機関紙

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機関紙(きかんし)とは、政党や各種団体など機関とされる団体が、組織およびその政治的見解等の広報、宣伝、会員や同じ階層に向けた情報交換などのため定期的に発行する新聞のこと。同種の構造を持つ雑誌形態の出版物は「機関誌」と呼ばれる。


分類

ファイル:Seikyo Shimbunsha (head office).jpg
宗教団体が機関紙部署独自の建物を持っている例。(東京・信濃町)
ファイル:AS-building sendagaya.jpg
政党の機関紙部署と関連会社の印刷工場のみが入るビルの例。(東京・千駄ヶ谷)

機関紙はその形態が様々であり、分類できる。

組織の種類

あらゆる種類・分野の組織が機関紙を発行している。機関紙により同時に構成員間の理念の共有や組織の団結をはかろうとするものでもある。

  • 政党
    議員を抱える政治団体である政党は、自身の政策や議会報告を行う必然性があり、ほぼ全ての政党が何らかの形で機関紙を発行している。旧「共産主義」諸国の支配政党機関紙は、党の主張・宣伝を伝播する目的があった。
  • 政治団体
    特定の政治体制を志向する性格から、他の分野と比べても機関紙が重視され、執行部の運動方針・声明、団体の決定事項、現状課題の報告などが掲載される。また、支持者向けには政治思想を前面に出さないものもある。
  • 社会団体
    各分野の社会団体は、それぞれの活動報告などが掲載される。
  • 宗教団体
    それぞれの宗教の教義・教理を伝道する目的がある。また団体運営上の方針や祭礼などの行事案内・報告が行われる。ただし、一部団体の広く配布する機関紙では必ずしも教義・教理を伝道する内容となっていないものもある。
  • 経済団体
    農業協同組合や企業団体・同業者団体などが当該業界の動向や団体の報告などが掲載される。
  • 労働組合
    単位組合のもの、ナショナルセンター発行のものがある。当該労働者の改善要求や運動方針・活動報告が掲載される。要求による団結が原則のため、記事の主体性が強い。
  • 国・政府軍隊・公的機関
    それぞれの国により公的機関が発行する機関紙。
  • 趣味組織
    活動報告や当該趣味に関する記事がある。機関誌が多く機関紙(新聞)形態は少ない。

発行所

  • 内部機関
    組織内部の機関・担当部署が直接編集・発行に携わる形態。
    官報」(国立印刷局)、「しんぶん赤旗」(日本共産党中央委員会赤旗編集局)など
  • 外部の別組織
    組織外部の会社や団体が当該組織の路線に沿って編集・発行する形態。
    人民日報」(中国共産党、人民日報社)、「朝鮮新報」(在日本朝鮮人総聯合会、朝鮮新報社)、「日本農業新聞」(JAグループ、日本農業新聞社)など

発行形態

テンプレート:See also

  • 日刊
    • 毎日発行される。同じ職場のみでの配布を除き、配達するための体制をつくる必要がある。そのため、国の機関紙、規模の大きい一部の政党・政治団体などに限られる。
    • 記事内容に適時性がある一方で、概ね購読料が高くなる。
    • 官報」(日本国)、「しんぶん赤旗」(日本共産党)、「人民日報」(中国共産党)、「労働新聞」(朝鮮労働党)、「日本農業新聞」(農業協同組合、農業界の業界紙としての性格も持つ)、「日刊動労千葉」(国鉄千葉動力車労働組合[1]など
  • 週刊
  • 週に数回刊
  • 旬刊等
  • 月刊
    • 月に1回発行される。
    • 記事内容に適時性が保たれず、ページ数を多くして保存性のある機関誌(雑誌)形態に多くの組織がしている。
    • 適時性をあまり必要としないものに多い。
    • 「赤十字新聞」(日本赤十字社)、「全労連新聞」(全国労働組合総連合)など
  • その他
    • 年に4~6回程度発行されるものがある。
    • 月刊以上に発行頻度を必要としない場合。年4回であれば「季刊」、6回であれば「隔月刊」と呼ばれる。但し「隔月刊」は題名に冠される事はない。
    • 「JL NEWS」(日本発達障害福祉連盟)、「ADRA News」(アドラ・ジャパン)、「JARL NEWS」(日本アマチュア無線連盟)など

購読対象

  • 会員限定
    組織構成員でなければ購読できない機関紙。
    極めて小規模の組織は必然的にこの形態になる場合が多い。
  • 一般購読可能
    中規模以上の組織では、構成員外の購読を受け付けていたり、積極的に販売していることがある。後者は、組織の見解を広く伝え、支持者・構成員を増やす目的の他に、機関紙を売ることで組織活動資金の増収を目的とする場合が多い。
    政党・政治団体の多くはこの形態を採る。

配布方法

  • 自主配達
    組織が自前で購読者まで配達まで完結する方法。極めて活動範囲の狭い組織では必然的に採用される事が多い。地域活動を行っている大規模組織がこの形態を採るところもあるが、活動範囲が広い組織は完全にカバーできない。全体では少数である。
    「しんぶん赤旗」(日本共産党)[2]、「全国商工新聞」(全国商工団体連合会)[3]など
  • 郵送
    郵便配達を利用して戸別配達をするものである。中国では新聞各紙がこの形態を採っている[4]。郵便が発達した国の多くの組織がこの方法で配達している。
  • 販売店配達
    販売店が戸別配達をする形態があるが、機関紙では多くない。
    「聖教新聞」(創価学会)、「公明新聞」(公明党)など
  • 販売店購入
    販売店で購入する形態。
    • 専売所
    「官報」(日本国)
    • 一般の販売店
    「人民日報」(中国共産党)など

その他の特徴

  • 一般ニュースも多く掲載するもの
    「人民日報」(中国共産党)、「しんぶん赤旗」(日本共産党)、「聖教新聞」(創価学会)、「朝鮮新報」(在日本朝鮮人総聯合会、朝鮮新報社)など
  • 2つ以上の団体共同の機関紙
    「京都民報」(日本共産党京都府委員会と諸団体)、「大阪民主新報」(日本共産党大阪府委員会と諸団体)

主な機関紙

新聞名(カッコ内は、発行・対応機関)。中国共産党人民日報など別会社が発行する形態もあるが、ここでは機関名を記す。

日本

政党

政治団体等

青年学生団体

宗教団体等

NGO・NPO・市民団体

業者・職能団体

労働組合

公的機関

外国人組織

趣味団体

朝鮮民主主義人民共和国

中華人民共和国

キューバ共和国

ベトナム社会主義共和国

「準機関紙」

組織が直接発行に携わらないため機関紙には分類されないが、組織と連携し、組織の路線に沿って編集・発行される新聞は「準機関紙」などと呼ばれる。この定義は曖昧であるが、概ね下記の通り。

  1. 元機関紙で、購読者を引き継いだ。
  2. 購読者がほぼ特定組織内であり、組織内で読まれることを前提とした情報を載せるなど事実上機関紙代わりとなっている。
  3. 特定組織の路線に沿って編集される。
  4. 機関紙ながら、編集権が独立している。

ただし、俗に言われる範囲の「御用新聞」「○○の機関紙」「○○御用達の新聞」「○○いいなりの新聞」などは経営上の都合や政治に阿る論調を揶揄しているだけで、機関紙・準機関紙には含まれない。

「準機関紙」各紙

脚注

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関連項目