東京都観光汽船
東京都観光汽船株式会社(とうきょうとかんこうきせん 英字名称:Tokyo Cruise Ship Co.,Ltd.)は、東京港および隅田川で定期航路船舶を運航している会社。読み方は「トウキョウ ト カンコウキセン」が正しく、「トウキョウ ミヤコ カンコウキセン」ではないので注意されたい(後者の読みを公式に使用していた時期もあった)[1][2]。
東京都観光汽船では、隅田川航路を航行する船舶を指して通称「水上バス(川航路/川船)」、東京港日の出桟橋を起点とする東京港内航路を航行する船舶を指して通称「海上バス(海航路/海船)」という呼称を使用している。
目次
沿革
- 明治31年9月、「一銭蒸気」を運航する隅田川汽船会社設立
運航路線
定期航路
- 隅田川ライン
- 全便先着順の乗船で、船内は全席自由席である。混雑時には座席数を超えて乗船させる場合や次便に案内される場合がある。15名以上の団体は予約可能(乗船便確約のみ)
- 船内売店の営業がある。(使用船舶や運航上の都合により、まれに非営業の場合がある)
- 航路上の見どころ案内には日本語と英語による自動放送が用いられるが、船内で貸出しの音声ガイドにより韓国語と中国語にも対応している。土曜日や日曜日・祝祭日は専属の係員がガイドすることもある。
- 特に潮位が低めである春~初夏にかけての干潮時には、屋上デッキを開放する場合がある。
- 高潮が予想される場合(航路中、永代橋が最も低い橋である)、比較的船高が低い船により運航もしくは欠航となる。
- 浜離宮より乗船し浅草へ向かう場合には、日の出桟橋を経由して隅田川を上る必要がある。また、浅草または日の出桟橋より往復乗船券を購入した場合は、途中下船することなく一往復周遊可能である。(折返し運航となる場合のみ)
- はとバスなどの東京観光でしばしば利用される航路である。パンフレットには、下り便利用コースでは「隅田川下り」、上り便利用コースでは「隅田川橋めぐり」と表記されることが多い。
- 春のお花見シーズンには、定期便の下り便または上り便のどちらか片道のみ、通常の運航コースを延長し隅田川上流の桜橋付近で折返す「お花見クルーズ」として運航される。また、浅草発着の「夜桜船」の運航もあり、船内では振袖さんの舞踊が楽しめる。
浅草・お台場直通ライン
ヒミコ及びホタルナ専用航路
- ヒミコ航路
- 浅草吾妻橋 - お台場海浜公園 - 豊洲 - 浅草吾妻橋
- 運航開始からしばらくは、豊洲には寄港せず、お台場海浜公園から日の出桟橋を経由し浅草吾妻橋に戻っていた。
- ホタルナ航路
- 浅草吾妻橋 - 日の出桟橋 - お台場海浜公園
- ヒミコが定期点検や不具合が発生した場合にはヒミコ航路は運休になる。
- ホタルナが定期検査や不具合が発生した場合にはホタルナ航路は運休になる。
- 船舶の高さの関係上、大潮の満潮時よりも少しでも潮位が高くて橋がくぐれない場合は運休になる。
御座船安宅丸航路
安宅丸が定期点検や修理の場合には休航
- 青海ルート
- 日の出桟橋 - 船の科学館前(青海客船ターミナル)
- 周遊(物見-ものみ-)コース
- 日の出桟橋 -(周遊)- 日の出桟橋
休航中航路・過去の航路
- イベント船ハッピードッグクルーズ(2011年1月より休航中)
- お台場海浜公園沖を周遊。一部の便は日の出桟橋 - お台場海浜公園の運航。
- ドッグウエディングやドッグカウンセラーの乗船など、愛犬家向けのサービスが行なわれる。
- 使用船舶(遊)の引退により休航中である。
- 浅草・お台場直通ライン 通称「ヒミコ航路」
- 浅草吾妻橋 → お台場海浜公園 → 日の出桟橋 → 浅草吾妻橋
- 豊洲寄港以前の航路。
- 現在は「ホタルナ」が往復とも日の出桟橋を経由する形で運航している。
- ハーバークルーズ
- 日の出桟橋 - お台場海浜公園の間を周遊。かつてはお台場海浜公園を経由せずに、東京港を一周して日の出桟橋へ戻る運航であった。
- 江戸川水上バス
- 葛西臨海公園 - なぎさ公園 - 今井交通公園 - 江戸川スポーツランド
東京都観光汽船が撤退後、海洋商船株式会社により運航していたが、会社倒産により再び休航となる。
- 小岩菖蒲園ライン
- 江戸川スポーツランド - ポニーランド - 篠崎公園 - 小岩菖蒲園
- 竹芝桟橋 - 13号地 (日の出桟橋・台場地区開発前)
所属船舶
- ヒミコ : 2004年
- ホタルナ : 167トン 2012年
- 浅草・お台場直通ライン専用。
- 松本零士デザイン。
- 定員261人
- 御座船 安宅丸(あたけまる)
- 青海ライン、物見コース専用。
- 定員500人
- 2011年に両備ホールディングス(岡山県)の「御座船 備州」を借り受けて改名のうえ運航。
(各航路で運航)
- ユアータウン : 143トン 定員550人
- アワータウン : 定員320人(就航当初141トン 定員550人)
- リバータウン : 141トン 定員550人
