災害弱者
災害弱者(さいがいじゃくしゃ)とは、災害時、次の条件に一つでも当てはまる人を指す(平成3年度版防災白書)。防災行政上は、災害時要援護者と言う。
- 自分の身に危険が差し迫った時、それを察知する能力がない、または困難な者。
- 自分の身に危険が差し迫った時、それを察知しても適切な行動をとることができない、または困難な者。
- 危険を知らせる情報を受け取ることができない、または困難な者。
- 危険をしらせる情報を受け取ることができても、それに対して適切な行動をとることができない、または困難な者。
これを基に具体例を上げると、障害者・傷病者・高齢者・妊婦(健常者に比べて重い保護を必要とする)、乳幼児・子供(健康でも理解力・判断力が乏しい)、外国人(日本語が分からない)、旅行者(その場所の地理に疎い)などが想定されている。
災害弱者は、その特性から避難所に着くのが、災害弱者ではない人より遅い。よって、避難所で災害弱者がスペースをとることができず、避難所で受けられる“情報”などの支援を受けることができないことが、過去に幾度もあった。そのため、災害弱者ではない人は、「無闇に避難所に避難せず野宿する」「避難所側があらかじめ、災害弱者の人のスペースを確保したうえで、避難所を開設する」の2点が、主な対策として、認知されるようになった。
内閣府や総務省などの指導の下、全国の市町村で災害弱者の避難支援計画や「災害時要援護者名簿」の整備が進められている。避難支援計画には、災害弱者の避難支援について基本的な取組方針を定める「全体計画」、個々の災害弱者の避難計画である「個別計画」の2種がある。「災害時要援護者名簿」は民生委員や地域自治組織が災害弱者の安否確認、避難支援に活用するもので、この名簿の登録者に「個別計画」が作成される。
2009年3月31日現在、「全体計画」を策定した市町村は576団体(32.0%)、策定中の市町村を加えると1,125団体(62.5%)となっている。一方で、「個別計画」の策定を進めている市町村は726団体(40.3%)で、未着手のほうが多い。一方で「災害時要援護者名簿」は既に1,196団体(66.4%)が進めている[1]。
関連項目
脚注
テンプレート:Reflistテンプレート:Disaster-stub- ↑ 消防庁 『消防白書:消防と医療の連携の推進 消防と医療の連携による救急搬送の円滑化:平成21年版』 日経印刷、2009年11月。「第1章 第5節 [風水害対策の課題] 2 (1)災害時要援護者の避難誘導体制の整備」より。