メノウ
メノウ(瑪瑙、碼碯、agate、アゲート、アゲット)は、縞状の玉髄の一種で、オパール(蛋白石)、石英、玉髄が、層状に岩石の空洞中に沈殿してできた、鉱物の変種である。
成分・種類
- 縞瑪瑙(しまめのう、Banded agate)
- タマネギのように同心状に縞が成長したもの、平行に縞が成長したもの、レースのカーテンのように縞が成長したものなど、様々な縞瑪瑙が存在する。
- オニキス(onyx、オニックス)
- 縞瑪瑙の中でも平行な縞状模様があるもの。蛋白石質と石英質の部分が交互に配列するため、縞状に見え、黒色と白色がきれいに層状になっているものは、古くからカメオ細工の材料として用いられている。縞を生かしたデザインにされる場合と、単色部分のみを用いたデザインにされる場合がある。単に縞瑪瑙とも呼ばれる。
- サードニクス(sardonyx、サードニックス)
- オニキスの一種で、縞目が紅色と白色に彩られていて美しいもの。8月の誕生石とされている。紅縞瑪瑙とも呼ばれる。
- サンダーエッグ(雷の卵、Thunderegg)
- メノウや蛋白石、碧玉が満たされた、流紋岩等のノジュール(団塊)。アメリカのオレゴン州の先住民の伝説に由来している。アメリカのオレゴンとニューメキシコ州やドイツのザクセン州で産出したものが有名。
- 雨花石(うかせき、Rain flower pebble、ユーファストーン)
- 南京近郊の川で採れるカラフルな模様石(主にメノウや碧玉)で、磨かなくともそのままの状態で美しい。かつて南京の雨花台で採れたことに由来している。乾燥時は白っぽいが、水に濡らすと透明感や色の鮮やかさが増す。
- 錦石(にしきいし、Nishiki stone)
- 青森県津軽地方で採れる、メノウや碧玉、珪化木などの磨くとツヤの出る美しい色彩の石。どのような石か、明確に定義されているわけではない。
- 苔瑪瑙(こけめのう、Moss agate、モスアゲート)
- 緑泥石や鉄やマンガンの酸化物の内包により、緑や赤色等の苔状の模様が現れたもの。インドやハンガリーのマトラ山脈で産出したものが有名。
- 樹枝瑪瑙(Dendritic agate、デンドリティックアゲート)
- 鉄やマンガンの酸化物の内包により、黒や赤色等のシダ状の模様が現れたもの。石の中に0.何ミリという薄さで模様が入っているため、薄くカットされアクセサリー用に加工される。マダガスカルやインドのケン川で産出したものが有名。
- 羽毛瑪瑙(うもうめのう、Plume agate、プルームアゲート)
- 鉄やマンガンの酸化物の内包により、黒や赤色等の羽毛や草花状の模様が現れたもの。樹枝瑪瑙とは異なり、模様にボリュームがある。アメリカのテキサス、オレゴン、カリフォルニア州で産出したものが有名。
- 針入り瑪瑙(はりいりめのう、Sagenite agate、セージナイトアゲート)
- 針鉄鉱や沸石、輝安鉱等の針状鉱物の内包により、針状の模様が現れたもの。模様だけを残し、メノウに置換しているもの(仮晶)も多い。アメリカのカリフォルニア州ニポモで産出したものが有名。
- チューブアゲート(Tube agate)
- 針状に伸びた針状鉱物や霰石、鉄やマンガンの酸化物を芯に、周囲を玉髄が覆い管状の模様が現れたもの。
- 虹瑪瑙(にじめのう、Iris agate、イリスアゲート)
- 稀に透明度の高い縞瑪瑙の中に、薄くスライスして強い光を当てると虹が現れるものがある(細かい縞が回折格子の役割を果たすため) 。ギリシア神話に登場する虹の女神イリス(Iris)に由来している。ブラジル、アメリカ、アルゼンチンやメキシコでの産出が確認されている。
- ファイアーアゲート(Fire agate)
- 葡萄状の玉髄を多層の薄膜状褐鉄鉱が覆うことにより、虹が現れたもの。メキシコとアメリカのアリゾナ州での産出が確認されている。人工的に処理された虹の無い赤いメノウ、クラブファイアーアゲート(スパイダーウェブ・カーネリアン)がよくファイアーアゲートの名で流通しているが、まったくの別物である。
- 水入りメノウ
- 空洞中に液体の水が含まれるもの。中に含まれる水は、メノウが形成されたときの岩漿水であると言われることが多いが、必ずしもそうとは限らない。中の水は、多孔質の構造を通して蒸発しやすく、逆に長時間水中に浸けることで、人為的に水を入れることもできる。
産出地
メノウはありふれた鉱物で、世界各地で産する。特にメキシコ、アルゼンチンなどの南米や、ドイツ、オーストラリア、ボツワナ、ポーランド、チェコやイギリスのスコットランドのものはカラフルで、世界中のコレクターの間で人気がある。日本では青森県、石川県、富山県、北海道などで産し、七宝のひとつに数えられている。
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アルゼンチンのメノウ
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メキシコのメノウ
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ドイツのメノウ
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オーストラリアのメノウ
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ボツワナのメノウ
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ポーランドのメノウ
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チェコのメノウ
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スコットランドのメノウ
性質・特徴
テンプレート:Main2 主成分は SiO2(二酸化ケイ素)。比重は2.62-2.64、モース硬度は6.5-7。隠微晶質であるため、肉眼では結晶を認めることができず、非晶質のように見える。
中心部にすき間を残していることがしばしばあり、まれに液体・気体がそのすき間に存在することもある。
用途・加工法
メノウは、玉髄とともに、各種の彫刻材料として使われており、硬度が高いのを利用して、化学用の乳鉢、天秤の支点、灰皿、置時計、火打石と、様々なものに用いられている。また、円形に加工、皮革の艶出し用のローラー素材として使われている。
ジュエリーや数珠に使われることも多い。最近は、穴を開けた球状の縞瑪瑙に、ゴムや紐を通し、ブレスレットやペンダントなどのアクセサリーとしても使われる。
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メキシコのメノウを用いた、コウノトリの彫物
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スライス後着色され、コースターとして製品化されたメノウ
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いろいろな色に着色されたメノウ
サイド・ストーリー
瑪瑙の名前は、石の外観が馬の脳に似ているためつけられた[1]。英語の agate は、ギリシャ語の achates に由来し、これはイタリア・シチリア島の同名の川(Acate、現名はディリッロ川)でこの石がとられていたためである。