準学士

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テンプレート:日本の学位 準学士(じゅんがくし)とは高等専門学校を卒業した者が称することができる称号のことである。学位に準ずる「称号」(学術称号)であり、学位ではないので注意が必要である。2005年の法改正により新設された「短期大学士」は、学位である事に留意されたい。

日本の学位等の分類
分類 大区分 小区分 授与される標準的な課程
学位 博士 規定なし 大学院の博士課程
(前期2年の博士課程を除く)
修士 規定なし 大学院の修士課程
(前期2年の博士課程を含む)
専門職学位 法務博士(専門職)[1] 法科大学院
教職修士(専門職)[1] 教職大学院
修士(専門職)[1] 専門職大学院
(法科・教職大学院を除く)
学士 規定なし 大学
短期大学士 規定なし 短期大学
分類 大区分 小区分 授与される標準的な課程
称号 準学士 規定なし 高等専門学校
高度専門士 規定なし 特定の専修学校の専門課程
(主に4年制以上)
専門士 規定なし 特定の専修学校の専門課程
(主に2〜3年制)

概要

準学士は1991年平成3年)、学校教育法の改正により同法第70条の8に規定された称号である。それまで卒業を証明する学位が与えられなかった短期大学及び高等専門学校の卒業生に対してその教育修了を証明する概念として創設された。基本的には学位と同等に扱われるが、厳密には学位に準ずる称号であって学位そのものではない。

その後、学校教育法のさらなる改正により2005年10月1日以降に短期大学を卒業した者には新たに創設された学位である短期大学士が授与されることとなったため、準学士号は高等専門学校においてのみ授与される称号となった。また、学校教育法の一部を改正する法律(平成17年法律第83号)附則第3条の経過措置規定により、当該制度改正前に短期大学が授与した準学士の称号は短期大学士の学位とみなされることとされたが、制度改正前に高等専門学校の卒業生に与えられた準学士の称号については従前の通り準学士のままとされた。

意義

高等専門学校では準学士の称号、専門学校では専門士の称号を付与してきた。

準学士は高等専門学校卒業者の社会的評価に、(大学大学院卒業者の学士修士博士などのような)付加を与える意味でその創設が求められ、教員免許において二種免許取得の要件に準学士の称号取得が課せられたことで一定の意義が定着した。また、これまで大学学部の3年生に準学士入学と称して編入学できる制度も確立されてきたが、最近では短期大学卒業者、高等専門学校卒業者にも併設される専攻科を修了して学士学位を取得することで、大学を経ることなく大学院博士前期課程(もしくは修士課程)並びに専門職大学院専門職学位課程に志願できる制度が定着し、準学士は高等専門学校卒業者の可能性を大きく広げる役割を果たしている。

学位が国際的な概念であるのに対して称号は日本国内でのみ通用するものに過ぎないという問題点も存在し、この解消を求めた短期大学に対して政府は新たな学位として短期大学士を創設した。これにより短期大学では卒業者に短期大学士の学位を与える様になり、準学士の称号は高等専門学校特有のものとなった。短期大学のみに新設学位の授与が認められた背景には、もともと短期大学が2年制の大学として総合的な教育を志向しているのに対して、高等専門学校が技術教育に要点を置いているという違いが存在する。

とはいえ、両者に今のところ大きな社会的価値の違いはなく、就職などの場面で大きな差を付ける要因にはなっていない。なお、高等専門学校卒業後、準学士の称号を取得している者は、称号取得後、関連業務経験2年で専修学校高等課程教員資格、4年で専門課程教員資格の要件を満たすとされる[2]

脚注

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関連項目

テンプレート:Asboxen:Associate's degree

nl:Associate Degree
  1. 1.0 1.1 1.2 学位規則(昭和28年文部省令第9号) 第5条の2
  2. 文部科学省令「専修学校設置基準」第18条の2及び第19条の3。