得業士
テンプレート:日本の学位 得業士(とくぎょうし、独:Diplom)とは、日本の旧制高等学校において制定されていた称号のひとつ。また、ドイツにおける大学卒業者の学位ディプロ―ムの学位の訳語。
日本の得業士の称号
得業士号は1872年(明治5年)制定の学制で、博士号、学士号とともに成立した官立学校教員の称号を起源とする[1]。1878年(明治11年)に東京大学に学位授与権が与えられ、得業士号を学位とすることが認められたが、適用されなかった。1887年(明治20年)に学位令が制定され、学位としての得業士は廃された[1]。
その後、1918年(大正7年)に制定された高等学校令の第9条2において「専攻科ヲ卒リタル者ハ得業士ト称スルコトヲ得」と規定され、高等学校高等科を修了し、さらに修業年限1年以上の専攻科を修了した者に授与された。
転じて旧制の専門学校、特に医学専門学校の卒業生などに与えられる称号ともなり、医学専門学校生に対しては医学得業士の称号が、高等歯科医学校生に対しては歯科得業士の称号が授与された。
これは医専の学修期間4年もしくは5年が高等学校3年+専攻科1年の学修期間と同等以上であるとみなされたことを根拠としている。
これらの学校を卒業する者に対しては得業士称号認可願書類を審査され、合格した者に卒業及び称号の授与が認可された。
ドイツの得業士の学位
また、ドイツにおけるディプローム(Diplom)の学位を得業士と訳する[2]。得業士の学位は大学学部前期2年の4セメスター修了時に予備試験と最低4年の8セメスター修了時の得業士試験合格を取得要件とする。さらに、その後の2年間の研究と博士試験によってドクター学位を取得できるという独自の制度を採用していた。
しかし、国際化の進展とともに独自の学位が不便ともされるようになったため、ボローニャ・プロセスを契機に学士と修士の二段階からなる英米式の学位制度も創設されるに至っている[3]。
脚注
参考文献
- 相賀徹夫編著『日本大百科全書 5』(小学館、1985年) ISBN 409526005X