最低速度
最低速度(さいていそくど)とは、道路において、法令の下で、自動車が出さなければならない最低の速度を言う。
日本の最低速度
通則
自動車は、法令の規定により速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合(渋滞等や、警察官の指示等、または様々な交通法規に基づいて減速・徐行・停止しなければならない場合などや、道路工事・異常気象などにより速度が出せない場合)を除いて、次の最低速度に従わなければならない。
- 「最低速度」の道路標識(324)によって最低速度(指定最低速度)が指定されている区間では、その速度に従わなければならない。
- 指定されていない区間では、政令で定める最低速度(法定最低速度)に従わなければならない。
自動車(及び自動二輪車)のみに対する規制であるので、原動機付自転車、軽車両、路面電車、トロリーバスには適用されない。また、法令に基づき道路の維持、修繕等のための作業に従事している道路維持作業用自動車も最低速度の適用除外となる。
法定最低速度
法定最低速度は、次の区分に従い次のとおりとなる。
- 高速自動車国道の本線車道のうち対面通行でない区間
- 50km/h
- 上記以外の道路
- 規定なし(標識や標示による指定最低速度のみが有効。)
その他
自動車専用道路に最低速度を設けている道路(神戸淡路鳴門自動車道や名港トリトン(伊勢湾岸自動車道に並行する一般国道302号伊勢湾岸道路)、福岡前原有料道路など)もある。
高速道路等の分岐部分の近辺などで、あたかも一般道路であるかのように、判断ミスにより分岐車線に入れないなどの理由で、本線車道等の上で減速・徐行・停止などしている車が良く見かけられるが、最低速度違反または駐停車違反であると同時に追突を招きかねない極めて危険な行為である。渋滞していない本線車道等を高速走行中に経路選択などの判断ミスに気づいた場合には、本線車道等で急な減速・徐行・停止などや急な進路変更をせずに、潔く諦めて次のインターチェンジなりで折り返す判断および行動が事故防止上不可欠である。
現在、最低速度違反に対する罰則等は、点数が1、反則金が普通車で6千円。なお、高速自動車国道の本線車道のうち対面通行でない区間を除く他の道路、具体的には、高速自動車国道の本線車道のうち対面通行の区間(暫定2車線区間等)や登坂車線、自動車専用道路および一般道路においては、最低速度に違反したとしても罰則等は適用されない。交通違反としては軽微であるが、上記のミス等で人身等の事故を起こせば、刑事上等の責任を問われる。
なお、高速自動車国道及び自動車専用道路のうち法令または指定により最低速度制限のある道路では、小型特殊自動車や故障車をけん引している自動車など、その法令上出せる最高速度が、その道路の最低速度未満となるような自動車も、通行不可となる。
なお、道路交通法第七十五条の八の二(重被牽引車を牽引する牽引自動車の通行区分)の適用を受ける牽引自動車が、追越しのために本線車道における当該通行区分に従わず本線車道の他の通行帯を通行できるのも、最低速度違反の車両(罰則等適用の有無は無関係である)を追い越す場合だけに限られる。本線車道において、最低速度に違反していない車両を追い越すために当該通行区分に従わずに車線変更をする事は許されず、そのまま前車に(安全な車間距離を保持して)後続しなければならない。ただし、登坂車線においてはその最高速度および本線車道の最低速度に違反しない範囲で追越しは可能である。
諸外国の場合
諸外国でも高速道路などでは最低速度がある。
- 韓国 - 50km/h
- 香港 - 50km/h
- 台湾 - 60km/h
- ドイツ - 60km/h
- フランス - 80km/h