刊行の詩集「象牙海岸」中の「ラグビイ」は当時流行したシネポエムのスタイルをとり、モダニズム詩の代表的成果の一つと評価されている。しかしモダニズム的都会趣味の芯には常に洗練された抒情があり、モダニズム詩のフォルマリズム的傾向とは一線を画した。30年には「四季」の同人になっている。 戦後は、詩作とともに雑誌「きりん」の創刊編集、多数の校歌作詞など、児童詩の分野での指導育成に尽力した。


主な著作

詩集

  • 黄蜂と花粉(1926)
  • 枝の祝日(1928)
  • 一匙の雲(1932)
  • 象牙海岸(1932)
  • 署名(1936)
  • 竜骨(1944)
  • 動物磁気(1948)
  • そのほか(1968)
  • ポルカマズルカ(1979, 第31回読売文学賞受賞)
  • 竹中郁全詩集(1983)
  • 子ども闘牛士(1984, 第25回日本児童文学者協会賞特別賞受賞)
  • 竹中郁詩集成(2004)

その他

  • 子供は見ている(1955)
  • 子どもの言いぶん(1973)

校歌

兵庫県内の学校を中心に、数多くの校歌の作詞を行っている。

関連項目