渓内謙
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溪内 謙(たにうち ゆずる、1923年9月2日 - 2004年2月13日)は、日本の歴史学者、政治学者。専門はロシア/ソ連政治史。東京大学名誉教授。
人物・略歴
石川県生まれ。1942年、東京帝国大学入学。約1年在学後の1943年12月、学徒出陣により、徴兵検査を受け、合格。大学を休学し、大日本帝国海軍の舞鶴海兵団へ入営。海軍二等水兵、海軍主計見習尉官、海軍主計少尉、海軍主計中尉を経て、1945年10月に予備役編入・復員。その後、東京大学へ復学する。
復学から1年半後、1947年春に東京大学法学部を卒業し、大学院へ入学。専攻は行政学であり、指導教員は辻清明であった。1947年9月、大学院を退学して、設立まもない東京大学社会科学研究所の助手となった。その後、1951年4月まで助手として勤務した後、名古屋大学法学部助教授、東京大学法学部教授、千葉大学法経学部教授、帝京大学文学部教授を歴任した。
研究開始当初、東京大学大学院での専攻は行政学で、辻清明の指導の下、ソ連行政や官僚制研究を中心に手がけていた。その後、1956年の夏から留学したハーバード大学ロシア研究センターでE・H・カーに出会ったことを一つの契機として、ソビエト現代史へ研究を集中させていった。
『スターリン政治体制の成立』全4巻は、この分野における専門研究の金字塔として評価されている。『現代社会主義の省察』で第32回毎日出版文化賞を受賞。
著書
単著
- 『ソビエト政治史――権力と農民』(勁草書房, 1962年)
- 『スターリン政治体制の成立』(岩波書店, 1970年-1986年)
- 1部「農村における危機」(1970年)
- 2部「転換」(1972年)
- 3部「上からの革命 (1)」(1980年)
- 4部「上からの革命 (2)」(1986年)
- 『現代社会主義の省察』(岩波書店, 1978年)
- 『現代社会主義を考える――ロシア革命から21世紀へ』(岩波書店[岩波新書], 1988年)
- 『歴史の中のソ連社会主義』(岩波書店, 1992年)
- 『現代史を学ぶ』(岩波書店[岩波新書], 1995年)
- 『上からの革命――スターリン主義の源流』(岩波書店, 2004年)
編著
- 『ソヴィエト政治秩序の形成過程――1920年代から30年代へ』(岩波書店, 1984年)
共編著
- (阿利莫二・井出嘉憲・西尾勝)『現代行政と官僚制―辻清明先生還暦記念』上・下巻、東京大学出版会、1974年
- (荒田洋)『ネップからスターリン時代へ』(木鐸社, 1982年)
- (荒田洋)『スターリン時代の国家と社会』(木鐸社, 1984年)
- (荒田洋)『スターリン後のソ連社会』(木鐸社, 1987年)
翻訳
- エス・エス・ストデニキン『ソヴェト行政法』、稲子恒夫と共訳、巌松堂書店、1956年
- ア・イ・デニソフ編『ソヴェト国家と法の歴史』上巻、巌松堂書店、1956年
- ジャコブ・ミラー『ソビエト・ロシア』、早瀬武と共訳、勁草書房、1961年