生存権
テンプレート:混同 テンプレート:国際化 生存権(せいぞんけん)とは、人間が人たるに値する生活に必要な一定の待遇を要求する権利。1919年制定のドイツのヴァイマル憲法が生存権の具現化の先駆けとされる。
概要
「生存権」とは、万人が生きる権利をもっているという信念をあらわす語句であり、とりわけ他者の手で殺されない権利を意味する。ただしその具体的内容をどう解釈し特定すべきかは、正当防衛、緊急避難といった関連概念のそれと同様、死刑、戦争、妊娠中絶、安楽死などの社会問題を議論するにあたってしばしば重要な争点を形成する。
国連の世界人権宣言の第2条、市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権規約自由権規約)の第6条に明記され、国連の全加盟国において法的に強制できる権利となった。
「人は全て、生まれながらにして生きる権利を有する。この権利は法によって守られるべきである。誰もこの権利をみだりに奪ってはならない」 -国際人権規約第6条1項-
中絶反対を主張するプロライフの人々は、胎児(受精卵や妊娠初期のものも同様)が出生後に人が有するものと同じ根本的な権利を有する未出生の人であると主張する。一般的に言えば、これらの人々は中絶に強固に反対し、そのうち多くの人は安楽死に反対し、中には胚性幹細胞の研究に反対する人もいる。しかしながら、著名な生存権主張者の中には胚性幹細胞の研究を支持する者もいる(アメリカ上院議員のオリン・ハッチ氏など)。
ドイツ連邦共和国基本法では、人間の尊厳の原理が最高とみなされている(人間の尊厳の原理が生存権よりも上の存在と考えられている)。
カトリック教会は家族の権利憲章を主張し、その中で生存権は人間の尊厳によって直接示唆されると謳っている。
法的観点
日本国憲法では、第25条1項において「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めている[1]。生存権保障は、GHQ草案にはなかったが、社会政策学者出身の衆議院議員 森戸辰男による発案で、25条として盛り込んだ。
1776年、アメリカ独立宣言は「生命、自由および幸福追求において」全ての人がある特定の排することのできない権利を有すると宣言した。
1948年、国連総会によって採択された世界人権宣言は、第3条において「人は全て、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する」と謳っている。
1950年、欧州評議会によって採択された欧州人権条約は、第2条において生存権を保障している。法の支配に則った処罰と防衛、逃亡中の容疑者の逮捕や暴動と謀反の抑圧がなされるように規定がなされた。この権利は国家の生存を脅かす緊急事態の場合の免責(第15条)であっても犯すことができない。なお死刑については欧州人権条約第13議定書によって全面的に禁止されるに至る。
1966年、国連総会によって採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の第6条においても生存権は保障されている。この生存権は国民の生存の脅かす緊急事態の場合に認められる違反(第6条)の状況であっても犯すことが許されない。この項目は欧州人権条約の影響を受けて制定された。