江村哲二
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:Portal クラシック音楽 江村 哲二(えむら てつじ、1960年3月7日 - 2007年6月11日)は、日本の作曲家。
来歴・人物
兵庫県西宮市出身。名古屋工業大学大学院修了。作曲はほとんど独学で学ぶ。ブザンソン国際作曲コンクール、ヴィトルト・ルトスワフスキ国際作曲コンクール、共に優勝など、内外の受賞歴多数。金城学院大学人間科学部教授を務めた。2007年6月11日、膵臓がんのため47歳の若さで逝去。
作風
本人の作曲意図は、最先端のテクノロジーを作曲語法化および管弦楽法化するという、科学的なアプローチに一貫されていた。活動当初は、オーケストラのパレットを隅々まで使い尽くした音色美で一世を風靡していた。
それに対し、後年の「竜安寺」シリーズでは単一のやや雅楽的なフレーズが、時折の装飾を挟みながら常に聞こえ続け、侘び寂びの境地を志向して来た。後期作品の「地平線のクオリア」においても、低密度のオーケストレーションへ傾斜していた。個人BLOGにおいても武満徹へ惜しみない賛辞を与えたように、彼の音色も武満と同じく「未だ聞かれざる美しさ」を求めていた。
交友
指揮者の大野和士、脳科学者の茂木健一郎とは親交深かった。また、茂木との共著に『音楽を「考える」』(筑摩書房(ちくまプリマー新書))がある。
受賞歴
- 1989年:第6回現音作曲新人賞受賞(日本現代音楽協会主催)
- 1991年:第13回作曲賞入選(財団法人日本交響楽振興財団主催)
- 1992年:第2回ルトスワフスキ国際作曲コンクール第1位受賞(ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団主催)
- 1992年:第8回名古屋文化振興賞受賞(財団法人名古屋市文化振興事業団主催)
- 1993年:平成4年度文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞(文化庁主催)
- 1993年:東京都制施行50周年記念国際作曲コンクール佳作入選(東京都主催)
- 1994年:第4回芥川作曲賞受賞(財団法人サントリー音楽財団主催)
- 1998年:第9回ブザンソン国際作曲コンクール第1位受賞(ブザンソン国際音楽祭主催)
- 2007年:作品集『地平線のクオリア』第45回レコード・アカデミー賞現代曲部門賞
著作
- 茂木健一郎、江村哲二『音楽を「考える」』(筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉/2007年)