- 道灌(どうかん): 148トン 定員553人
- 竜馬(りょうま): 143トン 定員560人
(船体が高い為、主に永代橋以南で運航)
- 海舟(かいしゅう): 146トン 定員540人
- ジュビリー : 148トン 定員530人
(東京シップサービスより移籍した船舶)
- いりす 定員230人
- 主にお台場、ビッグサイトラインで使用。
- 潮音(しおん) 定員175人
- 主にお台場、ビッグサイトラインと高潮時の隅田川ラインで使用。東京都観光汽船移籍時に、船名をレインボーから改称。
(その他)
- SUMIDA-I(すみだ いち)
- 業務用および救助用。船体側面に「水上バスRESCUE」と朱書きしてある。
過去の所属船
- 遊(ゆう):ハッピードッグクルーズ用(2011年3月に引退) 定員479人(就航当初 定員600人)
- 元「雪印号」バージ改造。
- フジテレビとのタイアップにより、同社主催の夏のイベントお台場冒険王の期間中、同局放映のテレビアニメ『ONE PIECE』の海賊船「ゴーイングメリー号」に改装して運航された。
- イベント期間終了後は元の「遊(ゆう)」に復元され、通常のハッピードッククルーズ専用船として運航していた。
- 通常の船舶が定期点検や団体利用などで、通常の船舶が足りなくなった場合は、お台場ラインで代走することもあり、この場合は「晴海」には寄港しない便で運航し、また、あくまでも「お台場ライン」の定期便での運航のため、愛犬と一緒に乗船はできなかった。
- 当時は東京港唯一の外輪船でもあった。
- 高さの関係上、水門や隅田川の橋の下を通過できないため、係留場所は日の出桟橋か月島が定位置であった。
- マイタウン : 118トン 定員508人 1985年 墨田川造船(公団共有)
- スーパーシティ : 定員258人 (就航当初115トン 定員430人) 1983年 墨田川造船(公団共有)
油圧で昇降する2階デッキの屋根が特徴。末期は老朽化した屋根を撤去し、屋上デッキとして使用。 京浜フェリーボートに移籍、船名をローズに改称し横浜港へ。
- すみだ2 : 124トン 定員320人 1979年 墨田川造船(公団共有)
- すみだ3 : 97トン 定員206人 1980年 墨田川造船(公団共有) 「おとひめ」代船
- 客席テーブルがバーベキューに対応。改修により船体が青系から、当時最新鋭の海舟に合わせた黄色系の塗装となった。
- 引退後、しばらくは月島に係留されていたが、その間に高潮時の隅田川ライン代走として数回復活運航している。
- サンマルコ: 定員12人
末期の小岩菖蒲園ラインで運航。その後、SUMIDA-Ⅰ投入まで業務用・警戒船として使用。
- マルコポーロ: 19トン
ほぼフルオープンの構造で、定員は172人。同名のまま現存しており、株式会社ジールなどで貸切が可能。
- ヴェネツィア: 定員53人
ハウステンボス園内のカナルクルーザーと同型。屋根上にもデッキを設けたため、横波時の動揺が大きい。 小岩菖蒲園ライン用として導入されるが、後年は専ら江戸川水上バスに投入されていた。
- 快進Ⅱ号
主に江戸川水上バスで運航。京浜フェリーボートに移籍し、横浜港へ。 現在は小改造され、船名がフロンティア ルーツとなり、株式会社ジールなどで貸切が可能。
運航関連施設
乗り場
- 浅草営業所
- 浜離宮恩賜公園
- 豊洲営業所
- お台場海浜公園
- 船の科学館前(青海客船ターミナル)
- 東京ビッグサイト(有明客船ターミナル)
- パレットタウン
- 晴海
日の出桟橋
東京都観光汽船の中枢を担う場所である。運航部、船内売店の事務所・倉庫が置かれている。
- 自社内呼称として南側から順に1番から4番と付番している。
- 現在では、A桟橋を中心に使用されている。
- 南側の桟橋(A桟橋)
- 南面1番(主に東京ビッグサイト・パレットタウンライン、お台場ライン、ホタルナラインが発着)
- 北面2番(主に隅田川ライン、お台場ラインが発着)
- 北側の桟橋(B桟橋)
- 南面3番(主に将軍航路御座船安宅丸が発着)
- 北面4番
係船場
運航終了した船舶は以下の場所に係留されている。
- 竹芝
- 竹芝客船ターミナルの北側、ニューピア竹芝ノースタワービルに隣接。水門を通過した浜離宮の対岸に位置する。整備中の船が係留されていることもある。
- 月島
- 中央区豊海町の月島警察署の近くに位置する。
- 日の出桟橋
- 2番 - 4番に夜間係船を行なう。
- 1番は東京港の外側(東京湾口方向)に面しており、波が高くなることや公共桟橋のため緊急時に他の船が着桟できるよう、必ず1箇所は桟橋を空けておく必要があるので、通常夜間係留には使用されない。
- 浅草吾妻橋
- 隅田川ラインの最終便で浅草に到着した水上バスが係留されていたが、新営業所営業開始後、原則的に係留はされない。
- 日の出桟橋発浅草行の最終便は、浅草桟橋に到着すると竹芝、日の出桟橋、月島のいずれかの係留場所に回航している。