砂浜
砂浜(すなはま、ビーチ)は、潮の流れによって海から砂が運ばれて堆積した海岸。海水浴などに適する。
目次
砂浜とは
砂浜とは、海岸に砂が堆積している場所のことである。砂は波によってでも容易に移動しやすい粒子であるから、砂からなる海岸というのは、砂が運ばれて来て堆積した海岸、と考えるべきである。外海に面した波当たりの強い場所は岩礁海岸になりやすく、内湾は泥が貯まって干潟になりやすいから、その中間的な部分で砂浜が生じるが、実際には様々な場合がある。
また、サンゴ礁においては、造礁サンゴの活動は新鮮な海水のあるところで活発であり、そのために外洋に向いた浅いところに発達する。海岸線近くは、むしろ死んだサンゴやサンゴ骨格の破片などが堆積した砂浜となる。サンゴに由来して出来た砂浜は、炭酸カルシウムを多く含み、白っぽいのが特徴。
鳴き砂(鳴り砂)
歩くと音が鳴る砂浜がある。このような砂浜の砂を鳴り砂または鳴き砂という。しかし、ヒトの手による汚染のせいで、鳴き砂が失われた砂浜もある。
砂浜に関連する地形
砂浜は砂の堆積する場所に成立するが、その砂を運んできた沿岸流に沿って伸び、場合によってはその先端が海岸を離れて突き出す。これを砂嘴(さし)という。砂嘴の先端が陸に着いた場合、これを砂州(さす)という。また、砂州によって陸続きになった島のことを陸繋島(りくけいとう)という。
生物の環境として
砂浜は、基質である砂が固定しておらず、風や波によって変化する上、塩分、乾燥などの条件もあり、生物には暮しにくい環境である。しかし、それだけに、独特の生物相を持つ。特にウミガメの産卵は砂浜に限られる。砂浜の生物を参照の事。
また、砂は風によって移動するので、海岸の後背地を保全するために防風林の造成が行われることがある。他方、そのように表面が変形、移動しやすい環境ではあるが、人為的な攪乱はまた異なった影響を与える。砂浜に四輪駆動車などで侵入すると、深い轍が残り、これが海浜植物やウミガメの子供にとって大きな影響を与えることが知られている。日本では海岸法の改正により、2001年から砂浜への車両の進入を原則禁止するなどの措置が採られている。
海岸浸食
供給土砂量が不足することなどによって浸食が起こる。 砂浜浸食の原因は以下のようなものがある。
- ダムや砂利採取や護岸などによる、河川からの土砂供給の減少、それに伴う漂砂量の減少
- 護岸などによる、陸からの土砂供給の減少、それに伴う漂砂量の減少
- 海砂の採取、それに伴う砂の流出
- 港湾や海岸にできた構造物による潮の流れの変化
- 港湾整備などに伴う、海底の掘削、それに伴う砂の流出
- 平均潮位の上昇
砂浜に関する問題
河川の護岸による土砂の流出量の減少、河川にダムが作られてダム湖の湖底に土砂の堆積などが起こることによる土砂の流出量の減少、砂や砂利などコンクリートを作る時などに用いられる骨材の採取が進んで砂の絶対量が減少。これらの理由で海に流れ込む砂の量が減り、各地の砂浜で海岸線が侵食される現象が見られる。対策として、波消ブロックの設置、他の場所から輸送してきた砂の投入による養浜が行われている。
例えば三保の松原で有名な静岡市清水海岸では、昭和30年代から昭和40年代初頭にかけて安倍川の砂利採取が行われたことにより、砂の供給がほとんど無くなり、海岸線の侵食が始まった。昭和42年には大規模な砂利採取を止めたものの、その後も侵食がおさまらず、人工岬(ヘッドランド)の設置などの対策がなされている。(参考資料静岡県土木部-海岸侵食から羽衣の松を守る)
人工ビーチ
海水浴客を集める思惑から、人工的に砂浜を造る場合がある。最も有名なのはハワイのワイキキビーチであろう。本来はサンゴ礁の礁池であった場所にカリフォルニア州から砂を運び込んで白い砂の海岸が造成されている。本来の海岸の姿は、島の反対側に広がる溶岩起源の岩石(玄武岩)が砕けて造られた黒い砂利の海岸である。
日本でもいくつか例があるが、波や海流などの自然の力で流出して砂が定着しない事も多く、環境破壊などの点で議会等で問題となった例もある。また、砂の流出に伴って起きた人工ビーチの陥没のために、死者が出た例もある。
砂浜を取り扱った文学
「見わたせば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮」というのは、藤原定家の短歌であるが、これは砂浜に建てられた小屋をイメージしたものであると思われる。
砂浜に対するイメージ
レジャーに適した砂浜は、夏のシーズンには、海の家などが建てられ観光客や海水浴客でにぎわう。一方、季節はずれの人影の見えない砂浜は、寂しさ・寂寥を感じさせたり、恋人と二人きりで美しい風景を見たりと、また違ったイメージを持っている。
その他
砂浜にテントの設営などを行うこともあるが、満潮時の海岸線を考慮しないで設営すると、浸水・水没等の事故が起こるケースがあるので注意が必要である。